ワールドカップ・カタール大会の初戦、イングランドとの試合でイラン代表は国家斉唱を拒否した。
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- ワールドカップの初戦でイラン代表チームは、自国での抗議デモと連携するため、国歌を斉唱しなかった。
- 彼らはその後、国歌を歌わないと家族が暴力や拷問を受けると告げられたと情報筋がCNNに語った。
- イランではここ数カ月、抗議デモが続いており、政府は激しく反発している。
ワールドカップ・カタール大会に出場したイラン代表が、自国で行われている抗議デモに連携する行為として、開幕戦で国家斉唱を拒否した。その後、イラン政府は代表チームを脅迫したと情報筋がCNNに語った。
この情報筋はワールドカップの警備に関わり、イランの治安機関がカタールでどのような行動をとるか監視しているという人物で、イランの選手たちは1試合目が終わった後に、革命防衛隊と面談させられたとCNNに語った。
彼らは試合で国歌を斉唱しない、または抗議を示した場合は、家族が「暴力や拷問」を受けると言われたという。
そのため、イラン代表は11月25日に行われた2試合目では国家を斉唱した。
情報筋によると、代表チームはカタールでの試合期間中に革命防衛隊から監視され、他チームの選手など自チーム以外の人とは誰とも会うことができないという。
「カタールには多数のイランの革命防衛隊員がいて、選手の監視と情報収集を行っている」と、その情報筋はCNNに語った。
また、その情報筋は「イランは偽りの応援や好意をつくるため、数百人のサポーター役を送り込んだ」とも述べている。
9月に警察に勾留されていた22歳のクルド人女性のアフサ・アミニさんが死亡したことをきっかけに、ここ数カ月間、イラン全土で抗議デモが起こっている。アミニさんはヒジャブを適切に着用していなかったとして逮捕されていた。
国連は、平和的な抗議であるにもかかわらず数千人が拘束されていると述べている。40人の子どもを含む、300人近くが死亡しているという。
抗議活動としてイラン人の女性がネット上や実際のデモで、ヒジャブを脱いだり、髪を切ったりしている。