出典:LINE Pay
LINE Payが11月29日、新しいクレジットカード「Visa LINE Payクレジットカード(P+)」の発行を開始した。
即時発行に加えて、還元率5%という高還元を特徴とするこのカード。従来のVisa LINE Payカードと比べてなにが違うのか。
即時発行、5%の高還元(月間500ptまで)「5つの特徴」
まずは、このLINE Payクレジットカード(P+)の仕様を整理しておこう。
- 即時発行に対応。午前9時〜午後7時30分までの間であれば、申し込みから最短5分で審査が完了し、クレジットカード番号が発行
- オンラインであれば即座に使える。また、Apple Pay/Google Payに登録すれば、そのままオフライン(店頭など)の決済にも利用可能
- 年会費無料。高校生を除く満18歳以上、家族カードが年会費無料。これらは従来のLINE Payクレジットカード(P+)と同じ
- 審査完了後に物理カードが送付されてくるという点も同じ。同様に、物理カードを発行しないカードレスタイプが選択できる
- 利用すると、LINEアプリに即時通知が来るというのも、従来と変わらない。三井住友カードとの協業で発行される点も共通
というものだ。
違いは、「即時発行」と「還元率」という点だけということになる。
最大のポイントはこの還元率だ。
「還元率」の特徴を考える
LINE Payの発表資料より。
出典:LINE Pay
これまでのVisa LINE Payクレジットカードだと、利用額に対するLINEポイントの還元率は1%。これはクレジットカードを使った決済全般で、物理カードでの決済も、スマホのiD、タッチによる決済でも同様に1%だった。
新しいVisa LINE Payクレジットカード(P+)では、これが0.5%と半分の還元率となる。
一方、QRコード決済のLINE Payにクレジットカードを登録して支払いをする「チャージ&ペイ」では、従来のVisa LINE Payクレジットカードだと還元率が0.5%だったが、新しいP+カードだと5%と大幅にアップする。
これが、従来カードと新P+カードの最大の違いだ。1000円の買い物をしたときに従来だったら5ポイントの還元だったところが、50円になるわけだ。
ただし、月間上限は500ポイントまで。つまり、1万円の買い物までは5%(500ポイント)で還元される。
500ポイントの還元を超えた場合、還元率は0%に下がる。従来カードが0.5%だったので、ここは大幅に減少する点だ。
そのため、
・チャージ&ペイを比較的少額使う人は新P+カードにメリットあり
・LINE Payをメインで使う人は従来カードを使うのがおトク
ということになる。
実際の利用シーンで「還元」を考察
もう少し現実的な利用シーンで考察してみる。
例えば、毎月チャージ&ペイで10万円を使う人なら、従来カードの還元額は500ポイント。新P+カードに切り替えると、1万円分までが5%還元されて500ポイントの還元となり、還元額としては変わらない。
しかし、1万円をチャージ&ペイで使う人なら、50ポイントと500ポイントなので大きな差になる。
一方、物理カードでの支払いで10万円を使う人だと、従来カードが1000ポイント、新P+カードが500ポイントとなるので、従来カードの方がお得だ。
仮にすべて物理カードではなくチャージ&ペイで10万円を支払った場合、新P+カードで500ポイントを稼いだあとは、従来カードのチャージ&ペイに切り替えれば、0.5%の還元となるので450ポイントが還元されるため、950ポイントとなる。この場合は単純に従来カードによるクレジットカード払いの方がお得になる。
こうした特徴から考えると、新しいVisa LINE Payクレジットカード(P+)は、少額利用を想定したカードと言える。
「LINEポイント圏内での最もお得な使い方」とは
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実際、「LINE Payの平均的なコード決済利用額を想定した設計」だとLINE Pay広報は語る。
高還元は利益を圧迫するため青天井にはできないが、普段の利用で簡単に上限に達すると使い勝手が悪い。ユーザーの平均利用額を考慮すると1万円上限が適しているという判断なのだろう。
つまり、「10万円を使う場合に還元率が低い」のは事実だが、「1万円までなら高還元」という点を重視した設計ということのようだ。
ややこしいのだが、LINE Payには「Visa LINE Payプリペイドカード」も存在し、Apple / Google Payに登録した支払いもできる。
銀行口座などからの現金チャージが必要だが、オフラインでの決済であれば還元率は2%ある。ただし、1カ月の還元額は5000ポイントまでなので、5万円の利用までが高還元となる(それ以降は還元なし)。
こうしたことから、LINEポイント圏内で最もお得に使おうとすると、利用方法をやや工夫することになる。例えば下記のような使い方だ。
- 新P+カードとP+カードを発行してチャージ&ペイをしつつ、物理カードしか使えない場所ではプリペイドカードを使用。
- チャージ&ペイで1万円、プリペイドで5万円の利用に達したら従来カードに切り替える
……という使い方が良さそうだ。
注意点としては、従来カードではチャージ&ペイによる請求書支払い、オンライン支払いもポイント還元対象だったが、新P+カードだと対象外。新P+カードはチャージ&ペイによるコード決済払い限定になっているのは気をつけたい。
なお、PayPay加盟店のうち、LINE Payが利用できるMPM方式(ユーザーが店舗のQRコードを読み取る形式)の加盟店であれば、新P+カードの5%還元は対象となる。
新規需要、2枚目需要の拡大を狙う
いずれにしても、LINE Pay側としては「クレジットカードをLINE Payに登録して、コード決済を使ってもらう」ユーザーを増やすという目的がある。
コード決済の利用でLINEアプリを起動してもらい、そのままLINEサービスの利用にもつなげるというのが最大の狙いだろう。利用額が大きめの人は、プリペイドカードや従来カードでカバーすることで、LINE Payをそのまま使ってもらうことも両立できる。
実際のところ、すでに従来カードを持っている人が2枚目の発行をする意味はそれほど大きいとは言えない。
が、即時発行で1枚目発行のハードルは下がり、500ポイント上限とはいえ、「高還元だからコード決済を使おう」という人は一定数いるだろう。
そうしたユーザーの獲得を目指すのが新P+カードの役割だ。
そこから決済利用を拡大してもらい、結果として従来カードの発行にもつなげるという道筋だ。
2枚目発行による発行枚数の拡大、利用の増加を狙っていくというのが、LINE Payの戦略と言えそうだ。