Reuters
新しいオーナーとなったイーロン・マスクCEOの下、このところツイッター(Twitter)では誤って解雇される従業員が続出している。同社の人事部は誤って解雇された従業員を素早く特定し、彼らを再雇用するための新しい社内システムを構築したという。
同社では、社内人事管理システムにWorkdayという管理ソフトを使っているが、採用権限を持つマネジャーなどの管理職が従業員をシステムに再登録する際、「手違いによる解雇」という表示ラベルを付けられるようになったと、同社に詳しい人物は言う。
また、別の人物によると、この新しいラベルは、マスクが1カ月前にツイッターを買収して以来、従業員が突然のレイオフや退職を間違って言い渡されるケースが続出しているために新設されたという。直近では、2022年11月24日の感謝祭(Thanksgiving Day)前夜遅くに、少なくとも2人の従業員が誤って解雇されたが、翌週の月曜(11月28日)には急遽再雇用されたという。
「社内はいまだに混沌としています」と、ある社員はマスク傘下の同社の状況を語る。
マスクCEOによる経営は、今のところカオスとしか呼びようがない。約7500人いた従業員を約2300人にまで削減したマスクは、昼夜を問わず社員にメールや指示を出し、批判的と思われる人物を解雇する一方で、経験が浅くても熱意のある人物を採用したりしている。採用された人の中には、ツイッターから解雇された社員を装って職にありついた者もいるという。
マスクによるツイッターの人員削減があまりに大規模に行われたため、同社は残された従業員に、レイオフされた同僚に復帰を呼びかけてほしいという指示まで出している。
一方、マスクはツイッター上に頻繁に投稿やコメントを続けている。さらに、ツイッターが投稿に対するモデレーション機能を変更したために、同社はアップルのApp Storeから排除される危険性まで出てきているという。
関係者によると、感謝祭の前にも、ツイッター社屋へ入館する際に必要なIDカードが手違いで使えなくなった社員や、社内のSlackにアクセスできなくなったり、コンピューターから完全にロックアウトされた社員も出ているという。まるで実際にクビになった人のように、もうツイッターの従業員ではないと感じさせられた出来事だったという。
解雇された人は通常、解雇確認のメールを受け取るが、そのメールも、社内の各種システムにアクセスできなくなった数時間後に送られてくることもざらだったという。
結局、社内IDやパソコンにアクセスできなくなった社員たちは、自分が本当に解雇されたのかどうか、上司や同僚にメールで確認しなければならない有様だった。また、正社員や契約社員の中には、同社のシステムへのアクセスを回復するために、新入社員と同じように会社のシステムに一から登録し直さなければならない人もいたという。