江沢民氏(2002年)
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中国国営の新華社通信は11月30日、中国の江沢民・元国家主席が白血病と多臓器不全で死去したと伝えた。96歳だった。
江氏は1926年生まれで江蘇省の出身。1946年には中国共産党に入党し、1947年に上海交通大学電機系を卒業。旧ソ連のモスクワにも留学し、技術官僚としてキャリアを重ねた。
上海市長や党中央委員会政治局員、党上海市委員会書記を経て、1989年の天安門事件で当時の趙紫陽総書記が失脚すると、当時の最高指導者だった鄧小平氏によって共産党総書記に抜てきされた。1993年には国家主席に就任。2003年までその地位にあった。軍トップの党中央軍事委員会主席も2004年まで務めた。
江沢民氏(1997年)
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文化大革命後、市場経済を導入や外資導入のための経済特区の設立など「改革・開放」政策を推進した鄧氏の路線を引き継ぎ、「社会主義市場経済」の名の下、のちにGDP世界2位となるいまの中国経済の基礎を築いた。後継の胡錦濤国家主席時代も中国共産党で指導的立場を維持。長らく影響力を持ち続けたとされる。
対日関係をめぐっては、愛国教育に注力。NHKは「1998年に日本を訪問した際には、歴史認識をめぐって強硬な発言を繰り返すなどして、結果的に日中両国の互いの国民感情が悪化する一因を作ったとも指摘」と伝えている。
江沢民氏(1999年)
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中国共産党中央委員会機関紙「人民日報」は「江沢民同志には先見の明があり、状況を把握し、常に中国と世界の全体的な発展、党と国の仕事の文脈で問題を観察し、考え、理論などの革新を絶えず推進した」「江沢民同志は永遠に不滅である!」などと功績をたたえた。
2019年の建国70周年には公の場に姿を見せて健在ぶりを示したが、習近平国家主席が異例の3期目の指導部をスタートさせた今年10月の共産党大会は欠席していた。
(文・吉川慧)