「食べ物を買うお金もない」ウクライナ侵攻に大金をつぎ込むプーチン大統領に、ロシア人からは怒りの声

プーチン大統領

ロシアのプーチン大統領(2022年11月23日、アルメニア)。

Contributor/Getty Images

  • ロシアでは、ウクライナでの戦争に力を注ぐ一方で国内問題を無視しているとして、プーチン大統領に対する非難の声が高まっている。
  • 自宅で暖房が使えないと不満を漏らす人々もいると、Daily Beastは報じている
  • ロシアはこれまでに、ウクライナ侵攻に約820億ドル(約11兆1100億円)使ったとフォーブス・ウクライナは試算している。

国民が凍える中、ますます支持が低下するウクライナでの戦争にプーチン大統領が大金をつぎ込んでいると、ロシアの人々は怒りを感じているとDaily Beastが12月1日に報じた。

ロシア軍がウクライナのインフラ施設を攻撃し、多くの人々を停電に追いやる一方で、ロシアの人々も西側諸国の制裁を受け、生活を維持するのに苦戦している。

ロシアの人里離れた地域 —— こうした地域は生活条件が一番厳しい —— で暮らしている人々は、自宅で暖房が使えないことや破裂した水道管について不満を漏らしていると、SNSへの投稿をもとにDaily Beastは報じている。

中でもチュメニやヤクーツクといった地域は深刻な状況で、この1週間で凍死する人が相次いでいるという。

「一家の唯一の稼ぎ手である若い男性が連行され、棺に送り返されています。彼らが前線で凍え、病気になり、命を落とす一方で、その家族は貧困生活を送っているのです」と兵士の母親委員会のバレンティーナ・メルニコワさんはDaily Beastに語った。

「当局は人の命にもはや関心がないようです」とメルニコワさんは付け加えた。

シベリア在住のロシア人ブロガー、ニコライ・ゾロトフさんは「暗黒時代です。ウクライナは暖房や照明なしで何とか生き抜こうとしています。ここハカシアでは生活が恐ろしく困難になっています」とDaily Beastに語っている。

「最悪なのは水道管の破裂ではありません。政府がウクライナの特別軍事作戦に大金をつぎ込む一方で、人々は整備の行き届かない都市でわずかばかりの給料で生活しているのです。食べ物を買うお金もありません」とゾロトフさんは話した。

2月にロシア軍が始めたウクライナ侵攻にプーチン大統領がいくらつぎ込んだのか、はっきりとした金額は分からない。

フォーブス・ウクライナは11月下旬、ロシアがこれまでに約820億ドル使ったと試算している。これは年間予算の4分の1にあたる。

軍の武器・装備に約290億ドル、兵士の給料に160億ドル、戦闘で死亡した兵士の遺族への支払い90億ドル以上がこれに含まれるという。

戦費はかさむばかりで、戦いを続けるには少なくとも月に100億ドルかかると、フォーブス・ウクライナは伝えている。

戦場での敗北が続く中、ロシアはイランや北朝鮮、シリアといった国々からの支援を求め始めた

また、動員されたロシア兵が訓練もほとんど受けず、装備も乏しい状態で配備されているとの報道は、ロシアの人々のさらなる批判を招いた

ウクライナに侵攻する前、プーチン大統領は貧困こそがロシアの抱える最大の課題だと認め、2019年には貧困をロシアの「最大の敵」と呼んでいたと、Daily Beastは報じている。

「市民の生活の質を向上させることが我々の主要目標だ」とプーチン大統領は語っていた。

ロシアの攻撃によって、ウクライナのエネルギーインフラの約半分が機能不全に陥っていることについて、世界保健機関(WHO)の高官は11月、ウクライナ各地で数百万人が電気も水道も使えない状態になっていると指摘した。

ウクライナの人々にとって、この冬は「生き延びられるかどうかが問題になるだろう」と警鐘を鳴らしていた。

※カラガンダはカザフスタンの都市です。原文の訂正に合わせて、アップデートしました(2022年12月5日9:35)。

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