グループリーグ第3戦のスペイン戦に勝利し、グループ1位通過を決め、喜ぶ日本代表。
Yukihito Taguchi-USA TODAY Sports
12月5日深夜24時に試合開始となる、FIFAワールドカップカタール2022大会(以下ワールドカップ)決勝トーナメント1回戦・日本対クロアチア戦。日本史上初のベスト8進出をかけた注目度の高い試合となるなか、ABEMAでは、一部アクセス制限を実施する可能性を発表した。
ABEMAが公表した最新レポートからは、ワールドカップによってABEMA視聴者が急増していることが見て取れる。
日本戦で視聴数激増。スペイン戦中継日は1日1700万超え
2022年11月22日、渋谷駅構内に掲示されたABEMAの広告。
撮影:吉川慧
ABEMAは、11月21日から開催されているワールドカップの全64試合を無料生中継しており、日本代表の初戦となったドイツ戦が放送された11月23日には、1日の視聴者数が開局史上初めて1000万を超えたことを発表。さらに、日本対コスタリカ戦が中継された27日には、同1400万と1日の最高視聴者数を更新していた。
日本中が熱狂に包まれた日本対スペイン戦が中継された12月2日には、ABEMAの1日の視聴者数は1700万を突破し「開局史上最高数値」をさらに更新した。
なお、日本対スペイン戦の試合終了直後には、サイバーエージェントの藤田晋社長がTwitterで次のようにコメントしていた。
言葉もないですが、ABEMAはこんな時間にも関わらず、また過去最高視聴を更新しました。
ご視聴ありがとうございました。。。。
#本田圭佑
#本田さん
#本田の解説
日本対スペイン戦の視聴数について、サイバーエージェントの広報に問い合わせると、「試合単体での視聴者数は発表しておりません」と具体的な回答はなかった。
視聴数激増で、収益への影響は?
なお、11月21日から日本のグループステージ第1、2戦目が行われた11月27日までの1週間の視聴者数(WAU)は3000万人を突破している。これも1週間単位での視聴者数としては過去最高だ。
2022年9月期の決算資料を見ると、WAUはもともと右肩上がりに成長を続けていた。ただそれでも、この9月までのWAUの過去最高が約1900万人であったことを考えると、ワールドカップ期間に入ってからの激増ぶりがよく分かる。
2022年9月までの1週間最高視聴数は1896万人。格闘技の中継を中心に、着実に視聴数を伸ばしてきた。
サイバーエージェント2022年9月期決算説明会資料
気になるのは、この視聴数の増加が事業収益にどの程度の影響を与えているのかという点だ。
ABEMAは、広告や有料会員サービス(ABEMAプレミアム)、PPV(課金コンテンツ)などで収益を得ている。
サイバーエージェントのメディア事業の収益構造。「周辺事業」が大きく伸びているのは、競輪やオートレースへのネット投票サービス「WINTICHKET」の売上が大きく成長したため。
サイバーエージェント2022年9月期決算説明会資料
サイバーエージェントは、ワールドカップ単体での収益への影響について、現時点では公表していない。ただ、ワールドカップがユーザー数の急増につながったことは間違いない。一方、配信のためのサーバー負荷が激増していることも容易に想像できる。
冒頭のクロアチア戦での「一部アクセス制限を実施する可能性」発表の背景には、想像以上のトラフィック増という「うれしい悲鳴」という状況も見え隠れする。
急増した視聴者が実際にその後も継続視聴者になったのか、また収益面に好影響があったのかは、今後明らかになっていくのだろう。