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作り置き、プロテインシェイク、魚の頭、アプリ… 生活費危機のイギリスでは、こうして食費を削っている

スーパーの店内の様子

Christopher Furlong/Getty Images

  • 食料品やエネルギー価格の高騰で、イギリスでは生活費危機が起きている。
  • 中には、節約のために夕食をプロテインシェイクやパスタの作り置きに変えた人もいる。
  • 売れ残った食品を割安価格で提供するアプリの利用も増えている。

「初めは生活費の高騰に恐怖感を抱きました」

そう語るのは、イングランド北西部のチェシャーに住むメンタルヘルスの活動家で講演者でもあるジョン・ジュニアさんだ。

生活費危機の中、Insiderではイギリスの人々がどのようにして食費を節約しているのか、取材した。

市場調査やコンサルティングを手掛けるカンター(Kantar)によると、イギリスでは10月に食料品の価格が14.7%上がっていて、1年間の食費が682ポンド(約11万3000円)上乗せされたことになるという。これほど価格が高騰するのは、カンターが2008年に調査を開始して以来、初めてのことだ。

コストは軒並み上昇している。イギリスでは規制当局がこの冬のエネルギー価格の上限を約2倍の年間3549ポンド(約58万8000円)に引き上げると発表したことを受け、政府は家庭の負担軽減措置に踏み切った。

それにかかる費用は国民保健サービス(NHS)全体と同規模だと、ジェレミー・ハント財務相はThe Timesに語った。

ジョン・ジュニアさん

ジョン・ジュニアさん。

John Junior

ジュニアさんは光熱費が一番の心配事だと話している。そのため、食料品といった生活必需品にかかる費用を削減しなければならないという。

「ここでの生活にはお金がかかります。でも亡くなった父が眠る場所なので、ここから動くつもりはありません」とジュニアさんは語った。

ジュニアさんの主な節約術は「作り置き」「パスタソースの冷凍」「献立の計画」、そしてリドル(Lidl)といった「格安スーパーの利用」だ。

「1食あたり1.80ポンド(約300円)… 以前は1回の食事に20ポンド(約3300円)かかっていました。わたしにとっては大きな節約です」

魚の頭、プロテインシェイク…

ユーザーがカテゴリー別に予算を立てられるバンキング・アプリ「HyperJar」は、顧客の42%が生活費危機を受け、食費と光熱費の両方を削るつもりだと答えているという。

さらに顧客の3分の2がジュニアさんのように、スーパーのお得なプライベートブランド商品の購入を増やしたと回答したという。

スタッフォードシャーでPR会社を経営しているジェニー・ホールデンさんは週に一度、夕食をピープロテイン・シェイクに切り替えたとInsiderに語った。

プロテインシェイクは「栄養価が高く、満腹感も得られる」だけでなく、養うべき家族1人分の口が減ることを意味すると、ホールデンさんは話している。

「子どもたちに新鮮な果物や野菜を食べさせてあげたいんです。わたしはなくても大丈夫ですから」

HyperJarのCEOで創業者のマット・ミジェンズ(Mat Megens)氏は、高級スーパーから格安スーパーに切り替えたり、買い物に行く回数を増やす顧客が増えているとInsiderに語った。

「必要なものだけを購入し、無駄を減らそうと、人々はシェフのように頻繁に買い物へ行っています。おかげで1度に購入する金額は安定しているものの、ひと月あたりの出費は増えています」とミジェンズ氏は指摘している。

「大抵の人々にとって、食料品の買い物は日々の出費の中でも一番大きなもので、家計に占める割合はますます大きくなっています」と同氏は付け加えた。

2022年に入って、スーパーマーケット・チェーンのテスコ(Tesco)はオフィスで働く人々に人気のランチセットの価格を2度、値上げした。10年間、3ポンド(約500円)で販売されてきたランチセットは、今では3.90ポンド(約650円)だ。

高級スーパーのウェイトローズ(Waitrose)の年次報告によると、同社では魚の頭やスパムの売り上げが30%以上伸びたという。

調査回答者の約72%は、食費を「より意識するようになった」と答えている。

ウェイトローズのエグゼクティブ・ダイレクター、ジェームズ・ベイリー(James Bailey)氏は「昨年の出来事が多くの人々にとって困難な状況を生み出しました。わたしたちも他のスーパー同様、そうした雰囲気を感じ取り、反応しなければなりませんでした。大きな変化が起きています」と話している。

アプリを通じて売れ残った食品を買う人が増えている

To Good To Go

Too Good To Go

こうした中、イギリスでは「Too Good To Go」 —— 売れ残った食品を詰めた「サプライズバッグ」を通常価格の約3分の1の値段でユーザーに販売し、食品廃棄物を減らすことを目指している —— のようなアプリを利用する人も増えている。

2022年の上半期には、イギリスで"救われた"食料品の袋の数が前の月に比べて100%増えたという。また、テイクアウトの料理やおやつよりも、生活必需品を求めるユーザーが増えているという。

Too Good To Goのイギリス・アイルランド担当の責任者ソフィー・トゥルーマン(Sophie Trueman)氏は「食料品が値上がりするにつれ、食品廃棄物に対する認識が明らかに高まっています」とInsiderに語った。

「この困難な時期に、わたしたちのモデルが人々をサポートできることを誇りに思っています」

家計のやりくりにまつわるコツを紹介するClean and Tidy Home Showを立ち上げたペニー・モイゼスさんも、こうしたアプリを利用している1人だ。モイゼスさんも「作り置き」や「料理のシェア」を勧めている。自身も近所の人々とWhatsAppのグループで料理をシェアしているという。

モイゼスさんは、スーパーの"オンラインで購入した商品を実店舗で受け取る"機能を使っているとInsiderに語った。そうすることで、予算をしっかり管理し、必要のない商品に誘惑されることもないという。

生活費危機によって多くの人々が新たな節約術を模索する中、イギリスの光景が変わりつつあることは明らかだ。

1200カ所以上のフードバンクを支援する慈善団体トラッセル・トラスト(Trussell Trust)では、"寄付される食料"を"配布する食料"が初めて上回り、緊急アピールを発信している。

イギリスのハント財務相 —— 2022年だけですでに4人目の財務相だ —— は11月、 一連の増税と歳出削減を柱とする総額550億ポンド(約9兆1000億円)規模の財政再建計画を発表した。光熱費の負担軽減措置は1年延長されたものの、2023年4月からは500ポンド(約8万3000円)値上がりする予定だ。

イギリスは首相も変わった。ただ、イングランド銀行(イギリス中央銀行)がここ100年で最も長い不況を見込む中、イギリスの人々は引き続きさらなる節約術を見つけなければならないだろう。

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