2023年の年明け早々に退任することを社内向けに発表したスチュワート・バターフィールド最高経営責任者(CEO)。
Brendan McDermid/Reuters
セールスフォース(Salesforce)傘下スラック(Slack)のスチュワート・バターフィールド最高経営責任者(CEO)が2023年1月に退任することが判明した。Insiderは、同氏が社内のスラックチャンネルに投稿した発表内容を確認した。
セールスフォースは数日前、創業者マーク・ベニオフ氏を支えてきた最重要パートナー、ブレット・テイラー共同CEOが2023年初頭に退任することを発表したばかりだ。
同社は2020年12月にスラックを277億ドル(約2兆9000億円、当時)で買収。バターフィールド氏をCEOに留任させていた。
Insiderがコピーを入手して確認したバターフィールド氏の投稿全文を以下で紹介しよう。
2023年の年明け早々、CEOを退任します。最高製品責任者(CPO)のタマル・イェホシュアとシニアバイスプレジデント(マーケティング・ブランド・広報担当)のジョナサン・プリンスも一緒です。
スラックには新たなCEOが誕生します。リディアニ・ジョーンズです。彼女は素敵な人物で、まさに適任と言えるでしょう。詳しくは後述します。
(念のため言っておきますが、ブレット[・テイラー、セールスフォース共同CEO])の退任とは関係ありません。自分の退任は何カ月も前から計画していたことです。タイミングが奇妙なほどに合致してしまいましたが!)
タマルとジョナサンは、スラックが新たな発展段階を迎える(同社は2019年6月に上場)重要な時期に、1カ月も間をおかず相次いでジョインしてくれました。二人は私より経験豊富で、多くのことを教わってきました(今日に至ってもなお、私が気づいていない学びもたくさんあると思います)。
2人のおかげでスラックは成長を遂げました。リーダーとしての貢献はもちろんのこと、チームプレーヤーとして経営陣の一人ひとりが輝けるよう尽力してくれました。スラックが存続する限り、二人がもたらしたものは残り続けるでしょう。
カル・ヘンダーソンは最高技術責任者(CTO)として残ります。素晴らしいことです。間違いなく、誇張抜きで世界最高のCTOだから。
そして、イェホシュアの後任にはシニアバイスプレジデントのノア・ワイスが就きます。スラック在籍期間は7年(!)、プロダクト開発のほぼすべての分野で一度は責任者を務めた経歴の持ち主で、スラックの遠大なプロダクト戦略はノアのリーダーシップに負うところが大きいです。
彼なら目線を高く持ち続け、さらに高みを目指していくことでしょう。おめでとう、ノア。
さて、自分はなぜ退任を決めたのか?
私たちは13年半前にこの会社を立ち上げました。思えば、長く険しい道のりでした。これからまた起業のような挑戦をするつもりはありません。月並みですが、家族と過ごす時間を増やしたいと思っています。1月に子どもが生まれるんです。
もうちょっと語らせてもらっていいでしょうか。ガーデニングをやれたらと思っているんです。他にも、個人的なプロジェクトに手をつけるとか、健康維持と真面目に向き合うとか、できるだけ多く新しいことを学んだりできるといいなと思っています。
さて、次のCEOに就任するリディアニの話をします。
皆さんの誰もが彼女を気に入るでしょうね。実利的で問題解決能力が高く、洞察力に優れ、情熱的で創造的、親切で好奇心旺盛。(集合の関係を視覚化した)ベン図で言えば、賢明さ、謙虚さ、勤勉さ、協調性の円が重なる小さな菱形の中心にいるのがリディアニです。
セールスフォースにやって来る前は、ワイヤレススピーカーのソノス(Sonos)で4年弱、ソフトウェアプロダクトマネジメント担当のバイスプレジデントを務め、その在任時にスラックに惚れ込んだのです。
彼女は私たちと同じように、スラックのプロダクトに対するアプローチ、顧客に対するこだわり、独特のカルチャーに深い敬意を抱いています。
また、リディアニはセールスフォース社内で絶大な信頼を得ており、スラックのビジネス、顧客、従業員の擁護者として動いてくれると思います。
彼女はマーケティングクラウドやカスタマークラウド、自動化支援プラットフォーム「フロー(Salesforce Flow)」担当のエグゼクティブバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーとして、テクノロジーとビジネスの改革を進め、社内の信頼を勝ち取りました。その成果は今後数年間にわたって効いてくるでしょう。
当然のことながら、皆さんにまだまだ詳しくお伝えしたいことはあるのですが、リーダーそれぞれに自分の言葉で語ってもらうことにします。
今回の発表は極めて大きなニュースだと認識しています。私とのつき合いがそれなりに長い人たちなら分かると思いますが、私は自分が納得できないこと、信じていないことは口に出さない、口にできない人間。なので、私が「すべてうまくいく」と言ったら、信じてくれて大丈夫です。
リディアニ、カル、ノアの3人の間ではすでに素晴らしい化学反応が起きて、スラックの組織および従業員個々の成功を目指して取り組んでくれています。
ボブ(ロバート・フラティ)は最高セールス&サクセス責任者に留任し、シニアバイスプレジデントの3人、マーケティング担当のマイケル・ピーチィ、法務担当のスティーブン・リー、従業員サクセス担当のデイビッド・アード、さらにチーフオブスタッフのロビー・クォックも、引き続きリディアニの下でリーダーシップを発揮し続けてくれると思います。
本当にありがとうございました。感謝の気持ちを伝えようとしてもなかなかできなくて、ここまで書いたら涙が出てきて、ようやく自分の一番思っていることを伝えられそうです。ありがとう(ハートの絵文字)。