Z世代は、テック業界の一部が実施している解雇を避けたいと考えている。
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- 2023年には不況が到来する可能性があり、一部の企業は既にレイオフを実施している。
- Z世代は夢の仕事を追いかけるよりも雇用の安定性を重視するようになってきている。
- 過去の景気後退期には、失業はアメリカの若者に多大な影響を与えてきた。
不況が2023年に迫っていることから、Z世代(1997年から2012年頃生まれた)の中には、夢の仕事に就くことを先延ばしにしている人もいる。その代わり、彼らは不況に入っても仕事を確保できるように取り組んでいる。
Z世代の財政と経済予測を見ればその理由がわかる。
ニューヨーク連邦準備銀行によると、アメリカのクレジットカード債務は、2022年前四半期において過去20年間で最も増加した。全年齢層で支払遅延が増加しているが、最も増加したのは18歳から29歳の若者だった。
「今の時点では、生きていくのに必要な額をかき集めるのがやっとだ」と、2万ドル(約273万円)以上の借金を抱えるZ世代の若者が以前Insiderに語っている。
経済の専門家は引き続き2023年は不況になると予測している。さらに、ツイッター(Twitter)、メタ(Meta)、CNNといったテック企業やメディア企業ではレイオフが行われている。このような状況にあるため、雇用の安定性を優先するZ世代が生まれているのだ。
「最近、仕事を辞めさせられる人が多いので、もっと安定した仕事を探そうと目が覚めた」とサンフランシスコ州立大学4年生で21歳のジアナ・ガイタン‐ナランホ(Giana Gaitan-Naranjo)は、ニューヨーク・タイムズ(NYT)に語っている。
2022年6月、ネットワーキング・プラットフォームのHandshake(ハンドシェイク)は、約1400人の大学新卒者と現役の大学4年生に就職活動で何を優先させるかを質問した。その結果、74%が「仕事の安定性」と回答し、「有名企業で働くこと」や「急成長している業界で働くこと」が非常に重要だと回答した人は半数以下にとどまった。
回答者の半数近くが、以前よりも多くの仕事に応募する予定だと回答した。また3分の1以上が、より多くの業界に仕事の範囲を拡大していると答え、18%の人が早く就職活動を開始する予定だと回答した。
「自分が卒業した時点で、実際にどれだけの仕事があるのかが不安だ」という回答もあった。
Z世代が最も恐れるのは「失業」
この調査が行われたのと同時期、ミレニアル世代(1981年から1990年代半ば頃生まれ)はZ世代に対し、「仕事の安定性が過大評価されている、そうではなく、20代は自分が何に情熱を注げるかを見極めることに費やすべきだ」とTikTokで話している。
「20代は安定性を過大評価している。基本的なニーズが満たされていればいい」と TikTokユーザーのキム・スヒョン(Su Hyun Kim)は動画で話している。
しかし、経済的に余裕があり、失業するリスクが低ければ、雇用の安定を心配する必要はない。不況の打撃を最も受けるのは若いアメリカ人なので、Z世代が特に雇用の安定性を優先することは賢明なのかもしれない。
例えば2020年、2月に8.0%だったZ世代の失業率は、4月に一気に26.9%まで増えた。一方、X世代(1965年代半ばから1980年頃生まれ)の失業率は同じ時期2.9%から11.7%に増えただけだった。
若者が長期間失業したままでいると、長期的な影響を被る可能性がある。アメリカ国勢調査局(Census Bureau)によると、2005年から2017年の間に平均的なミレニアル世代は潜在的収入の約13%をグレート・リセッション(Great Recession)によって失ったことが分かったという。
しかし今のところ、アメリカの失業率は過去50年間で最も低い水準に近く、1000万件を超える求人がある。もしZ世代が安定性を重視しているのならば、少なくとも短期的には、多くの人は職を保つには有利な立場にあるはずだ。
2023年は失業率が上がると予想されているが、一部のZ世代には、求人をふるいにかけ、最高に安定性のある職を探す機会があるかもしれない。そうしておけば、不況が来たときに備えることができる。