マクドナルドの店の外に掲げられた看板。採用後に500ドルのボーナスを提供すると書かれている。
AP Photo/Keith Srakocic
- マクドナルド、サブウェイ、パネラブレッドはテイクアウトとドライブスルーに対応する新たな技術を発表した。
- これらの店は人手不足に対応してデジタル注文技術を導入している多くのチェーン店に加わったことになる。
- ここでは音声ボット、調理ロボット、モバイルオーダー専用のレーンなどを導入する13の外食チェーンを紹介する。
マクドナルド(McDonald's)とサブウェイ(Subway)は最近、テイクアウトとドライブスルーでの注文に対応する新たな非接触テクノロジーを発表した。
この全米最大級の店舗数を誇るファストフードチェーン2社も、人手不足が続き、サービスの高速化と人員削減を伴うイノベーションに大きな賭けをする外食企業の競争に加わった。
チポトレ(Chipotle)、ドミノ・ピザ(Domino's)、チェッカーズ&ラリーズ(Checkers & Rally's)は、注文を受ける際にAIを搭載した音声ボットを採用している。一方、スイートグリーン(Sweetgreen)などのファストカジュアル(ファストフードとカジュアルレストランの中間の業態)のチェーン店は、デジタルオーダーした商品を速やかにピックアップできるドライブスルーのレーンを導入しているところだ。
外食産業の自動化が急速に進んでいる背景には、労働市場の見通しが厳しい状況がある。2022年12月2日に発表されたアメリカ労働省のデータによると、外食産業の労働者数は新型コロナウイルスのパンデミック前の水準と比較するとまだ40万人も不足している。
ここでは、デジタル顧客向けに労働力を補強し、サービスを迅速化する技術を導入する13のチェーン店や外食企業を紹介する。
チポトレは2018年に初めてチポトレーン(Chipotlane)を導入した店をオープンした。この新形態の店舗ではモバイルオーダー専用のドライブスルーのレーンを設置している。このレーンは、消費者の注文と配達ドライバーの集荷のスピードを上げるために設計されたものだが、やがて全米のチェーン店がチポトレを真似るようになった
カリフォルニア州コスタ・メサのチポトレーン。
Nancy Luna
2022年9月、モバイル・ドライブスルー・レーンのある500店舗目をオープンした際、チポトレはチポトレーンの設置店舗は従来の店舗より「大量の注文を受けることができ、リターンが大きい」ことを実証し、収益性の高い店になったと述べた。2023年は同社は、255~285の新店舗計画のうち80%にチポトレーンを導入する予定だという
チポトレの店舗。
Chipotle
2022年11月中旬、ファストカジュアル・チェーンのスイートグリーンは、ドライブスルーを設置した初の店舗をオープンした。このサラダチェーンは、この新デザインの機能を「スイートレーン(Sweetlane)」と呼んでいる
スイートレーンの完成予想図。
Sweetgreen
2022年6月、チキンのファストフードチェーン、チックフィレイ(Chick-fil-A)は、ドライブスルーのエクスプレスレーンのテストを開始したと発表した。エクスプレスレーンを備えた店舗では、モバイルアプリを利用した客は従来のドライブスルーのレーンではなく、エクスプレスレーンで自分のオーダーした商品を受け取れるようになるという
チックフィレイが試験的に設置したエクスプレス・ドライブスルー・レーン。
Chick-fil-A
コンバースナウ(ConverseNow)のようなテック企業は、AIを搭載したバーチャルアシスタントで、電話注文を受けるプロセスを自動化した技術を開発し、その方法を急速に進化させている。コンバースナウの技術は、ドミノ・ピザやファゾーリ(Fazoli's)などを含む1250以上の店で使われている
ドミノ・ピザのイノベーション・ラボ。
Nancy Luna
チェッカーズ&ラリーズは、AIを搭載した音声アシスタントの展開を実施した最初の大手外食企業のひとつになったと発表した。チェッカーズ&ラリーズ全803店舗のうち280店舗で音声AIが稼働している
チェッカーズ&ラリーズの自動ドライブスルーの完成予想図。
Checkers
タコベル(Taco Bell)の最新ドライブスルーのイノベーションでは、サービスのスピードアップを狙っている。2022年6月、同社はミネソタ州に4つのドライブスルーのレーンが設置された新店舗タコベル・デファイ(Taco Bell Defy)をオープンさせた。この店舗にはチポトレーンのようにモバイルオーダー専用のレーンがある
ミネソタ州ブルックリンパークにあるタコベルの新コンセプト店舗。
Taco Bell
ファストカジュアル・チェーンのパネラブレッド(Panera Bread)は、2022年秋、ニューヨーク州北部の2店舗でAIを活用したドライブスルー技術のテスト運用を開始した。スタートアップ企業のオープンシティ(OpenCity)が作った自動ボット「Tori」がドライブスルーの客の注文を受けている
パネラブレッド。
Panera Bread
ファーストフードチェーン、ポパイズ・ルイジアナ・キッチン(Popeyes Louisiana Kitchen)の一店舗で、パネラブレッドと同じオープンシティの音声ボット「Tori」を使い、2022年4月からドライブスルーでのテストを開始した。ポパイズによると、このボットを使ったことでサービスは20%スピードアップし、「Tori」が炭酸飲料やサイドメニューやデザートなど利益率の高い商品を自動的に勧めるため、ドリンクの売り上げも150%増加したという
Mary Meisenzahl/Insider
バーガーキング(Burger King)の親会社であるレストラン・ブランズ・インターナショナル(Restaurant Brands International)は、最近フロリダ州のマイアミにデリバリーに特化したフードホールをオープンさせた。このフードホールはバーガーキング、ポパイズ、ファイヤーハウス・サブズ(Firehouse Subs)など複数のチェーンの食事をひとつのセントラルキッチンで提供するものだ
バーガーキングの親会社がマイアミにオープンした 「カイロ・フードホール(KYLO Food Hall)」。
RBI
カイロ・フードホールはウォークイン・オーダー用のキオスクを設置し、レジを設置していない
レストラン・ブランズ・インターナショナルがオープンした新しいフードホール、カイロ・フードホール。
RBI
2022年12月1日、マクドナルドは、デジタルオーダーした商品がベルトコンベアーで運ばれ、ドライバーが受け取れる オーダー・アヘッド・レーン(Order Ahead Lane) のある店舗をテキサス州にオープンさせた
McDonald's
2022年9月、サンドイッチチェーンのサブウェイは、カリフォルニア州のカリフォルニア大学サンディエゴ校(UC San Diego)内に、同社初の無人スマート冷蔵庫を設置した。冷蔵庫にはAIが搭載されており、包装されたサンドウィッチが常備されている。サブウェイによると、客はスマート冷蔵庫に直接話しかけ、中の商品について尋ねることができるという
サブウェイのスマート冷蔵庫(左)とサンドイッチ。
Subway; Jörg Carstensen/Picture Alliance via Getty Images
チリーズ・グリル・アンド・バー(Chili's Grill & Bar)は、ハンバーガー、ステーキ、チキン、サーモンの調理時間をプログラムし自動化するようプログラムされた先端技術を搭載したグリルを使っている。このグリルを使えば焼き加減がミディアム、または「中心がピンク色」のバーガーは約50秒で焼き上がるという
チリーズの新しいワンタッチプログラム式グリル。
Nancy Luna/Insider
2021年12月、シェイク・シャック(Shake Shack)は、ミネソタ州メープル・グローブに初のドライブスルー店舗をオープンした。このうち1つのレーンはモバイルオーダーのピックアップ専用となっている
Shake Shack
Source: Restaurant Dive
チポトレは2018年の初めに、電話注文にAIを搭載した音声アシスタントのテストを開始したが、キッチンでもイノベーションを進めている。2022年、同社はミソ・ロボティクス(Miso Robotics)のトルティーヤチップ製造ロボットでChippyのテスト使用を始めた。
人物の背後にトルティーヤチップ製造ロボットChippyが見える。
Chipotle