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- 2022年のブラックフライデーとサイバーマンデーには、Z世代の買い物客が殺到した。
- しかし、彼らの多くは「BNPL(今買って後で払う)」のサービスを利用してホリデーショッピングをする。
- BNPLは購入代金を簡単に支払う方法に思えるが、それで借金を重ねてしまう若い消費者もいる。
アメリカではZ世代の旺盛な購買意欲が、2022年のホリデーシーズンの消費を牽引しているが、そこにはリスクが潜んでいる。
今回の年末商戦は盛り上がりに欠けるだろうと予想されていたが、ブラックフライデーとサイバーマンデーには多くの人がかなりの買い物をしたようだ。全米小売業協会のデータによると、感謝祭(11月24日)から5日間のホリデーショッピング期間に買い物をしたアメリカの消費者は過去最高の1億9670万人で、その多くがZ世代だったとCNNは報じている。
市場調査会社NPDのアパレル業界アナリスト、クリステン・クラシ-ズンモ(Kristen Classi-Zummo)はCNNに、「今回のブラックフライデーで目立ったのは、多くのZ世代が店舗に出向いたことだ」と述べている。
「若い消費者がショッピングモールに殺到し、ブラックフライデーが社交イベントのようになった。彼らは早い時間から友人と一緒に買い物をするために訪れたのだ」
小売業者は若い買い物客が殺到することを喜んでいるようだが、彼らは今年の年末商戦でお金を使い過ぎ、借金を重ねてしまう危険性が高いという。
2022年8月にアメリカで2415人の成人を対象としてBankrateが行った調査によると、今年は若い消費者が経済的なストレスを最も強く感じる可能性が高いことが明らかになった。ホリデーシーズンには自分の許容範囲以上の出費をしなくてはならないというプレッシャーを感じるだろうと答えたのが、ミレニアル世代とZ世代では合わせて24%だったのに対し、X世代とベビーブーマー世代ではその半分の12%だった。
さらに、ミレニアル世代・Z世代の30%が、このホリデーシーズンの出費により家計が圧迫されるだろうと回答し、32%がホリデーショッピングでクレジットカードを何度も利用したり、「BNPL(buy now, pay later:今買って後で払う)」のサービスを利用したりして借金を抱える見込みだと回答した。
Forbes AdvisorとOnePollが1000人の買い物客を対象に行った別の調査では、64%が今年のホリデーショッピングでBNPLサービスを利用すると回答し、70%がそれらのサービスを利用して予定以上の出費をするつもりだと回答した。
小売業者はすでに、BNPLの買い物客が増加していることを目の当たりにしている。アドビ(Adobe)のデータによると、サイバーウィーク(11月24日の感謝祭から11月28日のサイバーマンデーまでの期間)のBNPL注文は、その前の週と比較して85%も急増したという。
魅力的だがリスクが高い
BNPLサービスは、特に若い消費者の間で人気が高まっている。というのも一般的に手数料はごくわずか、あるいは無料で、即日融資も可能、さらに、無利子の4回払いにすることもできるという、一見簡単で負担の少ない支払い方法であるように思えるからだ。しかし、アメリカの消費者金融保護局によると、こうしたサービスは消費者にさらなる出費や融資を促し、返済できなくなるほどたくさんのローンを一度に組むことにつながる可能性があるという。
BNPLを頻繁に利用する若い買い物客の中には、数千ドルの負債を抱え、クレジットスコア(信用度)を悪化させる者もいる。オンライン銀行Oxygenが2021年のホリデーシーズンに買い物をした人を対象に行った調査によると、半数以上がBNPLで買い物をしたものの返済できなくなったと回答したと、CNBCが報じている。
ハーバード・ケネディスクール、モサバール・ラフマニ・センターのシニアフェローであるマーシャル・ラックス(Marshall Lux)は、ギフトの代金を分割で支払うことで「クリスマスを祝うことができるが、長い目で見れば自身の信用を損なうことにつながっている」とCNBCに語っていた。