株を長く持つほど議決権が増える。「パーパス経営」時代の新しい証券取引所のかたちとは?【入山章栄・音声付】

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Long-Term Stock Exchangeのサイトよりキャプチャ

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

短期で売買を繰り返すトレーダーよりも、長期で応援してくれる株主と良い関係を築きながら会社を成長させていきたい——経営者の共通の願いではないでしょうか。そんな理想を実現すべくアメリカで立ち上がったのが「ロングターム証券取引所」です。こうした仕組みはうまくいくのでしょうか?

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:7分55秒)※クリックすると音声が流れます

株を長く持つほど議決権が増える証券取引所

こんにちは、入山章栄です。

10年ほど前ですが、『リーン・スタートアップ』という本が話題になりましたね。今回はその本の著者でシリアルアントレプレナーのエリック・リースが、2019年に創設した証券取引所の話題です。


編集部・常盤の写真

BIJ編集部・常盤

入山先生、ロングターム証券取引所(LTSE:Long-Term Stock Exchange)というものをご存知ですか? 私も最近知ったのですが、この証券取引所の特徴は、より長く株式を保有しているほど議決権を与えられる仕組みになっていることです。興味深いと思いませか?

それというのも、イーロン・マスクがツイッターを買収してから、いろいろな騒動がありましたよね。ツイッターにとってこれが良いことだったかどうかは時の検証を経ないと答えは出ないでしょうが、私は「お金さえあれば会社を買って好きにすることもできてしまうの?」とちょっとモヤモヤしてしまいました。それよりもLTSEのように、長く応援してくれる株主ほど声が大きくなるという制度のほうが、会社にとって幸せなのではないか、と。

でもLTSEのサイトを見るかぎり、今のところLTSEに上場しているのは大手テック企業のAsanaとTwilioの2社のみ。LTSEのような動きは今後広がっていくのか、それとも限定的なものなのか。入山先生のご意見はいかがでしょうか。


僕はLTSEに詳しくありませんが、これは興味深いし、共感できるところがあります。

実は先日、ユーグレナの出雲充さんと対談をして、まさにこのテーマで話をしたばかりなんですよ。

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