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小遣いの25%は「家族税」。型破りな家庭内経済システムで、子どもたちは何を学んだか?

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「家族税」付きの小遣い制度を取り入れたフラー家の人々

Fuller family

  • フラー夫妻は娘たちが幼かった頃に、「家族税」を課した小遣い制度を取り入れた。
  • 娘たちの小遣いから徴収したた25%の税金は家族で使うため貯金として、その使い道は家族全員で決めるのだ。
  • いまや30代になった娘たちは、そのシステムを通して税金の仕組みや予算を立てるということを学び、今でもその経験が役に立っていると感謝している。

ジェフ・フラー氏は、2人の娘が3歳と1歳だった時、あることを思いついた。「子供には幼いうちに問題のない程度の間違いはさせるべきだ」という同僚のアドバイスに触発され、娘たちが社会に出た時に役立つ訓練として、あるシステムを考えたのだ。大人になると最も必要になる「お金の管理術」を身につけることができる小遣い制度だ。

ジェフ氏がこの型破りなアイデアを妻のレスリー氏に話したところ、彼女は大いに賛成し、すぐにこのシステムを取り入れた。2人の娘、ダニエルさんとサミさんに、3歳なら週に3ドルと年齢に比例した額の小遣いを与え、その代わり年齢と同じ数の家事を課したのだ。

つまり、ダニエルさんが3歳の時は3歳児にできる家事を3つ任せ、その対価として週に3ドル与えた。毎年1つ歳を重ねるごとに小遣いは1ドル上がり、担当する家事の数も1つずつ増やしていった。

娘たちから25%の「税金」を徴収

フラー家のシステムは賢い方法ではあるが、わりと普通のようにも見える。しかし、そこにはもうひとつの仕掛けがあった。社会に出たら税金を払うのと同様に、ジェフ氏とレスリー氏は娘たちの小遣いに課税したのだ。フラー家の小遣いに掛けられた税率は25%で、さらに25%は貯金するよう促した。そして10%は慈善団体に寄付するよう勧めたが、それは任意だった。残りの40〜50%は好きなように使えた。要するに、2人にとって本来の小遣いはそれだけだったのだ。

他所の子どもたちと違って、ダニエルさんとサミさんは気まぐれにおねだりをしたり親にお金をせがんだりすることはなかった。反対に、2人は自分のお金を節約するのも自分の責任、衝動買いに使うのも自分の責任だということを理解していた。

姉妹が納めた税金は家族で使う

3歳児の小遣いに25%の税金をかけるなんて酷い親だと思う人もいるかもしれないが、そのお金をジェフ氏とレスリー氏は懐に入れていたわけではない。彼らは家庭という小規模の経済システムの中でそのお金をさらに回すために、娘たちが納めた税金を家族の貯金箱に入れていたのだ。

貯金箱が満杯になってくると、そのお金を何に使うか家族4人で民主的に決めた。まず、それぞれが欲しいものを申告し、投票で決定した。10年間で家族税を使って買った物はトランポリンから電子レンジまで、多岐にわたる。

「親が幼い娘たちを投票で負かして電子レンジを買うなんて、汚職が浸透した小さな政府のようだ」と言う人もいるかもしれないが、実際は投票で勝って家に電子レンジが来たことを今でも喜んでいるのは娘たちの方だ。母親のレスリー氏は古いものでもあと数年使えると思っていたが、夫と娘たちの方が壊れかけた電子レンジにうんざりしていて、新品を買う方に投票したのだ。

家庭内経済システムで学んだ経験が役立ち、責任ある大人に成長

筆者自身3人の子を持つ母親として、子育てに関するアドバイスは、長期的に見て良い結果を生んだ育児方法をした人に聞くのが一番良いと学んだ。それがまさにフラー家の育児方法だ。Zoomでフラー家の4人と話をした時、サミさんは父親をからかったり、ダニエルさんは母がネガティブに取られてしまいそうな話になると庇ったりしていた。家族全員で思い出を語り、笑い合い、共に喜び、互いに忠誠心を持ち、尊重し合う。まさにどこの親もいつか自分の子どもたちと分かち合いたいと思うものがそこにあった。

30代に成長したダニエルさんとサミさんが、たいていの親が理想とする大人に成長したことだけでなく、姉妹が今の自分たちがあるのは型にはまらない方法で育ててくれた両親のおかげだと感謝していることが素晴らしい。例えば、家族税を何に使うかを決める家族会議で、交渉やプレゼンのスキルが身についたと2人とも感謝しているのだ。

サミさんは以前、貯金にゆとりができるまで大きな買い物をしないと主張して友だちを困惑させたことをよく覚えている。幼い頃、家族でディズニーワールドに行った時に、貯金を全額はたいて手品キットを買ってしまい、もう他に何も買えなくなったと気付いた瞬間、ひどく後悔した経験が生きているのだ。

予算ギリギリの家を購入したばかりに家具を買い揃えるお金がなくなってしまったなど、普通は大人になってから痛い思いをして学ぶことを、サミは幼いうちに身をもって学んだのだ。このような経験談から、ダニエルさんはフラー家の小遣い制度を、「ゆりかごから墓場まで」、生涯かけて学ぶ金融リテラシーと呼んでいる。

娘たちの年齢に応じてシステムも進化

ジェフ氏とレスリー氏は娘たちの成長と共にシステムを進化させた。2人がティーンネイジャーになると、2人の年齢と同じ数の家事を毎週用意するのは難しいと感じるようになり、代わりにポイント制を取り入れた。

大変な家事ほどポイントを多く獲得できるようにし、2人それぞれに家事を割り振るのではなく、獲得できるポイントを明記した家事の一覧表を冷蔵庫に貼った。どの家事を誰が取るかは早い者勝ちだ。いつしか、土曜の朝どちらかが起きる前にポイントの高い家事を勝ち取ることが姉妹の習慣になった。

そこがフラー家のシステムのすごいところだ。報酬だけでなく、「仕事はチャンス」「家族への投資は自分への投資だ」という価値観を持った大人になって欲しいと親たちが願う必然的な現実を通じて、子供たちにきっかけを与えていたのだ。

このようなシステムは重すぎると感じる子どももいるかもしれないが、フラー家の姉妹は両親に難題を強いられたとは一切感じていない。むしろ、両親と一緒に乗り越えてきたと感じているという。

ジェフ氏とレスリー氏は娘たちに苦労をさせたが、彼女たちを見捨てるようなことはしないと家族全員が分かっていた。ダニエルさんのその見解に、筆者はジェフ氏がそもそもこのシステムを思い付くきっかけになったアドバイスを思い出した。「子どもには若いうちに間違いをさせろ、大した問題ではないのだから」。

妻のレスリー氏もこう付け加える。「子どもに決断力を付けさせたかったら、決めさせてみればいい。親の許す範囲で試す機会をあげよう」。

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