Muhammed Selim Korkutata / Anadolu Agency
- 米ツイッターの「Trust & Safety協議会」のメンバー3人が辞任した。
- マスクが所有者になってから、ツイッターでヘイトスピーチが激増していることが、2つの監視団体によって明らかにされた。
- 「イーロン・マスクの主張とは裏腹に、ツイッターのユーザーの安全と幸福は低下している」と、脱退する3人のメンバーは声明で述べている。
ツイッターからの流出は続いており、今度はTrust & Safety(信頼と安全)協議会の3人のメンバーが脱退した。
2016年に設置されたツイッターのTrust & Safety協議会は、数十人の個人と独立した組織で構成されており、ツイッターは「安全を擁護し、製品、プログラム、ルールを開発する際に助言する」のが役割だと述べている。
脱退を表明したメンバーは、The Net Safety Collaborativeの創設者兼エグゼクティブディレクターのアン・コリアー(Anne Collier)、Youth, Adult Survivors & Kin In Need(YAKIN)の共同創設者のエーリアニ・アブドル・ラフマーン(Eirliani Abdul Rahman)、西シドニー大学Young and Resilient Research Centerのアドバイザーのレスリー・ポデスタ(Lesley Podesta)の3人。
「イーロン・マスクの主張とは裏腹に、ツイッターユーザーの安全と幸福が低下していることが調査の結果から明らかであるため、ツイッターのTrust & Safety協議会を辞任する」と、2022年12月8日にコリアーが共有したプレスリリースには書かれている。
調査とは、Center for Countering Digital HateとAnti-Defamation Leagueという2つの監視団体によるもので、マスクがツイッターを買収して以来、黒人やゲイに対する中傷や反ユダヤ主義的な投稿など、ツイッター上でヘイトスピーチが急激に増加していることが最近報告された。
「マスクCEOには表現の自由があるのだから、デジタルの安全性を定義することを認めるべきか、という疑問が我々の頭の中にあった。我々の答えは絶対的な『ノー』だ」とコリアーは説明を続けている。
「絶対的な命令が支配するツイッターは我々の居場所ではない」
マスクは自らを「言論の自由絶対主義者」と呼んでおり、専門家らはヘイトスピーチ、誤報、嫌がらせに効果的に対処するツイッターの能力を弱める可能性があると指摘している。
コリアーによると、議員たちはマスクがCEOに就任して以来、「コミュニケーションの欠如を不思議に思っている」という。さらに、マスクが就任してから行ったいくつかの変更により、ツイッターの安全性の確保に警戒感が高まっており、その中には同社が外注しているコンテンツモデレーターのポジションを削減したことも含まれているという。ツイッターのTrust & Safetyに関する新しい責任者であるエラ・アーウィン(Ella Irwin)はロイターに対し、同社はコンテンツモデレーションのために一部の手動レビューを廃止し、代わりに自動化に大きく依存するようになったと述べた。
「多くの報告については人間によるレビューが必要だ。なぜなら、それらは非常に微妙なニュアンスを含み、オフラインの生活との関連性が非常に強いからだ。プラットフォーム上にはそのようなコンテキストはない」とコリアーは述べている。
「そのため、機械学習アルゴリズムがそれらすべてを検出したり、すべてについて決定を下したりすることは非常に困難だ」
新しいTwitter Blueサブスクリプションモデルの件もある。これは月額8ドルでプラットフォーム上で認証を購入することができるものだ。これまでツイッターは、青色のチェックマークを付ける前にユーザーの身元を確認していた。
「ツイッター上での認証は、信頼性と説明責任に関するものであるはずであり、それは通常、購入できるものではない。したがって、人々に認証や信頼性を買わせるだけでは、そこには信頼性はない」 とコリアーは述べた。
「青いチェックマークや認証バッジを見たところで、ユーザーはそれが何を意味するのか分からないし、それを信用することもできない」
コリアーはInsiderに対し、マスクが所有するツイッターがプラットフォーム上の安全性への取り組みを改善すれば、協議会に復帰することを検討すると述べた。しかし、今のところ、アブドル・ラフマーンとポデスタがリリースで繰り返しているように、彼らは誓いが破られたと考えている。
「イーロン・マスクによるツイッターの買収交渉について、私はあえて言えば、恐る恐る見ていました」とアブドル・ラフマーンはリリースで述べている。
「当時、私は自分自身に対していくつかの約束を書き留めていた。マスクがそれを越えたら、私は辞職すると自分に言い聞かせていた。彼はそのレッドラインは越えてしまった」
ポデスタはInsiderへのコメントの中で「すべてのユーザーの安全と保護が常に最優先されていた。ポリシーがあることは重要だった。それはモデレーションに関する決定がどのように評価されるかを皆が知っていることを意味する。その慎重なプロセスが破綻してしまったようだ。ここ数カ月、人種差別、暴力、ヘイトスピーチが増加しているのを見て、深く悲しんでいる」と述べている。