アフマダーバード郊外では、猛暑で道路にかげろうが(2022年5月22日、インド)。
Amit Dave/Reuters
- インドの一部地域は今後、人間が生きるには暑くなり過ぎる恐れがあると、最新の報告書が警鐘を鳴らしている。
- 同報告書は、インドの労働者はすでに「生命を脅かす可能性のある気温」の中で働いていると指摘している。
- リスクを緩和するため、持続可能な冷却技術に投資するよう報告書はインドに勧めている。
世界銀行の最新の報告書は、インドの一部地域では数年以内に人間が生存できる気温を超える恐れがあると警鐘を鳴らしている。
インドの現地メディアやイギリスのIndependentが詳しく報じた。
12月10日に公表されたこの報告書には、冷却技術への投資に向けたさまざまな提言などが含まれている。温暖化が進む中、この分野への需要は急速に高まると見られている。
報道によると「インドはまもなく人間の生存限界を超える熱波を世界で初めて経験する場所の1つになる可能性がある」と報告書で指摘されているという。
報告書はインドのケララ州政府と世界銀行の2日間に及ぶ会議に合わせて準備されたものだと、Independentは伝えている。
インドはすでに今年、数週間に及ぶ激しい熱波を経験していて、複数の都市で気温は43度を超えた。
アメリカやヨーロッパの一部地域も暑さに加えて、高い湿度や多発する山火事に苦しめられたが、インドはそうした中でも最も気温が高かった。
インドの首都ニューデリーでは気温が45度を超え、こうした熱波が「憂慮すべき頻度で増加している」と報告書は指摘している。
気候科学者たちは圧倒的に、長期的な気温の変化は人間による炭素排出に起因すると考えている。
インドが炭素排出を抑制しなければ、熱波は「2036年から2065年までに25倍長期化する可能性が高い」と世界銀行の報告書はG20による2021年の評価を引用し、指摘している。
同報告書によると、熱波の影響を受けやすい労働者を守るために、インドでは「全てのセクターに大規模な冷却インフラ」が必要になるという。
「インドの労働人口の最大75%、3億8000万人が暑さにさらされる仕事に頼っている。生命を脅かす可能性のある気温の中で働く仕事だ」と報告書は指摘している。
多くの人々が「生命を脅かす可能性のある気温」の中で働いている状況は、労働生産性と人間の健康の両方に深刻な影響を及ぼすという。
ただ、1日の平均収入が2ドル(約270円)のインドでは、扇風機やエアコンは多くの人々にとって手の届かないものだと報告書は述べている。