ピーターズは大学時代に犬の散歩ビジネスを始めた。
Courtesy of Leandra Peters
投資先を分散できるのと同じように、収入源も分散できる。
大企業が人員削減を行い、経済的に不透明な2023年が訪れようとしているアメリカでは、複数の収入源を持つことは賢い資産形成方法であると言えるだろう。
今の仕事が安定している人にとっても、副収入があれば、資産形成目標の達成を早めることになる。
この記事では、収入源を増やす方法を見出した起業家や早期退職者が語る、副業に関するさまざまなアイディアを紹介する。
アマゾンで始めたマスク販売が、安定したeコマースビジネスへと成長
シャンシャン・フーは、靴下やタイツ(写真のものを含む)などをオンラインで販売している。
Courtesy of Shan Shan Fu
2020年春に新型コロナパンデミックによってアメリカでロックダウンが実施されていた頃、シャンシャン・フー(Shan Shan Fu)には終業後の空き時間がたくさんあった。
当時、彼女はサンフランシスコに住んでおり、ITコンサルティング企業に勤めていたが、しばらく前から副業を始めることを考えていた。そんなとき、質の高いマスクが見つからないと友人たちが口を揃えていたことから、マスクを販売することにした。
彼女は2020年4月にeコマース会社のミレニアルズ・イン・モーション(Millennials In Motion)を立ち上げ、すぐに収益を上げ始めた。タイミングが理想的だったと彼女は語る。
「2020年4月にマスクを売るのは簡単でした。早く始められてラッキーでしたね」
マスク販売を始めてから6カ月後、彼女はこのビジネスから十分な収入を得られるようになり、安心して本業を辞めることができた。
現在34歳のフーはフロリダ州マイアミで、自分が立ち上げた事業に専念している。ビジネスを靴下とタイツの販売にまで拡大し、月に最高4万2000ドル(約567万円、1ドル=135円換算)の収益をもたらしているミレニアルズ・イン・モーションを経営する傍ら、アマゾン(Amazon)の広告代理店のトリヴィアム(Trivium)や法律系スタートアップのオンラインビザズ(OnlineVisas)でコンサルティング業務も行っている。
借金を返済して家を購入するために、履歴書作成を支援
ショーン・アレンは副業として履歴書ビジネスを始め、追加の収入を得ることができた。
Courtesy of Sean Allen
ショーン・アレン(Sean Allen)は学部から大学院までの間に4万8000ドル(約648万円)の学生ローンを組んでいた。それに加えて、大学卒業後には3万3000ドル(約455万5000円)のクレジットカードの残債を抱えていた。
彼はポートフォリオに不動産を加えたいと考えていたが、借金があるから無理だと思っていた。そこで彼は収入を増やして赤字から抜け出すための計画をまとめた。
アレンはキャリアコーチの資格を取り、腐食エンジニアとしてフルタイムで働きながら履歴書作成支援会社のショーンズ・レジュメ・ショップ(Sean's Resume Shop)を立ち上げた。キャリアコーチとして履歴書作成を支援することで、月に最高2200ドル(約29万7000円)の副収入を稼げるようになったという。
彼は借金を完済してもコーチングを続け、この副収入のおかげで不動産ポートフォリオを組むことができた。頭金やクロージングの費用のためにもっと現金が必要になった時は、黙々と顧客探しに精を出した。
「『よし、週末は出かけずに履歴書ビジネスに集中するか』という感じで、週に600ドル(約8万1000円)余分に稼ぐことができました」(アレン)
大きな経済的目標がある場合は「本業の他に、もう少しだけ稼げる仕事を持つことがとても重要だ」と彼は付け加えた。
ウェブサイト作成とドメイン名転売で、純資産をほぼゼロから100万ドル以上に
グラント・サバティエは『Financial Freedom(邦題:FIRE 最速で経済的自立を実現する方法)』の著者。
Courtesy of Grant Sabatier
2010年8月、初めて就いた仕事から解雇された2カ月後、グラント・サバティエ(Grant Sabatier)の当座預金残高は過去最低の2.26ドルを記録した。彼は当時24歳で、両親と同居していた。
その5年後、計画立てや支出抑制などを含む7段階の戦略のおかげで、サバティエの純資産は100万ドル(約1億3500万円)を超えた。このプロセスの中で特に重要だったのは副業だ。彼はウェブ広告代理店に就職し、年間5万ドル(約675万円)を稼いでいたが、その給与に加えて、他の収入源を得ることが必要だった。
「できるだけ早く経済的自立を達成したいなら、副業の収入を増やす必要がある」とサバティエは言う。彼はペットシッターからコンサートチケット販売やビンテージ原付バイクの転売まで何でもやったという。
「どの仕事も収入が少なすぎるということはありませんでした」
彼が挑戦した副業の中でも収入が多かった上位2つは、プロジェクトあたり最高5万ドル(約675万円)稼げた企業のためのウェブサイトの作成と、ドメイン名の転売だ。多くの場合、1つのドメインを50ドル(約6750円)以下で買い、それを1年以内に2500ドル(約33万7000円)以上で売ることができたのだという。
著書『Financial Freedom(邦題:FIRE 最速で経済的自立を実現する方法)』の中で経済的自立を達成した方法について詳しく書いているサバティエは、自分が10年前に用いた戦略は今でも有効だと言う。
「稼ぐのがこれほど簡単だった時代は歴史上なかった」と彼はInsiderに語る。
「インターネットが真に公平な競争の場を作り出したんです。SNS、ウェブサイト、メールを通して顧客に簡単にアプローチできるので、何かビジネスを始める時の参入ハードルが非常に下がりました」
大学時代に犬の散歩ビジネスを始め、月に最大6000ドルを稼ぐ
フィーメイル・イン・ファイナンスの創業者、レアンドラ・ピータースは大学時代に「犬の散歩会社」を立ち上げた。
Courtesy of Leandra Peters
起業家でフィーメイル・イン・ファイナンス(Female In Finance)創業者のレアンドラ・ピータース(Leandra Peters)は大学生の時にドッグシッター・ビジネスを立ち上げた。すべては彼女が大学1年生だった2008年に始まった。教員の一人から、留守中に犬を一週間預かってほしいと頼まれたのだ。その報酬として提示された250ドル(約3万3750円)は、当時のピータースにとっては大金だった。
彼女はその仕事を引き受け、それからすぐに、どうすればこれをスケールアップできるかを考えた。
ピータースは、チラシを印刷して貼り出すことで徐々に顧客を増やしていき、ドッグシッターに加えて犬の散歩も引き受け始めた。まもなく、この新たな仕事の収入が、サーフショップの店員やモデルといったアルバイトの収入を上回った。
大学3年生の頃になると、授業の合間に一度に複数の犬を散歩させ、夜には2、3匹を預かった。このビジネスで年に数十万ドルを稼いだという。彼女が生活水準の高い地域に住んでいたこともビジネスの助けになった(彼女はサンディエゴの北にあるカリフォルニア州立大学サンマルコス校に通っていた)。
彼女は今でも犬の散歩アプリ「ローバー(Rover)」を通じてドッグシッターと散歩の仕事をすることがあり、月に最高6000ドル(約8万1000円)を稼いでいるという。しかし現在の彼女はその時間の大半を、金融関係の仕事を辞めた後の2021年に規模を拡大し始めたコーチング会社フィーメイル・イン・ファイナンスのために費やしている。
オンラインゲームをプレイして資金を貯め、最初の投資不動産を購入
ディオン・マクニーリーは、専門家の証言をするなど、副業でお金を稼ぐ独創的な方法を見つけた。
Courtesy of Dion McNeeley
ディオン・マクニーリー(Dion McNeeley)は不動産投資をしようと思い立った時、ギリギリの生活をしていた。そこで彼は、収入を増やすための一風変わった方法をいくつか見出した。まずは残業することから始めた(当時は商用トラックの運転教習所で時給17ドルで働いていた)。
仕事以外では、ウルティマ・オンライン(Ultima Online)やワールド・オブ・ウォークラフト(World of Warcraft)などのマルチプレイヤーオンラインゲームをプレイすることで、月350ドル(約4万7250円)の副収入を得るようになったという。
「こういったゲームでは獲得が難しかったり獲得に時間がかかるアイテムがあるので、リソースを費やしてそういうアイテムを手に入れていました。
ウルティマ・オンラインだとプレイヤーが所有できるバーチャル不動産がそうで、小さなコテージから城まであらゆるサイズの家を時間をかけて作り、それを売っていました。それぞれのゲームに独自の市場経済があるので、その市場経済を知ることで月に数百ドルの利益を安定して上げられるようになりました」(マクニーリー)
マクニーリーは2013年、ワシントン州西部に最初の投資不動産を購入した。現在は7物件16戸を所有して家賃収入で年間数十万ドルを稼いでおり、経済的自立を果たしたと彼は考えている。
彼は今でも副収入を得ている。元トラック運転手および元警察官として、刑事事件やトラックが関与する交通事故などの裁判で専門家としての証言を提供しているのだ。
「通常、1000ドル(約13万5000円)の報酬をもらって意見を述べ、裁判に出廷したり、証人尋問を受けたりすると、1時間150ドル(約2万250円)の報酬がもらえるんです」(マクニーリー)