セールスフォースのマーク・ベニオフCEOは全社集会で何を語ったのか。
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セールスフォース(Salesforce)の共同創業者兼CEOであるマーク・ベニオフ(Marc Benioff)は、先ごろ行われた同社の全社集会で最近発表された複数の経営幹部の流出について言及した。Insiderが入手した録音内容から明らかになった。
ベニオフはこの集会の場で、2023年1月末日付で退任することを発表した共同CEOのブレット・テイラー(Bret Taylor)には「深いつながり」を感じていること、テイラーをはじめここ何週間かで退任を発表した他の経営幹部たちを呼び戻したいと考えていることを語った。
「入ってくる者もいれば去る者もいる。去っていくのは悲しいものだし、入ってくるのは素晴らしいことだ。彼らが去るときは力添えをするし、彼らを呼び戻すよう働きかけるつもりだ」(ベニオフ)
テイラーが退社を発表した11月30日は奇しくもテイラーがセールスフォースの共同CEOに就任してちょうど1年というタイミングだった。
それから相次いで、同社傘下のスラック(Slack)のスチュワート・バターフィールド(Stewart Butterfield)CEO、タブロー(Tableau)のマーク・ネルソン(Mark Nelson)CEO、セールスフォースに20年近く在籍した最高技術責任者(CTO)のスティーブン・タム(Steven Tamm)など、5人の経営幹部が退社を公表した。
全社集会でベニオフは、張り詰めた雰囲気を和らげようと、会社の礎を築いたCTOのタムに対して「スティーブン・タムとはさんざん夜遅くまで過ごしたな。ピザもさんざん食べて、コークも飲んだ」とねぎらいの言葉を口にした。そして破顔して指を立てると、「コカ・コーラをね」と言い直した。
Insiderの既報のとおり、こうした幹部の離職の一因は、コロナ禍後の景気後退局面と、アクティビスト投資家であるスターボード・バリュー(Starboard Value)のコスト削減要求にあるのではないかと同社の内部関係者は見ている。
それらの影響を受けてベニオフは社内での支配力を強め、営業チームを筆頭に社員に対して業績アップのプレッシャーをかける一方で、腹心の部下を遠ざけていると、複数の内部関係者は語る。
営業チームの社員は最近、ホリデーシーズン中にもかかわらず毎日対面でのミーティングを義務づけられている。それだけではない。ベニオフは対外的には「社員は自宅でも十分に生産性を保てる」と公言しているものの、社員に対してはオフィス出社を指示しているという。
全社集会でのベニオフは、幹部の離職を明るい話に転化しようと、離職者を呼び戻す計画を再度強調した。関係者によると、ベニオフはテイラーの辞職に心底驚き、落胆したという。この件に関しInsiderはセールスフォースにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
ベニオフは全社集会で次のように語った。
「人は誰でも自分の望む人生を送り、最高の幸福と健康を手に入れ、家族や友人と愛情ある関係を築いたり、仕事で成功したり、世界に影響を与えたりするために自分なりの自己実現の形を明示し、達成する権利があります。
もしあなたたちがそれをセールスフォースで実現できるのであれば、われわれはその実現を全力でサポートします。もし退職しなければならなくなったとしても、われわれはみなさんをサポートし、いつかまた呼び戻します」