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「パッシブ投資」入門:すべての投資家が知っておくべき長期資産形成術

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パッシブ投資家は、ほとんど売買を行わず、バイ・アンド・ホールド戦略を好む。長期的な成長を視野に入れ、株価が上昇することを信じているからだ。

Taiyou Nomachi/Getty Images

  • パッシブ投資とは、市場に打ち勝つのではなく、市場と同じリターンを上げるために投資家が分散ポートフォリオを買い持ちする長期戦略だ。
  • 最も一般的なパッシブ投資戦略は、インデックスファンドを買うことである。インデックスファンドの保有銘柄は、金融市場の特定または代表的な区分に連動する。
  • パッシブ投資の反対がアクティブ投資である。アクティブ投資はより積極的な戦略を取ることでより大きな短期的な利益を上げるが、リスクとボラティリティ(変動率)も大きくなる。

打ち負かせないなら、その恩恵にあずかろう。

ひと言で言えば、これがパッシブ投資の信条だ。この人気のある投資戦略は、他の投資戦略のように絶えず取引を繰り返して、株式市場を上回るリターンを上げたり、市場の「タイミングを測ったり」しない。

むしろパッシブ投資では、できる限り売買を減らすことがリターンを高める秘訣だと考える。

パッシブ投資とは何か?

パッシブ投資はパッシブ運用としても知られ、浮き沈みはあっても株式市場は長期的に必ず上昇するという伝統的な思慮深い投資哲学に基づいている。

だから、市場を出し抜こうとするのではなく、ポートフォリオの中で市場と同じ運用をすることで——通常、株式指数に基づく投資商品を活用して——あとはじっと相場の波に乗るのが最善策なのだ。

わかりやすく投資が簡単なパッシブ運用は、多くの投資家の間で主力の投資手法になっている。以下でその投資方法を説明しよう。

パッシブ投資の本質は、取引をあまり行わない長期のバイ・アンド・ホールド(買い持ち)戦略だ。S&P500種株価指数やダウ工業株30種平均のような、通常は幅広い時価総額指数に基づいた分散ポートフォリオを購入して持ち続ける。その目的は、市場に打ち勝つことではなく、市場と同じパフォーマンスを上げるために、指数を複製することである。

おそらく最も一般的なパッシブ投資手法は、市場に連動したインデックスファンドを購入することだ。この手のファンドは、パッシブ運用とかパッシブファンドとして知られている。パッシブファンドの投資先は株式、債券またはその他の資産のこともあるが、資産が何であれ、連動する指数の構成銘柄を購入する。

指数の構成銘柄が入れ替えられる場合、インデックスファンドは自動的に保有銘柄を調整し、指数から外される銘柄を売却して新たな組み入れ銘柄を購入する。したがって投資家は、インデックスファンドを保有したまま相場上昇の恩恵にあずかれる。これがずっと続くのだ。

インデックスファンドは、株式や債券、コモディティ、通貨、不動産といった分野に特化していることが通例である。どの種類のファンドを選ぶかは、投資家がインカムと値上がり益のどちらを求めているのか、リスク許容度がどのくらいか、または、ポートフォリオのバランスを取る必要性があるかによって変わる。

例えば、一般的に債券ファンドは変動率が小さく、グロース株の大きな値動きを相殺する役割を果たす一方、外国為替建てファンドは米ドル下落に対するヘッジになりうる。米ドルが下落する時には、外国為替が上昇するからだ。

パッシブ投資の主な特徴

パッシブ投資の究極の目的は、性急に利益を確定するのではなく、緩やかに資産を形成することである。パッシブ運用には次のような主な特徴がある。

  • 楽観的な見通し:株式市場は長期的に上昇が期待できるというのが、パッシブ投資戦略の潮流にある基本原則である。だから、市場とそっくりなポートフォリオを構築すれば、相場上昇に沿って値上がりする。
  • 低コスト:パッシブ運用では、ゆっくりと確実に利益を積み上げて、頻繁に取引しないため、取引コスト(手数料等)が低い。ファンドに払う運用手数料は回避できないが、パッシブ投資家好みの投資商品である大部分の上場投資信託(ETF)では、運用報酬が1%以下に抑えられている。
  • 保有銘柄の分散:パッシブ戦略は本質的に、効率的でコストのかからない分散投資手法を投資家に提供する。なぜなら、インデックスファンドは目標とするベンチマーク指数に含まれる多様な証券を保有することで、リスクを幅広く分散するからだ。
  • リスク低減:分散には生来、常にリスク低減を伴う。さらに的を絞ったインデックスファンドなどを選ぶことで、セクターや資産クラスの中で保有銘柄を一段と分散できる。

パッシブ投資vs.アクティブ投資

パッシブ投資の反対がアクティブ投資だ。

その名が示す通りアクティブ投資とは、投資家が頻繁に売買し、その分市場を上回るパフォーマンスを上げて、証券価格の短期的な変動から利益を得ることを意味する。

アクティブ投資家は株式市場の値動きを予想し、それに従って取引をする、いわゆる「マーケット・タイミング」と呼ばれる投資を行うこともある。

アクティブ投資(アクティブ運用)を標榜する投資信託は多く、アクティブETFも増えている。

これらファンドは、成長見込みの高い個別銘柄や業種など、さまざまな分野に通常特化したポートフォリオマネージャーが運用する。マネージャーは常にポートフォリオを評価し、銘柄やセクターを選定し、取引する。

アクティブファンドに投資することで、市場を熟知しており、経済や金融分析にアクセスできる金融専門家の知見を活かすことができる。

だが、アクティブファンドにはコストがかかる。こうした売買にはすべて、多額の取引コストや手数料が発生する。金融サービス会社、トムソン・ロイター(Thomson Reuters)のファンド情報サービスであるリッパ—(Lipper)によると、パッシブファンドの平均経費率が0.6%であるのに対して、アクティブ運用の株式ファンドでは1.4%に達する。

パッシブ運用の欠点

パッシブ運用には数々のすばらしい利点があるが、欠点もある。

  • ベンチマークに左右される:インデックスファンドは、どのような相場状況であってもベンチマークに連動する。つまり、インデックスが好調なときはファンドも上昇するが、インデックスが下落すればファンドもまた下がる。だから、市場全体が急落する局面ではどうなるか……想像してほしい。
  • 柔軟性がない:たとえインデックスファンドのマネージャーがベンチマークの下落を予測したとしても、保有銘柄を売却したり、保有銘柄の下落を軽減する防御的なポジションを構築したりするなどの対策を講じることは普通できない。
  • 大当たりは期待薄:パッシブファンドの目的は市場に連動することなので、時々アクティブファンドでみられる大当たりは少ない。つまり、成長株を発掘できないのだ。たとえそういう銘柄を見つけたとしても、ポートフォリオ内の別の銘柄で利益が薄まるので、たいしたリターンにはならないだろう。
  • 痛みは少ないが利益も小さい: バイ・アンド・ホールドは、少なくとも10年か20年といった長期でみれば勝つための秘訣にちがいない。これだけ長い間保有すれば相場変動も切り抜けられる。だが、リスクを均等にするということは、リターンも均される。短期的に見れば、アクティブ運用の方が高い運用成績と大きな値上がり益を提供することも多い。

パッシブ運用の歴史

株式のバイ・アンド・ホールド自体は新しい概念ではないが、正式な運用戦略としてパッシブ投資が登場したのは、1970年代に個人投資家向けに初めてインデックスファンドが組成された時だ。

これが、1976年に運用会社バンガード・グループ(The Vanguard Group)の当時CEOだったジョンC.ボーグル(John C. Bogle)が草分けとなって開発した、新しいタイプの投資信託である。

バンガード500インデックス(VFINX)と名付けられたこのファンドの登場で、何千人という普通の投資家が、株式市場全体を代表すると広く認識されているS&P500種株価指数に連動する投資信託の持分を購入できるようになった。

当時運用されていた多くの投資信託よりも手数料が安いこのファンドに投資すれば、「弱者」であっても、さしたる手間をかけずに、また、個別銘柄を購入するコストも払わず、市場で最も優れた企業の持分を保有できるようになったのだ。

こうしたインデックス型の投資信託に、他の企業も続々と参入してきた。1990年代に入ると、上場投資信託(ETF)というもう1つの革新的な商品が登場した。

ETFもさまざまなインデックスに連動するよう設計された商品だが、その運用報酬は投資信託よりもさらに低い。そのうえETFは、株式そのもののように、証券取引所で取引時間中いつでも取引できるため、流動性はさらに高まった。

手数料が安く、分散された、低リスクのETFはバイ・アンド・ホールド戦略にぴったりだったし、その反対も然りだった。ETFが登場したからこそ、特に個人投資家の運用にパッシブ戦略が浸透したのだ。

結論

パッシブ投資は、一般の個人投資家の中心的な戦略になった。パッシブ運用は、膨大な時間をかけて株式を調査し、市場の値動きを見張る必要のない、簡単でコストのかからない投資方法なのだ。

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