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「裕福な家庭でないと難しい」現実。留学先でフードバンク利用も…円安アメリカ留学の今

表紙

Have a nice day Photo/Shutterstock.com

12月になり、ドル円相場が1ドル130円台後半と8月末頃の水準にまで戻ってきた。

ただ、2022年1月には1ドル115円程度だったことを考えると、今なお円安が続いていることに変わりはない。

乱高下するドル円相場は、国内のコロナ対策がある程度緩和され、やっと海外へと留学に出られるようになった学生たちの生活を直撃している。

読めない円安。ラーメン1杯2000円も

10月21日には、1ドル151円の円安となった。

10月21日には、1ドル151円の円安となった。

REUTERS/Issei Kato

「ラーメンが1杯13ドルもして、とてもびっくりしました」

この8月末から3カ月間の短期留学をしていたあおいさん(大学3年生・仮名)は、アメリカで見た衝撃の光景をそう語る。

1ドル135円で換算すると、13ドルは1800円弱。1ドルが150円前後で推移していた10月後半だと、ラーメン1杯が約2000円になっていた計算だ。

あおいさんは、アパートで同じプログラムに参加している日本人留学生と共同生活をしながら、テキサス大学に通っていた。

2020年に大学に入学した世代であるあおいさんは、コロナ禍でなかなか留学に踏み切れない学生生活を送っていた。2022年になって国内でのコロナ対策が緩和され始めたこともあり、就職活動が本格化する直前のこのタイミングで3カ月の短期留学を決意した。

あおいさんがまとまった留学費用を支払ったのは2022年の5月頃。

2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻などの影響もあり、1ドル115円前後(当時)から円安が加速していく中だった。

あおいさんは1ドル120円ほどまで円安が進んでいた4月頃に「少し待てばまた円高になって留学費用が安くなるのでは」と淡い期待を抱き、支払いを1カ月後ろ倒しにしていたというが、読みは大きく外れた。結局、1ドル130円まで円安が進み、留学期間中の学費やアパートの家賃などを含めた初期費用が約10万円ほど高くついてしまったという。

初期費用が一番大きいとはいえ、アメリカに渡ってからの日々の生活にも円安は直撃した。

日常生活ではルームメイトと「自炊しようね!」と意気込んでいたものの、自炊をすれば安く済むわけでもない。

あおいさんが撮影したスーパーの牛ひき肉コーナー。454グラムで14.99ドル。100グラムあたり400円超になる計算だ。

あおいさんが撮影したスーパーの牛ひき肉コーナー。454グラムで14.99ドル。100グラムあたり400円超になる計算だ。

画像:あおいさん提供

スーパーで並ぶ食材を見ると、牛のひき肉が454グラムで14.99ドル(約2000円)、卵12個入りで4ドル(約550円)などと、日本のスーパーとは金銭感覚がまるで異なる。(どちらも1ドル135円で換算)

だからといって外食をしようものなら、「ラーメン1杯13ドル」という仕打ちだ。

留学前にアルバイトなどで貯めていたお金を約20万円ほど換金しておいたというが、あっという間に減っていったという。

「3カ月と留学期間が短期なのもあって、神経質にレートを気にしていたわけではありませんでした。ただ、だからこそ毎回クレジットカードの明細を見て使った金額に驚きました」

円安で「フードバンク」を利用する留学生も

アメリカでは、食品ロス削減を目指しフードバンクの活動が始まった。今では、飢餓・困窮者支援を重要な目的として掲げている。(写真はイメージです)

アメリカでは、食品ロス削減を目指しフードバンクの活動が始まった。今では、飢餓・困窮者支援を重要な目的として掲げている。(写真はイメージです)

Sara Carpenter/Shutterstock.com

長期留学となると、円安によって受ける影響はさらに大きい。

ワシントン州にあるシアトルセントラルカレッジで寮生活をしているかおりさん(大学2年生・仮名)は、9月から1年間の長期留学をスタートさせた。

円安の影響について聞くと、

渡米前に支払う授業料や1年分の寮費などのまとまったお金が想定より100万以上は増えてしまったと思います。家族は『円安はもう仕方ない』と応援してくれました」

と、当初想定していたよりもかなり金銭的負担が大きくなったと語る。

現地での生活費の一部は日本にいる家族から毎月振り込んでもらっているというが、振り込みは「円ベース」。そのため、月々によって仕送りの「価値」が変わる。

「円高になったときには、『ドルに替えておいたほうがいいかな?』などと、いつも考えてしまいます」(かおりさん)

寮生活では食事を自分で用意する必要があるが、前述した通り一般的な食材でもそれなりに値が張る状況だ。

そこでかおりさんが頼ったのが「フードバンク」だった。フードバンクとは、スーパーなどで売れ残った食品を誰でも(住所を証明すれば)無料で手に入れることができる施設。

かおりさんは、留学生活を開始した直後こそスーパーなどで食品を購入していたというが、同じように円安に悩んでいる留学生同士のネットワークで、地域にあるフードバンクの存在を知ったという。いまではそのおかげでほとんど食費がかからない状況だという。

「調味料のようなものはフードバンクには置いていませんし、フードバンクでもらえるものは限られます。それでも、そこまで食費にお金をかけられないので、かなり助かっています」(かおりさん)

編集部注:フードバンクは食品ロス削減が源流にあることもあり、利用者はさまざま。アメリカでは、生活困窮者の利用割合が多いものの、スポット的に幅広い世帯で利用されている。学生向けに大学にもフードバンクが開設されている場合もある。

裕福でないと留学が難しい現実

mangostock/Shutterstock.com

「姉と弟も留学をしたいと言っているのですが、私の留学で想像以上にお金がかかり、難しくなりそうで…。申し訳ない気持ちです…」

ワシントン州にあるベルビューカレッジで2022年の9月から1年間の留学生活を送っているゆうこさん(大学3年生・仮名)はBusiness Insider Japanの取材にこう語る。

ゆうこさんが留学を決めたのは約1年前の2021年の8月頃。前述したかおりさん同様、当時は円安の影響より、コロナウイルスの流行状況が留学へ与える影響の方が気になっていた。

しかし、授業料やゆうこさんが申し込んだ民間の留学支援プログラムの費用、ホームステイ先への家賃(3カ月分)など、ある程度まとめてお金を支払うタイミングには、1ドル142円まで円安が進んでいた。

日常生活でも、毎月ホームステイ先に支払う1000ドルほどの家賃に加えて、通学のためのバスの交通費が40ドル/月、携帯料金の50ドル/月がランニングコストとしてかかっている。

ゆうこさんは、留学に来る前に民間留学支援サービスの担当者から「現地でたくさん旅行に行くなど、無駄遣いが多い学生でも1年間で最大で450万円くらい」と聞いていたというが、授業料や留学支援サービスの料金、現地での生活に必要な金額などを計算してみると、すでに1年間で500万円近くかかる計算だ。ゆうこさんは留学に際して20万円の奨学金を得たというが、それでも懐事情が厳しいことには変わりはない。

もともと留学するにはそれなりのお金はかかる。ただ、円安が相まってさらに留学できる学生とできない学生の差が開いているのではないかと、ゆうこさんは指摘する。

「学生は奨学金を取ることにかなり一生懸命になっていたように感じました。私の参加した(民間の留学支援)プログラムでも、奨学金を得られずに諦めた人がいたようです。

(留学に来ている)周囲の人を見渡しても、関東の私立大学など、もともとある程度裕福な家庭出身の学生でないと留学が難しくなってしまっている気がします」(ゆうこさん)

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