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2023年、日本の給料はどうすれば上がる? 低賃金を生み出している根深い問題【入山章栄・音声付】

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shirosuna-m/Getty Images

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

円安やインフレといった言葉がニュースになった2022年は、他国と比較したときの日本の給与水準の低さもよく話題にのぼりました。私たちの給料はこの先どうすれば上がるのでしょうか? ボーナスシーズンの今、入山先生が提言します。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:9分53秒)※クリックすると音声が流れます


給料が上がらないのは雇用の流動化が進まないせい

こんにちは、入山章栄です。

もう年の瀬ですね。ついこのあいだM1グランプリで錦鯉が優勝したと思ったら、もう次のM1の季節。1年が経つのは本当に早いですね。


tokiwasan

BIJ編集部・常盤

12月といえば、気になるのがボーナスです。今年は円安だインフレだと経済回りで気になるニュースが多く、世界の水準と比較しても日本の賃金が低すぎるということも話題になりました。

物価が全体的に上がっているのに給料が上がらないと、企業も原材料費の高騰を価格に転嫁させづらいですよね。このデフレマインドから脱却するには、どうしたらいいのでしょうか。


「なぜ日本は賃金が上がらず、長い間デフレのままか」という問題は、日本の大きな課題ですよね。でもこの問題については、少なくとも一部の経済学者の間ではほぼコンセンサスができているようにみえます。

それは一言でいって雇用が流動化していないから

企業が従業員の賃金を上げるには何が必要でしょうか。企業だって必死に努力しているわけですから、そこで賃金を上げるということは、会社に追加の人件費がかかることを意味します。したがって、人件費を一定に抑えるためには、逆に企業が従業員の数を減らしやすくする必要があるのです。

やや厳しい表現をすれば、会社が人を解雇してもいい状況を作り出す必要がある、ということです。これは多くの経済学者が主張していることですね。経営学者である僕も同じ意見です。

日本は長い間、「新卒一括採用・終身雇用」をとってきたので、雇用を守ることを最優先にしてきました。他方で、現代の欧米の企業は競争力や利益が落ちてくると、雇用を減らして利益を確保します。これはどちらがいいか悪いかではなく、そういう仕組みだということです。

繰り返しですが、日本は業績が悪くても絶対に雇用を守るというスタンスをとる。すると人件費の予算を一定内でまかなうには、一人当たりの賃金を抑える必要があります。だから日本企業は、全般的に賃金を抑える方向に行くのです。

例えば日本のメーカーを考えましょう。メーカーからすると、日本中の会社が賃金を抑えているのだから、日本中のみなさんの給料が低い状態です。だとすると、そこで値段が高いものを売ったところで売れるはずがない、と予測しますよね。だから高額製品よりも、可能な限り安いものを提供するわけです。

でもメーカーが安いものしか提供しないと今度はどうなるか。そのメーカーはギリギリまで価格を下げているので、あまり利益が伸びません。ということは、利益を生み出すためには製造コストを抑える必要がある。だとすると、労働者の賃金を抑える方向に行く、というわけです。つまり、低い賃金→モノの価格を上げられない→さらに低い賃金、というサイクルになっていくわけです。

このように、もともと日本の会社の利益率は低く、カツカツのところでやっているわけで、これ以上利益は下げられない。それなのに、もし賃金を上げる必要があるのであれば、それは人件費が余分にかかるわけだから、生産性が低い人に辞めてもらうしかないのです。


tokiwa_ayuko

BIJ編集部・常盤

なるほど。そういうサイクルになってしまうんですね。

賃金だけ上げろと言っても無理

そうなんです。そしてもう一つ、大きなポイントがあります。

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