アルファベットのサンダー・ピチャイCEO。
Jerod Harris/Getty Images
- グーグルの幹部が従業員に対し、チャットボットが検索に代わるとは思わないと述べたという。
- 従業員が幹部にOpenAIのChatGPTのようなチャットボットを開発しないことは、機会の損失ではないかと尋ねたことをCNBCが報じている。
- アルファベットのCEOとグーグルのAI部門責任者は、同社にとっては、OpenAIのようなスタートアップよりも「風評リスクが大きい」と述べた。
グーグルの幹部は従業員に対し、風評リスクを考慮して、OpenAIのChatGPTに競合するチャットボットを開発することはないと語ったと報じられた。
CNBCによると、グーグルのAI部門責任者のジェフ・ディーン(Jeff Dean)は全社会議の中で、同社はAI技術や製品開発の能力を持つが、小規模なスタートアップよりもずっと保守的に物事を決めなければならないと語った。
彼の意見は、グーグルがLaMDA(ラムダ:対話アプリ用の言語モデル)などの技術を持っていることを考えると、競合のチャットボットを開発しないことは「機会損失」ではないかと従業員から問われたことに対する答えだ。
アルファベットのサンダー・ピチャイ(Sundar Pichai)CEOとともに会議に出席したディーンは、グーグルの技術は話題になっているチャットボットに匹敵するが、10億人以上がグーグルを情報の検索に使用し、依存しているため、チャットボットのバイアスや誤情報などの問題にはより脆弱だと述べた。
「我々は、言語モデルをこれまでのように隠すよりも際立たせるように現実の製品に反映したいと考えている」とディーンはグーグルのAIについて語った。
「だが、これを正しく実現することが非常に重要だ」
OpenAIが11月30日に投稿したブログで、ChatGPTなどのボットの限界として、「もっともらしく聞こえるが、間違っていたり無意味だったりする答え」「害を及ぼす指示」「偏見のある行動」などが挙げられた。
OpenAIのサム・アルトマン( Sam Altman )CEOは、12月10日に次のようにツイートし、ChatGPTの限界について認めている。
「ChatGPTは非常に限定的だが、いくつかの点では非常に優れており、偉大だという誤解を生じさせるのに十分だ。重要な事柄について、これに頼るのは間違いだ。まだ進化の途中であり、堅牢性と真実性について、我々にはやるべきことがたくさんある」
ChatGPTはサービス開始から5日間で100万人以上のユーザーを獲得し、グーグルの競合であるマイクロソフトの支援を受けた。OpenAIは2015年にサム・アルトマンとイーロン・マスクによって共同設立された。マスクは3年後に取締役を辞任している。
グーグルはInsiderのコメント要請に対して回答していない。
LaMDAに加え、検索エンジンを改善するために使われるグーグルの言語モデル「BERT」や「MUM」はChatGPTの競合だ。マルチタスク・ユニファイド・モデルを略した「MUM」は、Webサイトや写真などのさまざまなメディアからの情報を同時に理解して、ユーザーに回答を提供できる。
グーグルの元幹部はブルームバーグに対し、ChatGPTはユーザーに広告をクリックさせないことで、グーグルの広告ビジネスを妨害しかねないと語った。2013年から2018年にグーグルの広告部門の責任者だったスライダー・ラマズワーミー(Sridhar Ramaswamy)は、ChatGPTは検索により良い経験を提供するとブルームバーグに語っている。
だが、先日発表されたモルガンスタンレーの報告書には、グーグルが検索エンジンと言語モデルを改善し続けるため、ChatGPTはグーグルの脅威にはならないと考えていると記載された。
全社会議でピチャイCEOは、2023年にはAI分野で多くの計画があると語ったという。