記者会見するジェローム・パウエルFRB議長。2022年12月14日。
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- アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は12月14日、金利を0.5%引き上げた。
- これまでの4回連続の0.75%の利上げから上げ幅が減少したことになる。
- FRBは、インフレ対策への積極的な取り組みを減速しているように見える。
アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は今回もまた、金利を引き上げた。しかし、インフレ対策の取り組みは減速しているように見える。
2022年12月14日、FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)の後に、金利を0.5%引き上げると発表したが、これは過去4回の0.75%の引き上げから減速している。
インフレ率を示す消費者物価指数(CPI)は11月に前年比7.1%上昇し、10月の7.7%から低下した。インフレ水準が依然として高いことは間違いないが、FRBは積極的な利上げを減速することで、経済の明るい方向性に対応したようだ。
利上げ幅の縮小は消費者にとって朗報だ。2022年初めの超高速の利上げは、あっという間にお金を借りるためのコストを上昇させたので、その上昇が緩やかになることで2023年の住宅や車の購入、クレジットカードの使用は、FRBが積極的な姿勢を維持した場合よりも苦痛は少なくなるはずだ。
それでも、FRBの目標であるインフレ率2%(経済が大混乱する前の水準)の達成にはほど遠く、ジェローム・パウエル(Jerome Powell)FRB議長は以前、ブルッキングス研究所のイベントで、物価が高いままであれば利上げは続くと示唆していた。
パウエル議長は、「インフレを抑制するためにさらにどの程度の利上げが必要か、また制限的な水準で政策を維持する必要がある期間はどの程度かといった問題に比べれば、その緩和のタイミングはさほど重要ではない」と述べている。
また「物価の安定を取り戻すには、しばらくの間、制限的な水準で政策を維持する必要がありそうだ」と付け加えた。
「歴史は早まった緩和を強く戒めている。我々は仕事が終わるまではこの路線を維持する」
それでも、2023年はアメリカ経済が不況に陥るのではないかという疑念はつきまとっている。パウエル議長もジャネット・イエレン(Janet Yellen)財務長官も、インフレ対策を行いながら景気後退を回避するソフトランディングは可能だと考えていると以前発言している。
イエレン長官は先週末のCBSテレビの『60ミニッツ』で、「景気後退のリスクはある。しかしそれはインフレを下げるために必要なことではないと私は考えている」と述べた。
しかし、マサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員のような一部の民主党議員は、金利を上げ続ければアメリカ人を不況に追い込み、雇用喪失の流れをもたらすと、何度もFRBに警告してきた。11月の演説でウォーレンは、「飛行機を着陸させるのと墜落させるのでは大きな違いがある」と述べた。
バイデン大統領や他の政権幹部は、2023年末までには消費者にとって状況がかなり良くなっているという自信を保っている。
「2023年末にはもっと落ち着いていることを願うが、その予測はできない」とバイデン大統領は12月13日に述べ、物価が通常に戻ることについて言及した。
「私は上がっていくことはないと確信している。 これからは下がり続けると確信している」