創業者の多くは、副業として事業を始める。
Ekaterina Goncharova/Getty
- サムシング・ネイビーの創業者アリエル・チャーナスは、午前10時から午後2時まで働いているという。
- Insiderは創業者たちに、1日4時間働いてスタートアップを経営し、規模を拡大することは可能かどうかを尋ねた。
- 副業から起業したような一部の例外を除いては、ほとんどの人が不可能だと答えた。
ファッションインフルエンサーで、アパレルサイト「サムシング・ネイビー(Something Navy)」を創業したアリエル・チャーナス(Arielle Charnas)が仕事をする時間は、かなり短い。
Insiderは2022年12月15日の記事で、彼女の会社が直面する問題について報じた。その中で彼女が働く時間は午前10時から午後2時までだとするインスタグラム(Instagram)の投稿についても触れているる。これは、イーロン・マスク(Elon Musk)、ジャック・マー(Jack Ma)、マリッサ・メイヤー(Marissa Mayer)といった創業者たちの身を粉にするような働きぶりとはまったく対照的だ。
Insiderは50人以上の創業者にメールを送り、起業家は1日4時間働くだけで成功できるのかどうかについて尋ねた。その結果、ほとんどの人が半日では仕事をこなせないと答えた。
2021年に機材レンタルソフトウェア会社のQuipliを立ち上げたカイル・クレメンツ(Kyle Clements)は、「ほとんどの場合、一般的な午前9時から午後5時の勤務よりも長い時間が必要だ」と述べた。
だが、例外もある。会社を素早く拡大させたいと考える創業者の多くは、フルタイムで取り組まなくてはならないが、一方で、1日2、3時間でも起業や副業をすることは可能だと答えた創業者もいた。
1日2、3時間から始めることも可能
Merchyntの創業者兼CEO、ジャスティン・シルバーマン。
Courtesy Justin Silverman
多くの創業者は、9時から5時の仕事をしながら、副業としてビジネスを始めている。それに当てはまるのがジャスティン・シルバーマン(Justin Silverman)(32)だ。彼はソフトウェア会社でパートナーシップ・マネージャーとしてフルタイムの仕事を続けながら、マーケティング会社Merchyntを運営している。ビジネスを成長させるのに、1日4時間以上もかける必要はないと彼は言う。ソフトウェアエンジニアのオーシャン・ロンクゥイロ-モーガン(Ocean Ronquillo-Morgan)(24)は、1日に3時間ほど副業に費やしている。本業の企業はカリフォルニアにあるが、東海岸で勤務しているため、両方の役割をこなすことができるのだ。
規模拡大には長い時間が必要なケースも
Comptの創業者兼CEO、エイミー・スパーリング。
Amy Spurling
エイミー・スパーリング(Amy Spurling)(45歳)は、副業として人材テクノロジープラットフォームのComptを立ち上げたが、正式に創業する時期が来たとき、本業だった経営幹部の仕事を辞めた。現在、彼女は週に40時間から45時間働いている。スパーリングは、ビジネスの種類にもよるが、少ない労働時間で会社を成長させるのは難しいと言う。特に、資金援助を受けるベンチャー企業の場合はそうだという。
「ベンチャー企業として支援してもらうには、一定の成長パターンを示さなければならない。そのパターンに当てはまらない場合は、資金調達が非常に難しくなる」
1日4時間労働が可能になる戦略もある
シルバーマンは、自動的に見込み客を探してメールを送信するソフトウェアを利用しており、それがなくては1日4時間労働は不可能だと語った。いくつかの仕事は従業員に任せ、必要に応じて独立業務請負人を雇い、他社との業務提携なども利用して、受動的に成長できることを目指しているという。
例えば、Merchyntはニューヨーク州レストラン協会と業務提携し、その会員にサービスを提供している。
「会員が増えるとともに、我々も成長という利益を享受している。パートナーに頼って成長を助けてもらうことができれば、本来であれば発生していた多くの作業を省くことができる」
燃え尽き症候群の防止に「境界線」を設定
スパーリングは、1日が短すぎて、常にやるべきことが多いように感じることがあるため、燃え尽き症候群を防ぐために「境界線」を設けることが有効だと言う。例えば、平日の夜7時以降や週末は仕事をしない、勤務時間外はメールに返信しない、休暇中は仕事を切り離すといったことだ。
オーシャン・ロンクゥイロ-モーガンは、複数の副業をしている。
courtesy of Ronquillo-Morgan
「チームにとって必要な行動を、私が見本となって示さなければ、彼らは燃え尽きてしまうだろう」と彼女は述べた。
シルバーマンは、会社のために人付き合いを犠牲にしなければならないこともあったが、友人や家族との時間を優先させることを学んだという。
「木曜日の午後にハッピーアワーに行く必要はない」
複数の副業を抱えるオーシャン・ロンクゥイロ-モーガン(Ocean Ronquillo-Morgan)は、ビジネスが成長し始めると、睡眠時間が極端に減少することに気が付いた。今は、土曜日と日曜日は友人と過ごす時間、リラックスする時間、充電する時間に充てているという。
しかし、コンピュータの電源を落としても、創業者の脳は常にオンになっている。「眠りながらも、何枚ものプレゼンテーションを書いてきた」とスパーリングは言う。
「仕事から離れることは重要だが、それによって脳までオフになるわけではない」