アップルやテスラのようなグロース株は、ボラティリティが大きくなりがちだが、より高いリターンを期待できる銘柄だ。
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- バリュー株はグロース株よりも変動が小さく、弱気相場でのパフォーマンスが高いことが多い。
- 過去を振り返ってみると、強気相場のときにグロース株はバリュー株を上回るパフォーマンスを上げている。
- 一般的にバリュー株の配当は、グロース株よりも高い。
グロース株は売上高と株主へのリターンの両方で、高い成長率が期待されている企業の株式だ。
一方、バリュー株は企業の財務成績に比べて株価が低い企業の株式を指す。
どちらにも長所と短所があり、景気サイクルの時期によってパフォーマンスが異なる。だが、自分のポートフォリオに合っているのはどちらだろうか? 自分の投資目標に合っているかを理解するために、それぞれの投資戦略を詳しく見ていこう。
バリュー株 vs. グロース株:概要
グロース株とは、短期的に平均を上回るリターンを上げると投資家が考える株式である。一方、バリュー株とは、市場全体に過小評価されていると投資家が感じる株式のことだ。
別の見方をすれば、グロース株は高いブランドのジャケットで、バリュー株はディスカウントストアで売られているジャケットとも言える。
- バリュー株は、売上高や企業利益、主要財務指標などの財務成績によって測定され、定義される。
- グロース株はバリュー株よりも変動が激しいが、同時に高いリターンを上げる可能性も秘めている。
バリュー株とは何か?
バリュー株は、内在価値を下回って取引されている株式と定義されることが多い。株式の内在価値とは、会社の将来の成長率や、会社がいま所有している資産と負債の金額に基づいて計算された価格だ。
例えば、ある企業の内在価値が1株当たり100ドルの時に、市場価格が80ドルならば、その株式はバリュー株と見なされている可能性がある。
持株会社バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)を率いる著名投資家のウォーレン・バフェット氏は、最も著名なバリュー投資家の1人だ。バリュー株は通常、市場が大きく変動するときや、景気が弱いときにグロース株を上回るパフォーマンスを上げる。これは、バリュー株は歴史が長く定評ある企業のため、景気が不確実なときに安全資産として見なされることが多いからだ。
「バリュー株と見なされることが多いセクターは、金融、エネルギー、資本財」と言うのは、フィンテック企業ベターメント(Betterment)のCFP®であるカイル・マックブライエン氏だ。こうした企業の製品やサービスには、グロース企業ほど再投資を必要としないため、一般的にグロース株よりも株主に高い配当を支払える。
だが、バリュー株は徐々に減っている。証券会社のチャールズ・シュワブ(Charles Schwab)とブルームバーグ(Bloomberg)のデータによると、2022年9月時点でS&P500種株価指数の中にバリュー株は約75銘柄しかなかった。2012年当時は125銘柄以上あったのに、だ。
バリュー株の長所と短所は以下の通りである。
バリュー株の例
S&Pグローバル(S&P Global)は米国に本社を置く金融サービス会社で、S&P500種株価指数だけでなく、その派生指数の構築と監督を行っている。1992年にS&Pグローバルは、簿価、利益、売上高の株価に対する比率を用いてバリュー株を測定するS&P500バリュー指数の算出を開始した。
S&Pグローバルの分類に基づくと、コカ・コーラ(Coca-Cola)とプロクター・アンド・ギャンブル(Procter & Gamble)はどちらもバリュー株として定義づけされる。また、両社は少なくとも60年間増配している。
グロース株とは何か?
グロース株とはその名が示す通り、株式市場全体と比べて平均を上回るリターンを上げる株式を言う。
S&Pグローバルでは、売上高成長率、株価に対する利益変動率、モメンタムによってグロース株を決定している。株式のモメンタムとは、株価が変動する早さを指す。グロース株はバリュー株に比べて、ヘルスケアやITセクターに集中する傾向がある。アーク・インベストメント・マネジメント(Ark Investment Management)のキャシー・ウッド氏は、グロース投資を実践する最も著名投資家の1人だ。
「グロース株は、低金利環境の方が高いパフォーマンスを上げる傾向にある」と語るのは、シー・トークス・ファイナンス(She Talks Finance)の創業者でCFP®のニッキー・ダン氏だ。その理由は、低金利環境ではこうしたグロース企業が、成長のための資金を安く調達できるからだ。だが反対もまた然りである。景気が悪化して金利が上昇すると、グロース企業の借入コストも上がる。
グロース株の長所と短所は以下の通りである。
グロース株の例
S&Pグローバルでは、売上高成長率、株価に対する利益変動率、モメンタムを使ってバリュー株を定義づけしている。現在グロース株と見なされている企業の代表は、アップルとテスラだ。過去10年間、両銘柄は高いリターンを上げてきたことで知られている。
結論
市場のタイミングを測って、絶妙なときにバリュー株からグロース株に入れ替える(またはその反対)のは困難だろう。どの投資もそうだが、バリューとグロース投資手法を天秤にかける際には、自分のリスク許容度や投資期間をよく考えよう。
「市場で、どちらかの投資手法の方が有利なときがある」と、ダン氏は言う。「分散投資を継続するためには、バリューとグロースの両投資手法をポートフォリオに組み入れるのが良いだろう」