意外と大変。パートナーと円満な「デジタル別れ」をする方法…スマホの電話番号、ファミリー契約から位置情報まで

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結婚や離婚、親元からの独立といった人生の転機には、戸籍や住所の変更など、役所や銀行関連の手続きが多い。しかし、これだけネットが普及し、スマホやPCで各種ネットサービスを使っている世の中では、デジタル面での「お別れ」も確実にやっておく必要がある。

知人の実体験などから、イマドキの「デジタル別れ」の方法を各社に取材した。

離婚夫婦の「デジタル別れ」の難しさ

先日、離婚した女性の友人がケータイの手続きに苦労したという話を聞いた。

家族3人で同じキャリアに契約をしていて、夫だけ支払い方法を別にしたかった —— という。電話番号は公私で使っているため「キャリアと電話番号は引き継ぐ形で(支払いを分ける)手続きをしたい」とコールセンターに電話したところ、自分の住所変更の書類と、支払いが一人減るため、支払い方法の変更書類が送られてきた。

夫側にも、住所変更と支払い方法の変更書類が送られた。しかし、妻回線の契約者名義が夫になっていたことを失念していたため、後からその手続きも必要となった。さらに妻名義の光回線も解約することになったため、別会社に連絡を取るなど、ケータイにまつわる手続きがすべて終わるまでに1カ月以上の時間を要したという。

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出典:Shutterstock

また、別の人は、離婚した元妻が支払い口座の変更手続きを行ってくれないため、いまだに元妻のケータイ料金を支払っているという。離婚した今となってはコミュニケーションがうまく取れず、手続きしてくれる日をただ待つのみだと話す。

結婚の際にはお互いに協力できるため問題はないだろうが、離婚となると話は違う。

できるだけ迅速に、手早く手続きを終わらせたい。そこで、離婚する際にデジタル面でどんな手続きが必要か、「デジタル別れ」の方法を調べた。子どもが社会人になり、家庭から独立する際にも参考になると思われるので、参考にしてほしい。

スマホの名義や支払いの「デジタル別れ」

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ITジャーナリストの鈴木朋子さん。

筆者提供

ケータイにまつわるデジタル別れには、どんな手続きが必要だろうか。

主要4キャリアに話を聞いたところ、契約や支払いに様々なケースがあるため、「離婚する予定なので手続きを」と相談しても、人によって必要な手続きは異なるという。そこで、自身である程度把握できるようにリストアップしておく。もちろん、本来はショップやコールセンターへ相談することが確実だ。

まず、確認しておきたいのは、「利用している回線の契約者名義」が誰であるかだ。例えば、夫の名義で契約した回線を妻が利用している場合、親の名義で子どもが利用している場合があるだろう。楽天モバイルは回線を利用する人の名義で契約する決まりになっているが、念のため確認しておきたい。

契約者名義の確認を終えたら、以下のチェックポイントで必要な項目を洗い出す。

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編集部作成

必要な手続きがわかったら、キャリアに連絡する。手続きはコールセンターやショップ、ウェブで行えるが、その手続きによって手段が異なる。

1. 契約者名義の変更方法

契約者名義の変更(名義変更・譲渡)は、ドコモ、au、ソフトバンクはショップで手続きする。ショップへ出向くのは、本人のみ(相手の同意書・委任状・相手の本人確認書類の持参などが必要)、または本人と相手の二人だ。

NTTドコモは、一部、本人への電話確認でも対応できる。楽天モバイルで譲渡する場合は「my 楽天モバイル」アプリで譲渡する側が手続きをし、新しい契約者にURLを共有して手続きを完了できる。

また、この際に手数料が必要になるケースや、分割支払いしている機器代金の残金を一括清算するケースもある。楽天モバイルは、クレジットカードの分割払いは元の契約者に継続されるため、クレジットカード会社への連絡が必要だ。

2. 住所変更の方法

住所変更はウェブやアプリからできる。

なお、光回線やクレジットカードなど、キャリアに付随する契約を結んでいる場合、それぞれの窓口に変更や解約を依頼する必要がある。コールセンターなどで連絡先を確認しよう。

3. 請求先の変更方法

契約者名義の変更に伴って、請求先を変更するケースもある。ショップに出向く際、手続きによって通帳やクレジットカードなどを持参する必要もあるので、あらかじめウェブサイトで必要なものを確認してほしい。

4. 改姓手続きの方法

改姓手続きは、本人確認書類を用意し、NTTドコモはオンライン、電話、ショップ、auはショップと郵送、ソフトバンクはショップ、楽天モバイルは郵送で手続きする。

「デジタル別れ」は実際の離婚や独立「後」の方が良い

こうした手続きは、離婚や独立前に済ませる方が得策なのだろうか?

各社に聞いたところ、新しい住所や名前が証明できないと不可能な手続きもあり、離婚後に手続きした方がスムーズに進むとのことだった。

なお、各手続きの詳細は、それぞれ契約しているキャリアのサポートページで確認できる。

「家族アカウント」や「繋がっているサブスク」を見直す

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Manuel Esteban / Shutterstock

家族でアカウントを利用できるサブスクリプション形式のサービスも見直す必要がある。

家族ではない相手に月額料金をただ乗りされるだけではなく、同一世帯以外の家族利用を認めていないケースや、自分の動画や音楽の再生履歴を見続けられる可能性があるからだ。

基本的に家族アカウントの「分割」はできないので、これまでの再生履歴や購入内容なども含めて、まっさらの状態で新規に契約することになる。

例えばAmazon Prime Videoを家族アカウントで利用している場合、共有元のアカウントが相手のアカウントを家族会員から削除できる。

ネットフリックスは1つのアカウントは同一世帯で利用しなければならない。もし、他のデバイスで利用している人が引っ越す場合は、新たな契約が必要だ。もし、違う場所からの利用が継続されると、デバイスの確認をする必要がある。

また、アップルやグーグルのサービスをファミリーアカウントで利用している場合、ファミリーの管理者が相手のアカウントをファミリーから削除できる。

完全にブロックしたい場合:SNS、位置情報編

離婚や別離に際して、「SNSでも連絡を完全に絶ちたい」場合もある。

そういう時は、相手をブロックする。LINE、Instagram、Facebook、Twitterなどでフォロー関係を見直そう。LINEはブロックしても相手の「友だち」から自分を消すことはできず、相手に自分のプロフィール画面を見続けられるため、そのつもりで運用しよう

また、YouTubeなどで夫婦アカウントやペットアカウントを共有していた場合も、パスワードを変更しておくといいだろう(ただし、誰の所有という扱いにするかは、話し合っておく必要がある)。

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LINEは相手とのトークルームのメニューから、もしくは「友だち」画面で相手をスライドするとブロックできる。

筆者作成

もし位置情報共有サービスを利用していたことがあるのなら、共有をオフにすることも忘れないように。まもなくサービスが終了する位置情報共有アプリ「zenly」や、SNSなどの位置情報共有機能もブロックしておく。

アップルの「探す」アプリや、Google マップの「現在地の共有」も利用経験があるなら現状を確認する。「探す」は「人を探す」で相手のアカウントをタップし、「自分の位置情報の共有を停止」でオフにする。Googleマップの「現在地の共有」は、右上のプロフィール画像をタップ、「現在地の共有」をタップし、相手のユーザー名を選択して「停止」をタップする。

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「探す」の場合、相手のアカウントをタップして「自分の位置情報の共有を停止」をタップする。

筆者作成

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Googleマップの「現在地共有」の場合、相手のアカウントをタップして「停止」をタップする。

筆者作成

また、写真をクラウドサービスで共有している人もいるかもしれない。

GoogleフォトやiCloudなどに共有フォルダがある場合、不都合があるようであれば相手のアカウントを共有アカウントから削除するか、退出をお願いする。ドキュメントの共有フォルダがある場合も同様だ。

ウェブサービス全般でよく使っているパスワードを相手が知っているケースも多い。オンラインバンキングやネットショッピングなど、金銭が絡むウェブサービスも、パスワードを変更しておくと安心だ。

結婚よりも離婚の方が大変とはよく言われるが、年月を重ねた分だけ共有している情報も多い。この時期に、円満な「デジタル別れ」が必要な人の参考になれば幸いだ。

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