2019年10月29日、フランスのパリで開催された「パリ・ゲームウィーク」で、エピック・ゲームズが開発したビデオゲーム「フォートナイト」をプレイするゲーマー。
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- 大ヒットビデオゲーム「フォートナイト」を制作したエピック・ゲームズが、FTCに過去最高額の5億2000万ドル(約713億円)の罰金を科された。
- FTCは数十年前に制定された子供のプライバシーを保護する法律に同社が違反したと主張している。
- FTCはまた、エピックが若年層のユーザーをだましてゲーム内通貨を買わせたと非難した。
人気ビデオゲーム「フォートナイト(Fortnite)」を制作したエピック・ゲームズ(Epic Games)が子どものプライバシーを侵害したことに対して過去最高の5億2000万ドル(約713億円)の罰金を科すと、アメリカ連邦取引委員会(FTC)が2022年12月19日に発表した。
FTCは声明で、エピックは児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)違反で2億7500万ドル(約377億円)、さらにFortniteユーザーを騙して不要な買い物をさせたとして2億4500万ドル(約336億円)の罰金を支払わなければならないと述べている。
ノースカロライナ州の裁判所に提出された訴状の中でFTCは、エピックが両親に通知せず、同意も得ずに13歳未満のフォートナイト・ユーザーからデータを収集することで、数十年前からのプライバシー要件であるCOPPAに違反したと申し立てている。
また、FTCはエピックがデフォルトでテキストと音声通信をオンにしており、同社が年少のユーザーを見ず知らずの人とマッチングさせていることで、「子どもや10代の若者がフォートナイトを利用している間に、いじめ、脅迫、嫌がらせ、自殺など、危険で心理的トラウマを与えるかもしれない問題にさらされている」と訴えた。
一方、FTCはこれとは別に、エピックが「違法なダークパターン」を使ってフォートナイト・ユーザーをだまし、不要な買い物をさせたと主張している。指摘された行為には、ボタンのレイアウトが紛らわしい、ボタンを押すだけで課金につながる、保護者の同意なしに課金を許可する、不要な課金に異議を唱えた人のアカウントをロックする、などが含まれていた。
FTCは声明の中で、エピック・ゲームズの従業員は数年にわたり、これらの機能に対する懸念を同社に表明してきたと述べている。
「エピックは、その緩いプライバシー慣行によって子どもや十代の若者を危険にさらし、ダークパターンの使用によって消費者に何百万ドルもの不正な請求を行った」と、FTCの消費者保護局長のサミュエル・レヴィン(Samuel Levine)は声明で述べている。
「本日発表された命令案で、同社はデフォルト設定の変更、消費者への数百万ドルの還元、プライバシー侵害に対する記録的な罰金の支払いを要求されることになるだろう」
エピック・ゲームズはFTCの和解案に対し、12月19日に和解を受け入れる声明を発表し、「エピックは消費者保護の最前線に立ち、プレイヤーに最高の体験を提供したいので、この合意を受け入れた」と述べている。
「ここに行き着くことを意図してゲームを作成する開発者はいない」と同社は述べている。
FTCとエピックの和解は、カナダの最高裁判事が12月初め、エピック・ゲームズに対する訴訟を集団訴訟として認めた後に行われた。ケベックの親たちはこの訴訟で、自分たちの子どもがフォートナイト中毒になっていると主張している。