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「人生ゲーム」には昭和・平成・令和の日本社会が映し出されている。タカラトミーに聞く開発の工夫【発売55周年】

歴代の「人生ゲーム」シリーズの一部。

歴代の「人生ゲーム」シリーズの一部。

撮影:小林優多郎

昭和、平成、令和と時代を超えて愛されてきたボードゲームの定番『人生ゲーム』。年末年始に実家で家族や親戚と会ったり、友人と集まったりして遊ぶ方も多いことでしょう。日本では高度経済成長期の1968年に発売がはじまり、これまでに累計1500万個を売り上げた大ヒットシリーズです。

「人生、山あり谷あり」のキャッチコピーの通り、“人生”になぞらえたゲームのマス目や職業をふりかえると、そこには当時の日本の世相が反映されていました。日本での発売開始から今年で55周年を迎える『人生ゲーム』シリーズ。その一部をふりかえってみましょう。

ボードゲームの定番『人生ゲーム』 発祥はアメリカだった。

『人生ゲーム』の発祥は『モノポリー』と同じくアメリカでした。タカラトミーによると、ルーツは1860年に聖書の教えから考案された『THE CHECKERD GAME OF LIFE』。このボードゲームが100年後にアレンジされ『THE GAME OF LIFE(人生ゲーム)』が誕生しました。

日本では1968年(昭和43年)に発売がスタート。定価は1700円でした。東京オリンピックから4年、時の内閣総理大臣は佐藤栄作。日本は戦後復興を遂げ、高度経済成長の後期「いざなぎ景気」に湧いていました。

GNP(国民総生産)は当時の西ドイツを追い抜き、アメリカに次ぐ世界2位の経済大国に。世界初の市販用レトルトカレー「ボンカレー」が発売されるなど人々のライフスタイルも変化。日本の犯罪史上に残る「三億円事件」もこの年でした。

「マス目」と「職業」に見る昭和、平成の社会

『人生ゲーム』(3代目)

『人生ゲーム』(3代目)

撮影:小林優多郎

日本で発売された『人生ゲーム』も、シリーズ当初は英語版を反映「世界旅行に出発する」「ロールスロイスを買う」「金鉱発見」などアメリカンドリームに富んだマスの内容でした。

1983年に登場した『人生ゲーム』(3代目)では、独自のモデルチェンジで日本オリジナルの内容に変更。「お世話になった人達にお歳暮を送る」「正月休みに4泊5日のスキーツアーに行く」「先祖代々の土地を売る」など日本の社会を反映したマス目が生まれました。

撮影:小林優多郎

職業にも変化が表れます。過去シリーズでは「物理学者」「弁護士」といった職業がありましたが、「デザイナー」「アナウンサー」「パイロット」「アイドルスター」など新しい職種が登場。

タカラトミーによると、世相を反映して“転職”できるようになったのもこの頃からでした。

撮影:吉川慧

元号が「昭和」から「平成」に改まると、より世相を反映させた“テーマ版”の先駆けとして『平成版』(1989年)が登場します。

撮影:小林優多郎

「平成版」は1年間40万個以上販売するヒット商品となり、これ以降年鑑誌的にその年々の出来事や流行を盛り込んで毎年発売されるようになる。(タカラトミー公式サイトより) 

「国際化時代、英会話教室に通う」「海外留学で見識を広める」「副業で始めた個人輸入代行業が大ヒット」など今に通じるような生活スタイルを記したマスや「マルチまがい商法で福袋を買わされる」など社会問題に触れたマス目もありました。

撮影:小林優多郎

さらに消費税の導入を受けて「消費税導入前、大好きな二級酒を買い溜め」「消費税のウサばらしに銀座で豪遊」や、政界を揺るがしたリクルート事件を意識してか「あなたも未公開株を手に入れるチャンス」など当時の時事を反映したマスも登場しました。

撮影:小林優多郎

職業カードでは「会社員」が商社、就職情報、電力、保険など業種ごとに「政治家」「プロ野球選手/解説者」「タレント・マネージャー」「○×会組員」などバリエーションに幅が出ました。

1990年には『人生ゲーム』(4代目)が発売され、「東京ドームでワンマンショーをひらく」「パソコン通信を始める」といったマスが登場。バブル経済の世相を反映し、不動産売買やリハウス等が新たなルールに採用されました。

ヒットした『平成版』は、その後もシリーズを重ねます。貿易摩擦による「外圧」、米不足やバブル崩壊など時々の世相を反映しながら毎年のように発売されました。

ただ、阪神・淡路大震災やオウム真理教事件など「パロディ化できない暗く深刻な事件」タカラトミー公式サイト)が続発したことで「平成版」の開発が困難となり一時休止に。

その後シリーズは再開され『平成版X』(1998年)『平成版1999』(1999年)『平成版20世紀』(2000年)のほか、2001年にはインターネット社会やネット恋愛をテーマにした『平成版ネットラヴァーズ』などが登場しました。

令和に入り、SNS時代へ。マス目の内容も変化

撮影:小林優多郎

2019年には元号が改まり、時代は「平成」から「令和」へ。このタイミングで発売されたのが『令和版+』でした。

従来とはゲームシステムが異なり「人生の価値はお金だけではない」「お札のない人生ゲーム」がコンセプト。プレイヤーはインフルエンサーとなって盤上を移動し、“フォロワー”数を競うというもの。

マス目の内容も「15秒の曲に合わせたダンス動画がウケた」「ふわふわパンケーキをアップ!いいねがつく」「まんがつぶやきが人気になり出版されることに」「角度にこだわりすぎて料理が冷める」「裏アカがバレて大炎上」など、SNS時代だからこそ生まれた今までにない『人生ゲーム』でした。

撮影:小林優多郎

2022年10月に発売された最新作「ゴールデンドリーム」ではコロナ禍を反映してか、「テレワーク用にPCを新調」「除菌グッズを買う」というマス目が登場。「メタバースでショップ店員のアルバイトに挑戦」「ライブ配信で高額投げ銭ゲット」「推しの結婚で悲しみに暮れる」など、とても今っぽいマスもあります。

職業では「プログラマー」「アイドル」など過去シリーズにも登場したものに加えて、2020年の東京オリンピックの競技で注目されたことを反映してか「スケボー選手」が誕生。さらに「動画クリエイター」「ドローンパイロット」「ダンサー」「投資家」など現代っぽさが増しています。

ちなみに「投資家」と「動画クリエイター」はゲーム中にランクアップすると、それぞれ「トップトレーダー」「インフルエンサー」になれます。

開発チームで何度もブレスト。「その年らしいワード」を抽出

「金色の侍と楽しく踊りまくった」マス。サンバとか踊ってそう。

「金色の侍と楽しく踊りまくった」マス。サンバとか踊ってそう。

撮影:吉川慧

シリーズごとに発売当時のニュースや話題がマスや職業の特色として現れることも魅力の『人生ゲーム』シリーズ。開発にまつわる“よもやま話”をタカラトミーに聞いてみました。

──世相を反映させるためにどんな工夫を施しているのでしょうか。

テーマ版につきましては、近年ではほぼ毎年に1個ずつのペースで発売しているので、開発チーム内で何度もブレスト会議を行い「その年らしいワード」を抽出して取り入れております。

その際、開発開始から実際の発売まで約1年間ほどの時差があるため、「1年後に“古い”と感じられないようなワード」をできる限り選別するようにしております。

『人生ゲーム』の名を関した「スタンダード版」の場合は、7〜8年に一度ペースのリニューアルになるので、 テーマ版ほどは「トレンド感」を意識せず、時代にできるだけ合わせつつも普遍的な内容になるように意識しております。

──マス目の題材はどうやって集めていますか。ネタ元やヒントなどがあれば。

決まった集め方はなく、チームメンバーが日々生活する中で気になった事を挙げております。

──シリーズによって特色がある職業カードもありました。どのように決めていますか。

マス同様に、開発チーム内のブレスト会議を経て決めております。「その時代の子どもたちにとってあこがれの職業であるか」「テーマ版の場合、ゲーム自体のテーマ性にあっているか」等を意識して選定しています。


日本での発売開始から55年。現在までに最新作の「ゴールデンドリーム」まで71作品を発売。累計販売数は累計で約1500万個以上にのぼります。

『人生ゲーム オブザイヤーII』のキャッチコピー「コマを進めれば、時代が見える」の言葉通り、『人生ゲーム』シリーズのマス目や職業には、昭和、平成、そして令和の日本の姿が詰まっていました。

公式サイトでタカラトミーは、『人生ゲーム』についてこう綴ります

「ただ過去を回顧するだけでなく、人生を通して今人々が求めている”夢”とは何か、また求められている未来の”夢”とは何かを捜していきたいと考えています」


「『人生ゲーム』は常にその時々の”夢”を綴った私たちの人生の玉手箱なのです」

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