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2030年に売上高1.8兆円、営業利益率15%──パナソニック インダストリー成長の鍵は「DXによる変革」

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2022年4月に事業会社制へと移行し、各事業会社を主役とする体制となったパナソニックグループ。

家電事業のイメージが強い同グループの中で、B to B領域の電子部品などの製造・販売を担い、産業を根底から支えているのがパナソニック インダストリーだ。

注力領域は、「工場省人化」「情報通信インフラ」「車載CASE」の3つ。2030年度に向けて1.8兆円の売上げを目指しているが、この成長の鍵を握るのが、DXによる経営変革だ。

これまでのビジネスモデルのあり方や業務プロセス、働き方を変革すべく、パナソニック インダストリーではどんなDXを進めているのか? 2021年10月から同社のCIO(Chief Information Officer) 兼 CDO(Chief Digital Officer)を務める帆足英次氏に、取り組みの進捗や見えてきた課題、そして今後目指すことを聞いた。

「9つの事業体」だった複雑な組織をITシステムでつなぐ

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帆足英次(ほあし・えいじ)氏/パナソニック インダストリー株式会社 常務執行役員 CIO兼 CDO。これまでに、東芝とオムロンにて海外現地法人のIT高度化や標準化、グローバルプロジェクト推進など、経営や事業に寄与するITとプロセス変革を行う。2021年にパナソニック インダストリーへキャリア入社。DX戦略立案と実行の責任者として、IT改革とデジタル・データ活用によるビジネスモデルの変革と新たな価値創出を推進。

パナソニックグループの源流は、「経営の神様」と称された松下幸之助が1918年に創業した『松下電気器具製作所』に遡る。その後、100年以上の歴史を重ねる中で、さまざまな事業の分化や統合、子会社化などが行われ、組織形態を変化させてきた。

パナソニック インダストリーは、古くは電子部品の製造部門として設立された松下電子部品のDNAを受け継ぎつつ、松下電工や松下電器産業、三洋電機の部門を統合。合わせて9つもの事業体が集まった企業だ。

東芝、オムロンといった日本を代表する大手メーカーでIT戦略を担当し、現在はパナソニック インダストリー CIO兼CDOを務める帆足英次氏は、入社当時に「非常に複雑な組織だと感じた」と述懐する。

「9つの事業体が個別最適化されていて、それぞれの事業運営において、業務プロセス、組織・人、カルチャー、そしてITシステムがバラバラ。会社としての一体感や横のつながりが少なく、連携できていないことが大きな課題でした。

そこに、電子デバイスの開発・製造という性質上、拠点数や品番数、顧客数が膨大という事業特性も相まって、会社全体で最適化しようという機運は醸成されていませんでした」(帆足氏)

今後の成長が見込まれる電子デバイス業界。業界トップを目指すパナソニック インダストリーは、2030年度売上1.8兆円、営業利益率15%以上という経営目標を掲げている。そのためには、全体最適の視点に立った業務ルール、プロセス、組織、ITシステムの標準化・集約は必要不可欠だ。

「入社して驚いたのは、パナソニック インダストリーの『技術力』と『商品開発力』です。2030年に売上げ1.8兆円という数字は、事業戦略を正しくスピーディーに実行すれば達成が見えてきます。 注視すべきは、営業利益率15%以上。これを実現するには2つの条件があります。

一つは、標準化による徹底的な合理化。これまで個別最適で行ってきた経営管理や事業運営を全社最適で標準化することで、オペレーション力と変化が激しい社会の中での変化対応力を強化します。

もう一つは、DXを通じた新しい価値の創造です。組織横断でデータやプロセスをつなぐことで、これまで見えていなかった課題や新しい何かを見出し、モノ売りからコト売りへとビジネスモデルを変えていくようなことを目指します」(帆足氏)

正しいことを、正しくやる

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バラバラだった組織やプロセス、ITシステムをシームレスにつなぎ、会社としての一体感を醸成する。この大きな改革をCIO 兼 CDOとしてけん引する帆足氏。パナソニック インダストリーに籍を置き、1年が経った。「急な変革を目指すより、足場がためをしてきた1年だった」と話す。

「特にここ数年で当社のキャリア入社者も増えてきました。しかし、経営幹部としてキャリア入社したのは私が初めて。

これまでは豊富な経験と知識を持ったプロパー社員が中心となって事業を磨いてきたパナソニックにとって、私のような存在はある意味『異分子』で、この1年は社員のみなさんから、『この人は一体何をしてくれる人なのか』『何のために来たのか』と見られる部分もあったと思います。

そういった状況で、ブンブンと肩を回しながら『やり方を変えよう』などと急に剛速球を投げても、みんなで意識を一つにすることはできません。まずは、組織が持つ価値観を尊重しながら物事を進めることを念頭に置いてきました。

一方で、外から来たからこそ、空気を読みすぎないという強みもあります。これまでの成り立ちが異なる9事業それぞれのカルチャーを残しつつ、互いの強みを活かしながら切磋琢磨してきた状況下で『融合して一つになろう』と声をあげるのは勇気がいること。

これまで必要だと思っていても、その大変さや複雑さから動き出すことに踏み切れずにいたところもあると思います。

しかし、正しいことを正しくやっていくのは大事なこと。周りからは、『帆足はパンドラの箱を開けた』とも言われています」

帆足氏はこの1年をかけて、着々と変革に向けた種を蒔いてきた。着任してすぐ、データを活用してスピーディーに正確な意志決定を行う「リアルタイム衆知経営」を実現するためのDX戦略を立て、そのグランドデザインとロードマップの策定を行った。

「当社のDX戦略は大きく2つの要素で構成されています。一つは、データをつなぐ取り組み=全社DX運営。もう一つは、プロセスをつなぐ取り組み=全社SCM(サプライチェーンマネジメント)変革です。

具体的には、PX 方針(※)にもとづいて、既存のITシステムのモダナイゼーション(置き換え)、コード統一、クラウド活用の検討などを変革の基礎として推進してきました。これを持って、2022年10月より全体最適な組織横断の標準化への実行フェーズへ移行しています」(帆足氏)

※パナソニックグループでは、DXの取り組みを「Panasonic Transformation(PX)」として推進。ITシステムの変革に留まらず、経営基盤強化のための重要戦略として捉えている。

「無理な理由」にこそ答えがある

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提供:パナソニックグループ

帆足氏が変革を進める際に重要視していることがある。それは、社員のマインドセットだ。国内34拠点、海外50拠点に約4万4000人の社員を抱える組織において、全社を巻き込む変革の実現は並大抵のことではない。

ものづくりの会社として、現場が命だと思っています。私自身、国内生産拠点のほとんどを訪問し、拠点の責任者だけでなく現場の人たちと対話する機会を持ちました。変革といえば危機感を煽りがちですが、そこばかりを強調しても意味がない。

変えることによって、お客様の幸せにどんな貢献ができるのか。変革によるポジティブな面を伝えながら会話を重ねてきました」(帆足氏)

もちろん現場には、長年積み重ねてきたそれぞれのやり方がある。あるときは「変えることは無理だ」という声もあったと言う。しかし帆足氏は「そういった声こそ大事にして、対話を重ねるべき」と語る。

「現場で業務に携わっているからこそ、無理だと感じることはあるでしょう。だからこそ、無理な理由を徹底的に聞き、一緒にできることを探す

逆に言えば、腹落ちしていない状況で言われたことをやるだけでは意味がありません。拠点の責任者や中間管理職の方々が腹落ちしたら、自分の言葉で内部に伝えてくれる。すると、一気にみんなの目の色が変わり、実現に向けて走り出すことができるのです」(帆足氏)

帆足氏は、「一方通行ではなく対話すること」や「情報をオープンにすること」を大切にしていると続ける。社内のイントラネットでは、自ら作成したCDOレポートを定期的に発行し変革の目的や進捗の公開も行っている。

「『開かれたプロジェクト運営』をしていきたい。関係者だけが状況を知っていて、それ以外の人は何をやっているか分からない世界は健全ではないでしょう。また今後は、プロジェクトに興味を持った人が、主体的に参加できる仕組みも整えたいと思っています」(帆足氏)

社内のIT部門のプレゼンスを向上させたい

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提供:パナソニックグループ

帆足氏は、これまで東芝やオムロンといった日本の大手メーカーでIT戦略やグローバルプロジェクトに関わる中で、忸怩たる想いがあったと言う。

「日本の製造業は世界一だという自負を持っています。そんな中、先進国において日本は最も生産性が低い国というニュースなどを見て、歯がゆい思いをしていました。

その責任の一端は、ITシステムを経営や事業に貢献する建付けがなく、変革のドライバーにできていないことにもあると思っています。ITシステムの力で製造業の生産性を向上させて、世界中の競合他社に圧倒的な優位性を持った経営システムを構築したいという想いを強く持っています」(帆足氏)

しかし、日本の製造業全体の風潮として、直接的な利益を生み出さない社内のITシステム・情報システム部門を軽視する日本企業がまだまだ存在することは否めない。

帆足氏は常々、その風潮を打破し、製造業におけるITシステム・情報システム部門のプレゼンス向上を目指してきた。

「会社の存在意義は、持続可能な社会の実現に貢献することだと思っています。そのために、社内の情報システム部門が経営に寄り添い、社会に貢献できる事業を後押しする仕組みやシステムを構築する。

経営と情報システム部門の距離をもっと近づけて、情報システム部門の存在価値を高めたい。その結果、情報システム部門で働く従業員がやりがいや自己実現を感じる──このような想いに共感してくれたのが、パナソニック インダストリーでした。

パナソニック インダストリーは高い商品力を持っていて、オペレーション力を強化すればもっと強くなっていける。そこにはきっかけが必要で、私がそれを担えたらと思ったのです」(帆足氏)

そうして帆足氏は、新しいチャレンジに足を踏み入れた。しかし、なぜ大変だと分かっている道をあえて進むことを決断したのか。

「これまでの実績に守られて、定年まであと何年かとカウントダウンしながら働くよりも、険しい山を登ることでの新しい景色を見たい。これほどの規模感で多くの人に影響を与えられるようなダイナミックな変革ができるのは、ここしかないと挑戦を決めました」(帆足氏)

パンドラの箱を開けた先には、必ず希望が待っている

ITシステムの変革やDXは、取り組んでいるとそれ自体が目的化してしまうという話も多い。しかし、「ITシステムやDXはあくまでも手段」だと帆足氏は語る。

「我々は、グローバルに拠点を展開していて、たくさんの仲間がいます。国境や組織を超えて一つになり、会社として同じ目的、同じミッションの実現を目指していく。ITシステムの統一やルール、プロセス、組織機能の全体最適と全社標準化、全社一体となったDXは、そのための土壌づくりだと思っています」(帆足氏)

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帆足氏、そして、パナソニック インダストリーの変革は始まったばかりだ。

チャレンジを恐れない風土をつくり、「パナソニック インダストリーで働くことが、社員の自己実現の場になるような環境をつくりたい」と力を込める。

「目指しているのは、『ファーストペンギン ファースト』。ファーストペンギンとは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛び込む1羽のペンギンのことです。

つまり、リスクを恐れず初めてのことに挑戦する精神の持ち主。こういった挑戦への行動を後押しする文化を醸成したいと考えています。

失敗さえ恐れなければ、今のパナソニック インダストリーは可能性の塊。なりたい自分を描き、仕事を通じて自己実現する。それが、会社や組織の存在価値を高めて、社会への貢献につながっていく。

そんなチャレンジングスピリッツのある人たちと変革を進め、これからのパナソニック インダストリーをつくっていきたいですね」(帆足氏)

パンドラの箱はギリシャ神話に由来し、神話では、開けたあとに箱に残ったのは「希望」だったとされている。帆足氏が開けたパンドラの箱。その先には、変革を経てさらなる躍進を遂げる希望への兆しがある。


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