「note」が大幅ダウンラウンド上場へ。なぜ今?の疑問に「やるべき時にやる」「SOは関係ない」

コンテンツプラットフォーム「note」を運営するnote株式会社が2022年12月21日、東証グロース市場に上場した。公開価格ベースの想定時価総額は約50億円と小規模なIPOになったが、初値は公開価格を大きく上回る521円となった。なお、上場初日の終値は439円。

上場は長期的な視点で

note、加藤貞顕

東京証券取引所で会見を開いたnoteの加藤貞顕CEO。2022年12月21日、上場会見にて撮影。

撮影:竹下郁子

note社の公開価格は340円で、直近2022年4月の資金調達(第三者割当)時の発行価格2062円に対し、株価0.16倍の大幅なダウンラウンド上場となった。

このタイミングで上場することについては、社内や既存投資家の間でさまざまな意見があったという。加藤貞顕CEOは、

「そもそもメディアは上場しない企業も多く、そのほうが一般的だろう。ただ我々はメディアではなく、プラットフォームであり創作のインフラのようなサービスだ。より多くの人に使ってもらうためには、ある程度の規模感が必要。信頼獲得にも資金調達の手段としても上場することが適していると考えた。

もちろん直近の市場はいいタイミングではないという意見もあったし議論はしたが、長期的な視点で考えた時に、やるべき時にやろうということで決めた」(加藤さん)

と話した。

note

鹿島幸裕CFO。

撮影:竹下郁子

未上場時から短期間で株価が下がった要因について鹿島幸裕CFOは、

「当社固有の要因はないと考えている」

と分析。

「マクロで見た時にアメリカをはじめとする金利の動向が、株式マーケット 、特に当社のようなグロース株に大きく影響しており、昨年と比べて株価が下がっている企業は多い。マーケットが低迷すると投資家も保守的な状況に置かれる。こうした環境の激変にIPO(新規株式公開)を目指す企業はダイレクトに影響を受ける」(鹿島さん)

と述べた。

迫るストックオプションの「行使期限」

note

ロゴも刷新。

撮影:竹下郁子

note社の新株予約権(SO)比率は11.63%で、2013年9月に第1回目を発行している。税制適格SOは付与決議日から10年以内に行使しないといけないため、この行使期限が迫っていることも上場時期の決断に影響したのかたずねると、

「SOは今回の上場タイミングの決断に関する要因にはなっていない。仮に失効した、しそうになった場合には再発行できるので」(鹿島さん)

という回答だった。

黒字化は早期に、海外進出も

note24

出典:成長可能性資料

業績は赤字が続く。目論見書や有価証券届出書などで確認できる2017年以降の業績では赤字が続いており、2021年11月期は売上高約18億8000万円に対し、約4億3000万円の純損失だった。2022年11月期は売上高約22億8000万円、純損失8億7000万円と赤字幅は膨らむ見込みだ。

これは人材採用やプロダクトの開発コストが先行した結果だという。2022年10月時点の従業員は179人で、年間の平均給与は約678万円。人件費が原価を圧迫しているように見えるが、「黒字化は早期に実現したい」(鹿島さん)と意気込む。

「先行投資としてエンジニアやデザイナーを中心とした開発人員を積極的に採用してきた。ある程度、優秀な人材を確保できたので、人材は今後はこれまでと同じような増えかたではなく緩やかになり、コスト的にも規律がある形で推移していくと思う。

売り上げを伸ばしていく中で、赤字幅については縮小していく予定だ」(鹿島さん)

今回の上場で調達する資金は、企業のオウンドメディア運営などをサポートするSaaS「note pro」の広告宣伝費と、日本政策金融公庫から借り入れていた長期借入金の返済に充てるという。

noteの2022年8月末時点の会員登録者数は550万人超。今後は海外進出も視野に入れ、さらなるユーザー獲得に注力する。

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