競争力が下がり続ける「低学歴国」日本…「学び」の姿勢に問題あり?【入山章栄・音声付】

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Pla2na/Shutterstock

今週も、早稲田大学ビジネススクールの入山章栄先生が経営理論を思考の軸にしてイシューを語ります。参考にするのは先生の著書『世界標準の経営理論』。ただし、本連載はこの本がなくても平易に読み通せます。

Business Insider Japanで連載を持つ佐藤優さんは、日本は人口当たりの博士号取得者が欧米に比べ少ない「低学歴国」だと指摘しています。このことは、近年指摘されている日本の競争力低下と関連しているのでしょうか? 日米双方の高等教育の現場を知る入山先生が、日本ならではの課題に斬り込みます。

【音声版の試聴はこちら】(再生時間:10分07秒)※クリックすると音声が流れます


「日本=低学歴、欧米=高学歴」?

こんにちは、入山章栄です。

ミレニアル世代代表としてこの連載に参加してくれているBusiness Insider Japan編集部の野田翔さんは、佐藤優さんの連載「お悩み哲学相談」の担当でもあるのをご存じでしょうか。今回はそちらの連載から派生したお話です。


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BIJ編集部・野田

日本の競争力が落ちていると言われていますが、これはもしかしたら日本人の学びへの姿勢に原因の一端があるのでしょうか?

というのも以前、佐藤優先生が「お悩み哲学相談」で、「日本は低学歴国だ」とおっしゃっていたからです。欧米では官僚や経営層に博士号や修士号を持つ人が普通にいる。しかし日本にはほとんどいないと。

僕が思うに、日本は「新卒現場主義」みたいなものが強すぎて、特に文系だと「大学で何を勉強したか」はあまり関係なく、とにかく大学名だけで採用する。だから「大学で勉強してもどうせ評価されないし、だったら学生のうちに遊んでおこう」という風潮につながってしまうのかなと思います。

入山先生は、日本人の専門性の浅さや学びへの意識の低さが、昨今のグローバル競争力に影響していると思われますか?


佐藤優さんのご意見は、さすがのご指摘ですね。基本的には僕も同意見で、7割以上は賛成です。ただ、佐藤さんはよくご存知の上での発言だと思いますが、読者の方に誤解してほしくないのは、「日本=低学歴、欧米=高学歴」と必ずしもシンプルに考えないほうがいいかも、ということ。これが残りの3割です。

まず、7割の「賛成」の部分の話をしましょう。

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