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「自己投資ファースト」でやってきたけど、経済観念が希薄…お金のプロは何をアドバイスする?

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自己投資に重きを置くシオリさん。とはいえ、貯蓄や保険に気がかりが…。

Five/Getty Images

  • 都内在住の会社員シオリさん(仮名:36歳)は、「自己投資ファースト」でやってきた。今や会社に頼らずとも生きていける自信がある。
  • しかし、「経済観念が希薄」と自己分析。お金はあればあるだけ使ってしまうからだ。
  • そんなシオリさんの家計を、ファイナンシャルプランナーの西山美紀氏に診断してもらった。

都内在住の会社員シオリさん(仮名:36歳)は、どちらかといえば資産形成よりも自己投資に重きを置いている。リーマン・ショックの頃に新社会人となった彼女は、常に「何が起こるか分からない」という状況下でキャリアを形成してきたからだ。

社会人生活も14年目を数えるシオリさんは、転職や自己投資を積み重ね、今や会社に頼らずとも生きていける自信がある。それは自ら事業を興した現在のパートナーの影響も大きい。

しかし、たった100万円という貯蓄額や保険未加入という状況に、少し不安を感じているところもあるという。シリーズ連載「ミレニアル世代の家計診断」第3回【前編】に引き続き、この【後編】では、シオリさんの家計をファイナンシャルプランナーの西山美紀氏に診断してもらった。

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取材をもとにMoney Insider作成

投資・貯蓄より自己投資——。そうしたポリシーを貫いてきたシオリさんは、「経済観念が希薄」と自己分析する。お金はあればあるだけ使ってしまうからだ。

しかし家計表を見る限り、その自己分析とは裏腹にやりくり上手な一面が垣間見える。

まず西山氏が着目したのは「返済」の項目だ。これは学生時代の奨学金返済に当たるが、500万程度の借入金に対して毎月3万3000円を返済しているという。

これについて、シオリさんは当たり前に「給料から自動的に差し引かれていくもの」と認識。10年以上欠かさず毎月返済してきた。

「定性的なデータではあるが、いま奨学金の返済が苦しいといって、返済を遅延している人の声を聞くことが増えている。そうしたなか、呼吸するようにしっかりと返済できているのは素晴らしい」と、西山氏は賞賛する。

メリハリのあるお金の遣い方

次に「通信費」だ。月々5000円というのは、一見一般的な部類に入るように思う。しかし、これは携帯電話代に加え、ポケットWi-Fi代も含めた価格。なので実際はかなり抑えられていると言えるだろう。

「その他」で計上されているサブスクリプション代も、8000円と控えめだ。多い人なら月2万円を超える人もいるなか、シオリさんの場合、動画・音楽・学習と、しっかりとした目的と使い切れる分量を見極めているように感じる。

ボーナスで散財することもほとんどないとシオリさんは説明する。むしろそのまま貯蓄に回ることも多いという。

その反面、美容・被服費などには月々約3万円を出費。それなりの額を費やして楽しんでいるようだ。

「節約を意識している方は、美容・被服費やサブスク費などの分野を極度にガマンしてしまう方もいる。それによって、節約が辛くなるケースもある」と西山氏は指摘する。「だがシオリさんの場合、メリハリがきちんと効いていてとてもいい」

奨学金完済後を見据えて

シオリさんの奨学金返済は、あと数年で終わる。

それ以降、今まで呼吸するように返済してきた額をそのまま投資や貯蓄に回せば、着実に資産は形成できていくだろう。まだ30代なので、それを老後資金とすることもできる。

それに先駆けて、今から5000円ずつでも毎月自動で積み立てていける仕組みを作ったらさらに良いと西山氏は続ける。

「これまで10年間、自然と奨学金返済を続けてこられたので、次の10年も同じように蓄財していくことができるはず。10年という年月は想像以上にあっという間。気付いたら意外と大きなお金になっている」

その際に便利なのが会社の財形貯蓄や社内預金だ。だが転職が多い人は、会社を移るたびの手続きが煩雑。そこは会社の仕組みに乗らず、個人で完結することを西山氏は推奨する。

生活防衛資金を捻出するために

現在の貯蓄額は100万円。全くないよりはマシな金額だが、生活防衛資金としては少々心もとない。現状、月々の支出が30万円弱なので、何かあった際には単純計算で3カ月程度しか持たないからだ。

生活防衛資金の最低目標として一般的な額が、手取り月収の6倍だと西山氏は説明する。シオリさんの場合だと、32万円×6=192万円。つまり現在の貯蓄額の2倍、200万円を目標にしたい。

そこで重要なのが家計の把握だ。無駄な出費を洗い出し、それを生活防衛資金に回す。理想はしっかりと家計簿をつけて収支を把握することだ。だが会社員だとその時間を捻出するのも難しい。

「忙しい場合は、例えば1〜2週間、できれば1カ月間だけ、と一時的に家計簿をつけるといい。そうすれば、普段は意識しない無駄な出費に気付くことができる。いわば自分の家計の健康診断のようなもの」と西山氏。

「一時的な期間が終了したら、その後は家計簿を続ける必要はない。毎月預貯金がしっかり出来ていれば良しとする」

「稼げる力」はなによりも財産

預貯金のほかにシオリさんは、保険未加入という点も気にしていた。まだまだ若いとはいえ、毎年健康診断結果を見るたびに備えの重要性を感じているという。

西山氏は、転職をしたとしても会社員を続けていくのであれば、保険に関しては、そんなに優先度を高めなくてもいいと語る。健康保険加入者なら誰でも高額療養費制度が使え、会社員なら傷病手当金などの制度が充実しており、保険に頼らなくても負担はそれほど大きくならないからだ。

「ただ、女性で今後結婚を考えている場合、出産の際に医療保険が役立つことがある」と西山氏。

「帝王切開のほか、切迫流産や切迫早産で入院した場合は、基本的に民間の医療保険の保険金が出るため安心感があるし、そのお金を使って個室を選ぶこともできる。掛け捨ての安い医療保険に入っておくことも選択肢の一つだ」

死亡保障のある生命保険なども気になるところだが、独身であればあまり気にすることはないと、西山氏は続ける。その代わり、預貯金を多少なりとも増やしていけば、流動性が高いので、いざという時に役に立つという。

「やはり『働いて稼げる力』というのは重要。節約の力や、投資をしてお金を増やす力と比べて、何よりの財産といえる」と、西山氏は指摘する。「今や会社も渡り歩ける時代だ。稼げる力があることに自信を持っていい」

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