ロサンゼルスにあるピーターセン自動車博物館で展示されているテスラの「サイバートラック」。
Samantha Delouya
- ピーターセン自動車博物館では、展示会「Inside Tesla: Supercharging the Electric Revolution」が開催されている。
- 「サイバートラック」やAIロボット「オプティマス」など、テスラの有名な製品を間近に見ることができる。
- 筆者も足を運び、電気自動車(EV)の長い歴史と、テスラがどのように業界を形成してきたのかについて学んだ。その様子を写真で紹介する。
ロサンゼルスにあるピーターセン自動車博物館では、テスラ(Tesla)の歴史を深く掘り下げた新たな展示会「Inside Tesla:Supercharging the Electric Revolution(インサイド・テスラ:電気革命のスーパーチャージ)」が始まっている
分解された「モデルY」の展示。3万の部品で構成されるガソリン車と比較して、EVがいかにシンプルであるかを示している。
Samantha Delouya
筆者も展示会に足を運び、テスラのさまざまな製品を目にした。また、テスラ以前にEVがたどってきた長い歴史についても学ぶことができた
テスラの2009年式「モデルSプロトタイプ」と筆者。
Samantha Delouya
テスラの車両が多数展示されていた。中には未発売のものもあり…
テスラのEVトラック「セミ」は2017年に初めて公開され、2019年に生産を開始する予定だった。度重なる遅延を経て、2022年12月初めにようやく納車を開始したと発表された。
Samantha Delouya
…「サイバートラック」もその1つだ。発売は2019年の予定だったが、イーロン・マスク(Elon Musk)CEOは、2023年以降になると発表した
「サイバートラック」の価格は、3万9900ドル(約530万円)から。
Samantha Delouya
2019年にサイバートラックが公開された際、テスラのチーフデザイナーであるフランツ・フォン・ホルツハウゼン(Franz von Holzhausen)は、絶対に壊れないというトラックの性能を証明しようとしたが、ハンマーと鉄球で窓を割ってしまった
後にマスクは、ハンマーによるドアへの衝撃がガラスの基部にひびを入れたため、鉄球を投げつけると割れてしまったとツイートした。
Robert Hanashiro-USA TODAY/REUTERS
Source: Twitter
そのときのハンマーと鉄球も展示されていた
サイバートラックのプロトタイプを倒したあの有名なハンマーと鉄球。
Samantha Delouya
EVの歴史について学ぶのは、とても興味深いことだった。展示によると、20世紀が始まったころには、40%近くの車がEVだったという。1908年の電気自動車も展示されていた
初期のEVである1908年製の「コロンビア・ヴィクトリア・フェートン」。
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しかし展示によると、ヘンリー・フォード(Henry Ford)が開発した「T型フォード」の登場で、ガソリン車の方がEVよりも手頃な価格で入手しやすくなり、歴史の流れが変わったという
1913年、ヘンリー・フォードは自動車工場に移動式組立ラインを導入し、T型フォードの製造時間を短縮した。
Library of Congress
20世紀の間にEVを復活させる試みもあったが、メインストリームに躍り出ることに成功したものはなかった
ゼネラルモーターズ(General Motors)の「EV1」は、1996年からリース用に販売された。しかし採算が合わず、2003年にはすべてのEV1が回収され、そのほとんどが廃棄された。
John Hillery/Reuters
1997年にトヨタのハイブリッド車「プリウス」が登場したことで、ガソリン車の代わりとなる車に対する印象がよい方向に変わってきた。その一方で、バッテリー搭載型EVの普及に貢献した初の自動車会社は、マスクが資金提供したテスラだったと展示に示されていた
テスラ車に乗るイーロン・マスク。テスラは2003年に設立された。2004年にはマスクが筆頭株主となり、取締役会会長に就任。2008年にはCEOに就任した。
James Leynse/Corbis via Getty Images
テスラは創業以来、EVを生産している。現在では、BMW、GMC、フォードなど、ほとんどの大手自動車会社はカーボンニュートラルを公約に掲げ、EVを開発し、製造している
GMCの「ハマーEVエディション1」。
Tim Levin/Insider
テスラがEV生産に取り組むにあたってインスピレーションとなったのが、1997年に発売されたACプロパルジョン(AC Propulsion)の電気スポーツカー「tzero」だという。これを間近で見ることができた
ACプロパルジョンの「tzero」は、1997年にハンドメイドされた電気スポーツカーだ。マスクはtzeroに試乗して感銘を受けたことで、テスラへの出資を決意したという。
Samantha Delouya
テスラ車の製造工程も詳しく紹介されていた。車体を組み立てるために工場で使われているロボットアームや…
テスラ車の生産には、クーカ(Kuka)のロボットアームをはじめとする工場用ロボットが使われている。2018年、マスクはオートメーションに頼りすぎることがあると語っていた。
Samantha Delouya
Source: WSJ
…モデルYの衝突試験で使われた車両まで展示されていた
モデルYは、アメリカ運輸省道路交通安全局の衝突試験で5つ星の評価を受けた。
Samantha Delouya
Source: Insider
展示されていたのは車だけではない。マスクの幼少期の写真のほか、キャリアの初期にソフトウェア会社Zip2や、後にPayPalとなるX.comのトップを務めていたことなどが時系列で紹介されていた
ピーターセン自動車博物館で展示されていたイーロン・マスクの幼少期の写真。
Samantha Delouya
マスクのお気に入りのSF小説「The Hitchhiker's Guide to the Galaxy(銀河ヒッチハイク・ガイド)」の初版本なども展示されていた
「(『銀河ヒッチハイク・ガイド』は)かなりポジティブな内容だと思う。…多くの場合、問いかけることは、答えることよりも難しい」とマスクは語っている。
Samantha Delouya
Source: Insider
テスラの自動車以外の製品も展示されており…
テスラはテキーラ、赤いサテンのショートパンツ、2022年初めにリコールされた子ども用の「サイバークワッド」も販売している。
Samantha Delouya
Source: TechCrunch
…その1つが人型AIロボット「オプティマス」だ。現在はプロトタイプだが、いずれは「退屈で反復的で危険」な仕事をこなせるようになるだろうとマスクは述べている
オプティマスは、2021年に開催されたテスラのAIイベントで初めて紹介されたが、そのときの「ロボット」は着ぐるみを着た人間だったことが明かされた。
Samantha Delouya
Source: Insider
この展示会は2023年10月まで開催されている
テスラ「モデルX プロトタイプ」
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