ウォーレン・バフェット
REUTERS/Rick Wilking
- バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェットCEOは、戦争が起きたとしても、株式を現金や金、ビットコインに切り替えるのは好ましくないとアドバイスしている。
- バフェットは、ドルや仮想通貨、国債などの安全資産よりも生産性の高い事業の株式を好む。
- 2014年にロシアがウクライナに侵攻した際には、長期投資家にとっての買い時だと主張していた。
億万長者の投資家でバークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)CEOのウォーレン・バフェット(Warren Buffett)は、戦争が起きたときに株式を売却して、現金をため込んだり、金やビットコインを買ったりしないようにと忠告している。というのも、彼は企業に投資をすることが時間の経過とともに富を築く最良の方法だと考えているからだ。
2014年3月に行われたCNBCのインタビューでは、当時ロシアがウクライナのクリミア半島に侵攻していたが、彼は株式を売却するつもりはなく、「株価が下がれば、さらに買い足すだろう」と述べ、自身が積極的に買っていた株式が値下がりしたことを歓迎していた。そして、たとえ紛争が再び冷戦や第三次世界大戦にエスカレートしたとしても、現金化はしないと語った。
「もし、そのような事態になると言われても、私は株を買い続ける。投資というのは時間をかけて行うものだ。ひとつ確実に言えるとすれば、もし非常に大きな戦争に突入すると、現金の価値は下がるということ。私が知っているすべての戦争で、実際にそうなった。だからこそ、戦時中には現金を持たない方がいい」
バフェットは、アメリカの株式市場が第二次世界大戦中に上昇し、その後も上昇を続けていることを強調し、次のように続けた。
「アメリカのビジネスは価値が高まる。一方、ドルの価値は下がるため、買えるものが少なくなる。しかし、今後50年にわたって生産的な資産(企業、農場、不動産など)を所有すれば、ずっとよい状態になるだろう。紙切れを所有するよりもずっといい。ビットコインなら投げ捨てるかもしれない」
アメリカに賭けるべき
バフェットが初めて株を買ったのは、アメリカが第二次世界大戦による打撃で苦しんでいた1942年の春、11歳のときだったと、2018年の株主への書簡で振り返っている。
彼は115ドルの貯金でシティズサービス(Cities Service:1910年設立の総合石油会社で、1982年にオキシデンタル・ペトロリアムに買収された)の株を3株購入した。だが、その金額を手数料無料のS&P500インデックスファンドに投資し、すべての配当を再投資したとすれば、2019年には60万7000ドル、つまり5288倍の利益になっていたと試算している。
一方、パニックになって115ドルで金を買っていたとしたら、2019年時点でのその価値はわずか4200ドルにしかならなかったとも試算している。
バフェットは自身の初めての投資について振り返り、「アメリカの調子が時間の経過とともに上向きになり、そのとき抱えていた課題を克服していくということを信じているだけでよかったのだ」とバークシャーの2018年度株主総会で述べている。
「持続的な成長が見込める銘柄を選ぶ必要はない」と彼は続けた。
「勝ちどきを見極めるといったことも一切する必要はなかった。単に人生で一度きりの決断をして投資をすればよかっただけのことだ」
2020年度の総会では、アメリカの長期的な展望に対する信念について改めて語った。
「第二次世界大戦時にはすでに確信していたし、キューバのミサイル危機、9.11、金融危機の際も確信していた。アメリカは基本的に誰にも止められないと。これまでに困難な問題に直面してきたが、アメリカの奇跡、アメリカの魔法がいつでも勝っていた。そして今後もそうなるだろう」
バフェットは、南北戦争、大恐慌、COVID-19のパンデミックがアメリカの発展を妨げたことを認めつつも、アメリカは常に前進していると主張した。
「アメリカの株を買わないという判断は絶対に避けた方がいい」