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羽生九段も迎えた「保護うさぎ」とは?背景に遺棄、多頭崩壊、学校の飼育小屋…卯年に考えたいこと

うさぎ、うさぎ年

うさぎ年だからこそ考えたい「保護うさぎ」のこと。遺棄や飼育崩壊の現場でレスキューを行う団体を取材した。

GettyImage / Tanja Ivanova

ペットとして人気上昇中のうさぎ。2023年の干支でもあり、その注目度はさらに高まることが予想される一方で、飼い主の身勝手による飼育放棄や遺棄、多頭飼育崩壊、学校のうさぎ小屋問題などトラブルも多発している。こうしたうさぎたちを保護し、里親へ譲渡している団体を取材。

保護犬、保護猫に比べて知られていない「保護うさぎ」の実態を伝える。

増える「保護うさぎ」、一体なぜ?

羽生善治

羽生さん(写真左)はその後もテレビやSNSを通じ、保護うさぎについての情報発信を続けている。

REUTERS

「公園に遺棄され彷徨っていた仔ウサギ【ラムネ】ちゃん。うさぎ保護団体だるまうさぎレスキューに所属する熊本の預かりさんよりトライアルしていましたが、1月5日をもって正式に羽生家の家族になりましたのでご報告致します」

2022年1月、うさぎ好きで知られる将棋の羽生善治さんは、真っ白なうさぎを抱く自身の写真を添え、こうインスタグラムに投稿した。

羽生さんにうさぎを譲渡した「だるまうさぎレスキュー」は、さまざまな理由から飼育困難になったり、飼い主がいないうさぎを保護し、里親を探して譲渡する任意団体だ。メンバーは17人ほどで、全員がボランティア。2022年7月から「for the RABBIT」に団体名を変え、関東、東海、関西、九州などメンバーの居住地を中心に保護活動を続けている。

うさぎ、保護うさぎ

多頭飼育崩壊からレスキューしたうさぎたち。

提供:for the RABBIT

保護するうさぎの数が増える一方で、里親になる人は増えていません。里親が見つからず、私たちのもとに3年間いるうさぎさんもいます。

羽生さん夫妻のような著名な方が保護うさぎを迎えてくれたのは、その影響力を考えてもすごくポジティブな出来事でした。

うさぎを飼いたい人には、『保護うさぎ』という選択肢があることをどうか知って欲しいです」(for the RABBITメンバー)

for the RABBITがうさぎを保護する経緯は大きく分けると、羽生さん夫妻の「ラムネちゃん」のような(1)遺棄や飼育放棄などの通報(2)多頭飼育崩壊(3)学校の飼育小屋の3つだという。

ケース1:遺棄・飼育放棄

うさぎ、保護うさぎ

遺棄されたうさぎ。ペットのうさぎを捨てることは犯罪で、懲役や罰金に処せられる(環境省)。

提供:for the RABBIT

団体のホームページやSNSなどに、「○○にうさぎが捨てられています」と連絡があるのがこのケースだ。場所は住宅街、公園、山の中などさまざまで、定期的にペット関連の業者が捨てに来る場所もあるという。

一方で「引っ越すことになったが、新しいマンションがペット不可で飼えなくなった」など、飼い主の身勝手による引き取りの相談もかなりの件数にのぼる。団体ではこうした場合は自身で飼育できる環境にするよう促し、対応は断っている。

ケース2:多頭飼育崩壊

うさぎ、保護うさぎ

多頭飼育崩壊の現場。

提供:for the RABBIT

近隣住民や時には行政からもレスキューの要請が入るのが、「多頭飼育崩壊」だ。繁殖力の高いうさぎの性質を顧みず、オスとメスを分けなかったり、放し飼いにしたりした結果、爆発的に増えてしまい、100匹から最大200匹にまで至ったケースもあったという。

うさぎ、保護うさぎ

多頭飼育崩壊から保護した2日後に亡くなったイー君。治療を受けさせるも、生きられなかったうさぎは少なくない。

提供:for the RABBIT

縄張り争いで酷いケガをしているうさぎも多く(皮膚がただれ、耳はちぎれ、眼球が潰れるなど)、保護した後は病院で治療を施す。メスは妊娠していることも多い。

ケース3:学校の飼育小屋

小学校

GettyImages / recep-bg

児童が「命の大切さを学ぶ」ことを目的として小学校などで育てるうさぎたちも、劣悪な環境に置かれている。いわゆる「うさぎ小屋」「飼育小屋」だ。十分な食べ物が与えられず、しかも飼育小屋は外にあるため、豪雨台風、夏は35度超の過酷な暑さにさらされる。

夏休みなど長期の休みの間は面倒をみる人がいないため、代わりにみて欲しいという相談があったことも。

「うさぎを飼育するのに必要な知識も予算も足りていないため、虐待に近い環境になっています。学校に改善を要望していますが、そもそも学校でうさぎを飼うこと自体が動物福祉の観点からふさわしくなく、止めるべきです」(for the RABBITメンバー)

活動資金はポケットマネーも

うさぎ、保護うさぎ

多頭飼育崩壊からレスキューしたうさぎ。

提供:for the RABBIT

保護したうさぎは治療が必要なことも多いため、動物病院で必要な処置を施し、避妊・去勢手術なども行う。その後、里親を探すために団体のホームページやSNS、外部のポータルサイトなどに募集情報を掲載し、応募があれば諸々の条件をすり合わせた上で、およそ1カ月のトライアル期間を経て正式譲渡するという流れだ。

譲渡まではボランティアや、ボランティアが委託した人の自宅で保護・飼育する。日々のフードやペットシーツ代などに加え、けがの治療や避妊手術(1匹6万円弱)など、多頭飼育崩壊で数十匹を保護した場合は100万円以上かかることも珍しくない。

団体の活動費として寄付を集めているものの、それでは足りずボランティア個人が私費を投じているという。

動物病院、アレルギーは大丈夫?

うさぎ、動物病院

GettyImages / FatCamera

そもそも「保護うさぎ」が誕生するのは、人間の無知や怠慢からだ。

「ねずみ年にはハムスターを格安で“叩き売り”するペットショップもありましたが、うさぎ年の今年も同じことが起こるかもしれない。そうした業者に後押しされ、安易にうさぎをペットとして飼う人が増えることを懸念しています」(for the RABBITメンバー)

これ以上の被害を生まないため、うさぎを迎えるなら以下のことをチェックして欲しいとfor the RABBITの担当者は言う。

近くにうさぎを診察できる動物病院があるか(※犬や猫に比べて診てもらえる病院は少ない)

家族全員にアレルギーがないか(※事前に検査を。チモシー(うさぎが食べる牧草)は「イネ科」のアレルギーを引き起こすことも)

・1人暮らしや高齢の場合、近くにサポートしてくれる人がいるか。何かあった時は引き継いで飼育してもらえるか。

経済的な不安はないか(※治療手術ペット保険の金額などは事前に調べておくこと。光熱費や賃貸住宅で壁をかじった場合の補修費も)

うさぎ飼育は愛と忍耐

うさぎ

GettyImages / kyotokushige

「腸閉塞の手術と入院で15万円かかりました。暑さに弱いため冷房をつけっ放しにするので(冬は暖房も必要)、今年の夏の電気代は3万5000円ほど。マンションの壁をかじられて、退去時に40万以上の修繕費用が必要になったことも。かじらないように先回りして対策することは必要ですが、それでもやってしまうのがうさぎさん。諦めも肝心です(笑)」(for the RABBITメンバー)

うさぎの飼育に関する本を何冊かしっかり読み込み、知識をつけた上で迎えて欲しいという。for the RABBITのホームページには保護うさぎを譲渡する際の条件なども書いてあるので、参考になるだろう。

最も大事なのが、何があっても最期まで飼うということだ。

「フードや医療の進歩もあってか、10年以上生きるうさぎも珍しくなくなりました。中には15年以上生きる子もいます。歩けなくなって介護が必要になるケースも多い。

15年後の自分がどうなっているか、うさぎを飼育できるか考えた上で迎えてください」(for the RABBITメンバー)

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