自分を雇いたいと思わせることさえできれば、チャンスはある 。
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- ある調査研究によると、採用責任者たちは面接で給料について質問する人を雇わない傾向にあるという。
- 給料について質問すると仕事そのものよりも報酬を重視する人だと思わせてしまうのだという。
- 求職者の心得は辛抱すること。自分を雇いたいと思わせることさえできれば、チャンスはある。
仕事の面接で、貪欲、自分勝手、または怠慢という印象を与えたい人などいない。 だが採用責任者たちは、応募者のこうした面を、給料や手当について質問するかどうかで見抜いていると、ある研究結果は示唆している。
そこには、求職者の矛盾がある。生活のために稼ぐ必要がある、そして仕事以外の生活も大切にしたい。だが雇ってくれるかもしれない会社に対し、それをはっきりと伝えるのは、やってはいけないことなのだ。
「面接官は良く思わないだろう」とサウスカロライナ大学(University of South Carolina)ダーラ・ムーア・スクール・オブ・ビジネス(Darla Moore School of Business)の教授、アンソニー・ナイバーグ(Anthony Nyberg)はInsiderに語った。
「仕事そのものよりも報酬を気にしている人だと思わせてしまう」
求職者の心得として重要なのは、辛抱と自制だ。自分を雇いたいと思わせることさえできれば、チャンスはあると考えよう。
ナイバーグはこれを、恋愛に例えている。
「子どもは何人欲しいかという話をする前に、相手が本当に自分を好きになるのを待つべきだ」
採用担当者が求めるのは「本質的にやる気のある」人材
メリーランド大学(University of Maryland)のレリー・デルフラー・ロジン(Rellie Derfler-Rozin)とシンガポール・マネージメント大学(Singapore Management University)のマルコ・ピテサ(Marko Pitesa)による研究で明らかになったのは、採用担当者は面接で給料について質問する人を雇わない傾向にあるということだ。また、仕事に関する質問をする応募者を、対価や福利についても質問をする応募者よりも高く評価することも分かった。
サウスカロライナ大学ダーラ・ムーア・スクール・オブ・ビジネスの教授、アンソニー・ナイバーグ。
Academy of Management
研究者らはこれを「モチベーションの純度バイアス」であるとしている。つまり、採用責任者は本質的に仕事そのものに対してやる気のある人だけを雇いたいということだ。もちろん、この考えは浅はかだ。仕事以外の報酬、例えば給料や柔軟性、休日などの福利について、気にならない労働者などほとんどいないからだ。
ナイバーグによると、休暇制度について質問する人は特に低く評価されるという。「まるで『働きたくない』と言いながら面接会場に入っているようなものだ」と。
ただ、給料について質問するというだけで優秀な候補者を逃してしまうような管理者には、広範囲にわたる影響がある。特に、よりお金を必要としている経済的に苦しい求職者や、柔軟なスケジュール、育児休暇や家族休暇を気にする傾向にある女性求職者を見逃す可能性がある。
賃金の透明性に関する法律で、この不安は軽減されるかもしれない。すでに、ニューヨーク州、ネバダ州、コロラド州、コネチカット州には、組織にあらかじめ賃金の範囲を公表することを義務付ける法律がある。カリフォルニア州でも同様の法律が施行される予定だ。
だがブルームバーグのレポートは、こうした法律には効果がないことを示唆している。故意に低賃金を載せる雇用者もいるからだ。同紙の調査によると、雇用主の中には、賃金の上昇を抑えるため、また既存の従業員に低賃金であることを気づかせないために、人為的に低い賃金帯を設定しているところがあるという。
辛抱がお金につながる
しかし、求職者にとって、会社が支払う額が適正かどうか、自分自身でできるだけ評価する必要があることは明らかだ。
ニューヨークで転職コーチをしているエリン・アンデルセン(Erin Andersen)が勧めるのは、サラリードットコム(Salary.com)やペイスケール(Payscale)といったリソースだ。職種や勤務地、学歴や経験年数などから、給料の範囲を知ることができる。「そこには多くの情報がある」とアンデルセンは述べた。
給料についての質問は、有力候補になるまで待つのが賢明だ。戦略的な観点から言えば、会社にはその職の候補者に対して最大限の投資をしてもらいたいとあなたは考えるだろう。
それならば、オファーが来るまでチャンスを待つ必要がある。「会社がその話を持ち出すのを待つことに、リスクはほとんどない」とナイバーグは述べた。
「9万ドル(約1200万円)の仕事だと思っていたのに、それが2万5000ドル(約330万円)だったらどうしようと人は恐れるが、そんなことは実際には起こらない」