Danny Johnston / AP Images
- ウォルマートのダグ・マクミロン(Doug McMillon)CEOは、アーカンソー州でトラックの荷下ろしから同社でのキャリアをスタートさせた。
- マクミロンはアメリカで最も「覚醒した」CEOの一人と呼ばれている。
- マクミロンは、公共政策を通じてビジネスを促進する非営利団体ビジネス・ラウンドテーブルの会長を務めていた。
カール・ダグラス・マクミロン(Carl Douglas McMillon)は1966年、テネシー州メンフィスで生まれた。彼が16歳のとき、マクミロン一家は「ウォルマート(Walmart)発祥の地」であるアーカンソー州ベントンビルに転居した。夏の間、マクミロンはウォルマートの配送センターでトラックの荷降ろしの仕事をしていたという
ウォルマート発祥の地、アーカンソー州ベントンビル。
Gilles Mingasson /Getty Images
地元の公立高校を卒業したマクミロンはアーカンソー大学(University of Arkansas)へ入学し、1989年に経営学の学士号を取得して卒業した。彼のインスタグラムのプロフィールには、「夫。父親。野ブタ。ガジェットオタク。小売りに一生をささげる。ウォルマートの仲間としての誇り」と記されている。ちなみに「野ブタ(Razorback)」は、アーカンソー大学のマスコット「ビッグレッド(Big Red)」と呼ばれる赤い野ブタにちなんでいる
ダグ・マクミロンのアーカンソー大学の1989年の卒業アルバムの写真。赤枠で囲まれているのがマクミロン。
University of Arkansas Libraries Special Collections
その翌年、マクミロンはオクラホマ州のタルサ大学(University of Tulsa)のMBAプログラムに入学。学業を終えた後、彼は地元のウォルマートのスポーツ部門でバイヤーの研修生として働き始めた。その後、マクミロンは故郷のアーカンソー州にあるウォルマート本社に移った
Reuters/Ray Stubblebine
Source: Fortune
週刊経済雑誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク(Bloomberg Businessweek)」によると、マクミロンは食品、アパレル、家庭用品、ベビーフードなどさまざまな分野で働いてきた。ウォルマートのホールセール、サムズクラブ(Sam's Club)で商品部長を務めた後、ウォルマートのシニアバイスプレジデントに昇進し、玩具、電子機器、スポーツ用品部門を取りまとめていた。
AP
Source: Bloomberg Businessweek
2006年、マクミロンはサムズクラブのCEOとして、同社で初めて真に注目される仕事を得た。ウォール・ストリート・ジャーナル(The Wall Street Journal)によると、そこで彼は中小企業の経営者にフォーカスすることで名声を得た
Scott Olson/Getty Images
Source: The Wall Street Journal
マクミロンのもとでウォルマートは「エブリデー・ロープライス」という標語を世界中に広げた。これは彼が2014年にCEOに昇格するきっかけとなった戦略のひとつだ
AP Photo/Julio Cortez
マクミロンはCEOとして、そのリーダーシップを発揮し、小売業だけにとどまらず、社会問題にも積極的な影響を与えることを目指している。また彼は国内で最も「覚醒した」CEOの一人と呼ばれており、 ブランズウィック・グループ (Brunswick Group)の「Connected Leaders Survey」で「最も一貫性のあるCEO」に選ばれている
Gareth Patterson / AP Images
2019年、ウォルマートは電子たばこによる肺損傷で530人が入院、8人が死亡したことを受けて、電子タバコの販売を停止すると発表した。同じ年、テキサス州エルパソとミシシッピ州サウスヘブンのウォルマート店舗で起きた2件の死傷事件を受け、同社は銃と弾薬の販売を制限することも発表した
CNBCの番組でインタビューに応えるマクミロンCEO。.
CNBC Contributor/ Getty Images
2019年、マクミロンは公共政策を通じてビジネスを促進する非営利団体「ビジネス・ラウンドテーブル(Business Roundtable)」の会長に就任した。現在は同団体の理事を務めている
「自動化と人工知能時代の働き方の未来」がテーマのビジネス・ラウンドテーブルに参加するダグ・マクミロン。「CEOイノベーションサミット2018(2018 CEO Innovation Summit)」にて。
Mark Wilson/ Getty Images
ジョージ・フロイド(George Floyd)事件の後、マクミロンは人種的暴力を非難し、ウォルマートが人種的平等を進めるために資金提供を行うことを約束した。同社は、16の異なる非営利団体に合計1400万ドル(約18億6000万円)を寄付し、体系的な人種差別と闘うために5年間で1億ドル(約172億円)を寄付する目標を設定した
Mark Lennihan/AP Images
新型コロナウイルスのパンデミック下でも、ウォルマートは低所得層の買い物客に必需品を提供し、国中の予防接種活動の強化を支援した。マクミロンは2021年2月、ウォルマートの販売データを参照し、各家庭は食料品などの生活必需品の購入に、より多くの資金を必要としているとして議会に再度の景気刺激策の可決を促した
新型コロナウイルスについて話すウォルマートのダグ・マクミロンCEO。2020年4月27日ワシントンのホワイトハウスのローズガーデンにて。
AP Photo/Alex Brandon
2020年にはマクミロンは会員制プログラム「ウォルマートプラス(Walmart+)」、広告事業「ウォルマート・コネクト(Walmart Connect)」、エクスプレス配送、サムズクラブでのカーブサイド・ピックアップ(利用者がネットで注文した商品を指定の店舗駐車場で店のスタッフから受け取るサービス。利用者は車から降りる必要なく、注文品はスタッフがトランクに積んでくれるサービス)も開始している
カーブサイド・ピックアップのサービス中のサムズクラブの従業員。
Courtesy of Sam's Club
マクミロンの2022年度の報酬総額は2570万ドル(約34億円)。彼と妻のシェリー・マクミロン(Shelley McMillon)は慈善家であり、さまざまな団体に数百万ドルを寄付している
シェリー・マクミロンとダグ・マクミロン。2022年7月7日、アイダホ州サンバレーで開催された「サンバレー会議」で。
Brendan McDermid/REUTERS
マクミロンは2022年5月の決算発表後の電話会見で 「私は2022年の初めよりも楽観的になっている。アメリカでは、景気刺激策が明らかに影響を及ぼしている」と述べた。マクミロンの楽観論は数字でも裏付けられており、2022年度の収益は一桁台後半で増加すると予想されている
Drew Angerer/Getty Images
Source: Reuters
しかし、2022年は、マクミロンとウォルマートに試練を与えた。eコマースの成長が鈍化し、サプライチェーンやインフレの問題で過剰在庫が発生したのだ。2022年の第2四半期以降、同社の在庫は前年同期比32%増と報告されている
ルイジアナ州ニューオーリンズのアーネスト・N・モリアル・コンベンションセンターで開催された「2017エッセンス・フェスティバル(ESSENCE Festival)」に登壇したダグ・マクミロン。
Paras Griffin/Getty Images for 2017 ESSENCE Festival
さらに2022年11月、マクミロンは悲劇の中でウォルマートを導かなければならなかった。バージニア州チェサピークにあるウォルマート店舗で、男性マネージャーが従業員6人を射殺し、その後、自殺を図ったのだ
チェサピークにあるウォルマート銃乱射事件の現場で追悼する人。
Mike Caudill/for The Washington Post via Getty Images
2022年の終わりを迎え、マクミロンは「インフレはより管理しやすくなっているが、当社で平均以上の数の盗難が起これば、店舗の閉鎖や値上げにつながる可能性がある」と述べている
YouTube screenshot