Justin Farris
- マイク・フィッツジェラルドさんは2年以上をかけてツリーハウスを完成させた。完成までには少なくとも60万ドル(約8000万円)かかったという。
- ツリーハウスは4本の木に支えられていて、別の木の上に作ったパティオとは吊り橋でつながっている。
- フィッツジェラルドさんはこの物件を125万ドルで売りに出し、売れるまではAirbnbで貸し出していた。物件は1月6日に売れた。
子どもの頃は木に登ったり、秘密基地を作ったり、家の外で過ごすことが多かったマイク・フィッツジェラルドさんは、いつかツリーハウスを作ってみたいと夢見ていた —— 60歳を前に挑戦することにした
ツリーハウス。
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「今の子どもたちが遊んでいるようなかっこいいテレビゲームは、わたしたちの時代にはありませんでした」とフィッツジェラルドさんはInsiderに語った。
「外で遊んでいました。そして、いつか外に何か自分で建ててみたいと夢見ていました」
タイル業界で働くフィッツジェラルドさんにとって、それはリタイア後も忙しく過ごすための計画でもある。
地元のツリーハウスの専門家でNatural State Treehousesのジョッシュ・ハートさんに相談すると、フィッツジェラルドさんの敷地にある木は十分な強度がないと指摘された。いい木がないか付近を探していると、近所で見つけることができた —— しかも売りに出ていた。
「その時は物件のことは全く考えていなくて、『この4本の木はどう?』とだけ言いました」
この4本の木 —— オークとヒッコリーの木だった —— はフィッツジェラルドさんが思い描いていたデザインにぴったりで、すぐに土地の購入を決めた。価格は3万ドルだった。
木だけで支えるツリーハウスを作りたかったフィッツジェラルドさんは、まずは木の健康チェックを専門家に依頼
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全ての枝、根、幹はきちんとチェックを受けなければならなかったと、フィッツジェラルドさんは語った。
「木が頼りです。ツリーハウスを支えるのは木ですから」
フィッツジェラルドさんはアニマルプラネットのリアリティ番組『仰天! 夢のツリーハウス』にも出演しているNelson Treehouse and Supplyのチームにもアドバイスを求めた。
「どのくらいの高さに作るつもりか、伝えなければなりませんでした。木の根元からツリーハウスがどのくらいの高さになるのか計測して、全ての結果を彼らに送らなければならなかったんです」とフィッツジェラルドさんは付け加えた。
4本の木に支えられたツリーハウスは、吊り橋で別の木の上に作ったパティオとつながっている —— 約9メートルのこの吊り橋を作るのが大変だったとフィッツジェラルドさんは話している
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最終的な吊り橋のデザインは『仰天! 夢のツリーハウス』に登場する橋を参考にしつつ考えたという。
「橋を渡るとつきあたりに大きなハンモックがあって、寝そべることができます。地上からの高さは4.5メートルほどです」とフィッツジェラルドさんは話している。
棚やバスルームを含め、ツリーハウスの中はフィッツジェラルドさんがほとんど自分で作った
リビング。
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ツリーハウスはロフト形式のデザインになっている。リビングは下の階にあって、可動式のはしごを使って上の寝室へ上がることができる。
ツリーハウスに使われている木の大半は地元で調達したもので、タイルの大半は手作りだとフィッツジェラルドさんは語った。
中でもツリーハウスの床は作るのが大変で、「文字通り何千という再生木材を切って、床に敷かなければなりませんでした」とフィッツジェラルドさんは当時を振り返った。
ツリーハウスの完成までに2年4カ月かかった —— 2019年12月に作業を始め、完成したのは2022年4月だった
ロフト。
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「機材を上げる時は木に十分注意しなければならなかったので、まずはツリーハウスに着手しました。根を痛めたくないですからね」とフィッツジェラルドさんは語った。
ツリーハウスを建てるのに1年以上かかり、母屋を完成させるのにもう1年かかったという。
「ツリーハウスの屋根を乗せるのが大変だったことはよく覚えています。高さが9メートル以上あったので、上にあがるのが皆ものすごく怖かったんです。そのせいでツリーハウスに屋根をふくまでに、さらに2、3カ月かかりました」
屋外キッチンとダイニングが母屋の中では特に自慢だとフィッツジェラルドさんは話している
母屋の屋外キッチンとダイニング。
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「大きな一枚板が手に入ったので、かっこいいアウトドアテーブルにしました。皆、ここに座るのが大好きです。コンロや暖炉もあります」とフィッツジェラルドさんは語った。
ツリーハウス同様、母屋も2階建てになっている —— らせん階段はリビングやその上のロフトへとつながっている
母屋のリビング。
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母屋の棚の一部は、トラックの荷台を再生し作られている。フィッツジェラルドさんは古い荷馬車に使われていた木材も再利用し、コーヒーテーブルに生まれ変わらせている。
振り返ると、ツリーハウスを建てるのが思ったよりもかなり大変で、時間がかかったという
ツリーハウスと母屋の床面積は延べ80平方メートルほどで、それぞれにキッチン、バスルーム、寝室がある。
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「6~8カ月でできると思っていましたが、2年かかりました」とフィッツジェラルドさんは語った。
「木を保護するためにいろいろなことをやったのが恐らく、全ての進捗を遅らせたんだと思います」
ツリーハウスの規模もフィッツジェラルドさんにとってだけでなく、地元の建設業者やフィッツジェラルドさんが相談したツリーハウスの専門家にとっても新しかったという。
「このプロジェクトに関わった全員にとって、こんなプロジェクトは初めてだったんだと思います」
ツリーハウスは建て始めた頃から人々の注目の的だとフィッツジェラルドさんは話している
バスルーム。
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「木の上に梁をかけ始めた日から、たくさんの人たちが見に来たり、写真を撮るために車を止めたりしていました」とフィッツジェラルドさんは語った。
ここは地元の自転車用道路には近いものの、閑静な場所だという。
「完成記念パーティを開いて、近所の人たちを大勢招待しました。皆、(完成したツリーハウスを)見るのをとても楽しみにしてくれていました。おかげで本当に誇らしい気持ちになりました」
私道とプールの周りの石はオクラホマ州から取り寄せたもので、重くて運ぶのが大変だったとフィッツジェラルドさんは話している
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「あちらへ出向いて、全ての石をパレットに積み、それをトラックの荷台に乗せてこちらまで運んでこなければなりませんでした」とフィッツジェラルドさんは語った。
車で3~4時間の道のりを何度も往復しなければならなかったという。
「石は8万トンくらいあったと思います」
費用はすぐにかさんでしまうので、これから自分でツリーハウスや家を建てたいと考えている人は、全てのコストを記録しておくようフィッツジェラルドさんはアドバイスしている —— ただ、資材は良質なものを選んだ方がいい
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「(プロジェクトを)スタートさせた頃は、どのくらいの費用がかかるか全く分かっていなかったんです」とフィッツジェラルドさんは当時を振り返った。
木にダメージを与えることなく、生きている木の上にツリーハウスを建てるには、結果的にお金がかかったという。フィッツジェラルドさんは資材にも妥協しなかったので、初期費用は高くついたものの、将来的な修繕費の節約になったと考えている。
「長持ちする資材を使って建てようと決めていました。ツリーハウスの外側も、ウッドデッキにもレッドウッドを使っています。腐りにくく、虫にも強い木なんです」
ツリーハウス全体の建設には60~70万ドルかかったと、フィッツジェラルドさんは話している。
フィッツジェラルドさんはこの物件を125万ドルで売りに出し、新しいオーナーが見つかるまではAirbnbで貸し出していた
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Realtor.comのデータによると、アーカンソー州ベントンビルの住宅価格の平均は48万5000ドルだ。この地域では現在、615件の一戸建て住宅が売りに出されていて、その価格は18万~1160万ドルだ。このツリーハウスは125万ドルなので、価格帯としては中価格帯だ。
「完成後2、3年経ったら売るつもりでいました」
「タイル張り職人の自分にはそれほど金銭的な余裕はありません。持っている貯金をこのプロジェクトにつぎ込んだんです」
ツリーハウスが売れるまで、フィッツジェラルドさんは1泊486ドルでこのツリーハウスをAirbnbで貸し出していた。その後、物件は1月6日に売れた。