新しい年、新しいあなたになろう。
AP Photo/Julia Nikhinson
- ここしばらく厳しい情勢が続いており、多くの人が仕事への意欲を失っているようだ。
- しかし、無気力にやり過ごすことは簡単かもしれないが、それは心の健康やキャリアの構築にとっていいことではない。
- 新年という新たなスタートをきっかけに、やる気が出るようなアイデアを紹介する。
新年に目標を立て、新たな気持ちで仕事に取り組むためのモチベーションにしようという人は多い。だが最近は厳しい情勢が続いており、挑戦する意欲が湧かないということもあるだろう。
ギャラップ(Gallup)の2022年版「State of the Global Workplace report(世界の労働環境の現状)」によると、調査対象者の60%が心理的に職場から切り離されていると感じると回答し、19%が悲惨だと回答した。そのような状態を、無気力にやり過ごすことは簡単かもしれないが、それは心の健康やキャリアの構築にとっていいことではない。
仕事や日々のルーチンに変化を加えることは、ほんの少しの変化だとしても価値がある場合が多いと研究によって示されている。そしてそれこそが、仕事の調子を取り戻す上で必要なことなのかもしれない。
今年の仕事へのモチベーションを高めるために、これまでのInsiderの記事から厳選したヒントやコツ、戦略について紹介する。
チャレンジに向けた準備
目標を達成するにあたって避けられない問題にどう対処するかを見越しておくことは、非常に重要だ。
ニューヨーク大学とハンブルク大学の心理学教授であるガブリエル・エッティンゲン(Gabriele Oettingen)は、これをWish(願い)、Outcome(結果)、Obstacle(障害)、Plan(計画)の頭文字を取って「WOOPing」と呼んでいる。
『Rethinking Positive Thinking: Inside the New Science of Motivation(邦題:成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則)』の著者であるエッティンゲンは、ニューヨークタイムズのオピニオンコラムでこのプロセスについて次のように説明している。
「まず願い事を思い浮かべる。数分間、その願いが叶うことを想像しながら心を自由に漂わせる。次に、ギアを入れ替え、願いの実現を阻むものを想像し、さらに数分間過ごしてみる」
例えば、昇進を願い出るつもりなら、仕事の資質について上司が尋ねてくるであろう質問を想定し、それにどう答えるか考えるといったことだ。
これは「ポジティブ思考と『現実主義』を組み合わせたハイブリッドなアプローチ」だとエッティンゲンは記している。
アドバイスをする側になる
スランプから抜け出す方法として、同じような問題で悩んでいる人にアドバイスをするということが挙げられる。自分でも完全に解決していないと感じていることについてアドバイスをするというのは、奇妙に思えるかもしれないが、そうすることで意識が行動に向かい、自信を与えてくれるということが、研究によって示されている。
シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネスの行動科学教授で、『Get It Done: Get It Done: Surprising Lessons From the Science of Motivation』の著者であるアイレット・フィッシュバック(Ayelet Fishbach)が行った調査によると、ミドルスクールの生徒を対象に、やる気を起こさせるアドバイスを後輩に与えたグループと、そのようなアドバイスを教師から受けたグループに分けて比較したところ、アドバイスを受けた生徒よりも与えた生徒の方が、翌月により多くの時間を宿題に費やしていた。
フィッシュバックは、この現象をさまざまな領域で再現した。すると問題を抱えながらもアドバイスを与えた人は、お金を節約したり、怒りを抑えたり、ダイエットをしたり、新しい仕事を探したりと、より意欲的に行動するようになったという。
「(アドバイスを与えるように言われたときの)最初のリアクションは、『なぜ私が?』ということだろう」とフィッシュバックはInsiderに語っている。
「しかし、目標を達成する方法について何を学んだか、あるいは学んでいないのか、記憶を探ってみると、自分がすでに多くを知っていることに気が付くだろう」
優先すべきことを毎日1つだけ設定する
自分がどれだけのことをできるのか、ごまかさずに考えよう。
どんな日でも、やるべきことは山ほどあるだろう。そのすべてをこなそうとすると、結局はどれにも手が回らなくなってしまう。
ジェイク・ナップ(Jake Knapp)とジョン・ゼラツキー(John Zeratsky)は、共著『Make Time: How to Focus on What Matters Every Day(邦題:時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」)』の中で、1日を始めるにあたって、その後の24時間で達成したい最も重要なこと、つまり「ハイライト」は何なのか、きちんと見定めることを勧めている。例えば複雑な予算のスプレッドシートを修正するだとか、セールスを成立させるために必要な最後の電話をかけるといったことだ。ナップとゼラツキーはグーグル(Google)で「デザインスプリント・プロセス」の立ち上げに携わった経験があり、時間管理について熟知している。
「最も緊急を要することではなく、最も意味のあることは何か考えよう」と彼らは記している。そして「最も努力や作業が必要なものは何かを考えよう」と付け加えた。
つまり、自分がこなせる仕事量を現実的に把握し、今最も重要な関係性やプロジェクトから気をそらすようなものを最小限に抑えるという考え方だ。