新しい研究によると、甘い飲み物をよく飲む男性は抜け毛のリスクが高くなる可能性があるという。
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- 加糖飲料を飲むことと男性の抜け毛との間に関連性があることを示唆する新たな研究結果が発表された。
- この研究のデータによると、1日1回以上甘味飲料を飲む男性は抜け毛のリスクが高いという結果が出ている。
- 砂糖の過剰摂取はインスリン抵抗性を引き起こし、長期的に髪や健康全般に害を及ぼす可能性がある。
抜け毛になる人は近年増加傾向にあるが、糖分の多い飲み物を摂りすぎることとの関連を示唆する研究が、2023年1月1日発行の食品科学、栄養学分野の学術誌「Nutrients」で発表された。
中国・北京にある清華大学の研究者らは、2022年1月から4月にかけて、18歳から45歳の中国人男性1000人以上のデータを調査し、自己申告による生活習慣と抜け毛を比較した。
その結果、炭酸飲料、ジュース、エナジードリンク、スポーツドリンク、加糖コーヒーや紅茶などの砂糖入り飲料を毎日1回(1週間で合計1リットルから3リットル)飲む習慣のある男性は、抜け毛になる人が約30%多いことが分かった。
また、甘味飲料を1日に1回以上、1週間で1ガロン(約3.785リットル)近く、またはそれ以上飲むと報告した男性は、砂糖入りの飲料をまったく飲まない男性と比較して抜け毛のリスクが42%高いことが分かった。
また、研究に参加者した大半の男性が毎日の食事で砂糖を含む飲料を飲んでおり、ほぼ半数が1日に1回以上甘い飲み物を飲んでいることがわかった。しかし、抜け毛を報告していない男性は甘い飲料を週に7回飲むのに対し、抜け毛を報告している男性は平均して週に約12回と、多く飲む傾向があった。
この研究の欠点は、飲料の習慣だけが抜け毛になる要因ではなく、それ以外の食生活や全体的な健康状態、さらにはストレスやメンタルヘルスの既往歴などの要因が関与している可能性があることだ。例えば、抜け毛のある男性は揚げ物の摂取量が多く、野菜の摂取量が少ないことも報告されている。また病気や心配事、あるいはPTSDの既往歴があると抜け毛のリスクが高くなることも明らかになっている。
今のところ、砂糖入り飲料と脱毛の関連は因果関係ではなく相関関係にあり、より多く飲むことが抜け毛のリスクを直接的に高めるかどうかについてはさらなる研究が必要だとしている。
しかし、加糖飲料を多く飲んでいる若者は健康上のリスクを認識していない可能性があるため、よりよい情報に基づく意思決定をすることに役立つだろうと研究者は書いている。
砂糖の摂り過ぎは高血糖などの健康リスクをもたらす
これまでの研究では、炭酸飲料やその他の甘味飲料は過剰に摂取すると健康に害を及ぼす可能性があり、毎日炭酸飲料を飲むことは肝臓がんなどの病気に関連することが示唆されている。
砂糖が問題になる理由のひとつは砂糖を大量に摂取すると血糖値が上昇することだ。特に炭酸飲料のように吸収が速く、他に消化を遅らせる栄養素を同時に摂取することがない場合はなおさらだ。
砂糖の摂りすぎで血糖値が上がると、血糖値を調節するホルモンであるインスリンに対する体の感受性が鈍くなる可能性がある。インスリン抵抗性として知られる状態、つまりインスリンに対して体の反応が鈍くなる状態になってしまうと、2型糖尿病やメタボリックシンドロームなど他の健康問題を引き起こす可能性があるのだ。
また、インスリン抵抗性が脱け毛と関連する可能性があると示す証拠もある。
ひとつの食べ物や飲み物だけが健康(または髪の毛)を作ったり壊したりする可能性はないが、栄養学者や糖尿病の専門家らは、甘いもの(およびその他の単純な炭水化物)は適度に摂取して、タンパク質や食物繊維を組み合わせて血糖値のバランスを摂ることを推奨している。