人員削減を発表したセールスフォースのマーク・ベニオフCEO。
Salesforce
セールスフォース(Salesforce)は1月4日、全従業員の10%にあたる約7000人の人員削減を行うと発表した。Insiderが閲覧したセールスフォース社内のSlack投稿メッセージからは、このレイオフの計画に不意打ちを食らった格好の幹部もいたことがうかがえる。
あるメッセージでは、解雇された従業員からレイオフのことを聞き及んだという管理職のことが書かれていた。
「管理職たちは、自分たちの従業員が影響を受けていることに気づいていません。彼らはチームメンバーから、自分たちが影響を受けているというメールやメモを受け取っています。これはもともと管理職に知らせないという戦略だったのですか、それとも単なる見過ごしだったのですか?」
と、ある上級管理職が全社用Slackチャンネルで質問している。
Insiderが閲覧した他の4つのSlackのやりとりは、シニアマネジャーからバイスプレジデントレベルの管理職が送信したものだ。管理職たちは直属の部下に対して、共有すべき追加情報はなく、部下と同じタイミングでレイオフを知ったことを伝えている。
「彼らは何も知らず、混乱しています」と、あるセールスフォースの社員は管理職たちについて語る。
内部関係者によると、セールスフォースは今週、最初の人員削減で従業員約1000人を解雇した。1月4日に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類の中では、リストラ計画の一環として従業員10%を削減し、一部のオフィスを閉鎖すると述べている。
セールスフォースは2022年度の従業員数を7万3461人と報告していることから、およそ7000人が解雇される可能性がある。セールスフォースの従業員の約55%はアメリカで勤務している。
マーク・ベニオフ(Marc Benioff)CEOは、太平洋標準時の午前3時に従業員に人員削減に関するメールを送信した。その中でベニオフは、新型コロナウイルスのパンデミック下での高成長期における過剰な採用が、現在の後退しつつある経済状況を考慮すると結果的に持続可能ではなかったことが今回の決断の要因であるとした。
「環境は依然として厳しく、顧客は購入決定に慎重になっています。これを念頭に置いて、今後数週間を中心に約10%の人員を削減するという非常に難しい決断を下しました」
ベニオフはそう記し、削減の「最初の影響を受ける」従業員には、この発表から1時間以内に解雇通知のメールを送ると言及した。
セールスフォースの内部関係者によると、これまでの人員削減は、同社が2018年に65億ドル(当時のレートで約6800億円)で買収したデータ統合プラットフォーム「Mulesoft(ミュールソフト)」のカスタマーサクセス職や、採用およびプロダクトマネジメント職、2021年に277億ドル(当時のレートで約2兆9000億円)で買収した「Slack(スラック)」などが対象だったという。
セールスフォースは2022年11月に数百人の営業職を削減しているが、それよりも大幅なレイオフが実施されるのではないかという懸念が、ここ何週間かセールスフォース社内で広がっていた。Insiderは2022年12月、セールスフォースの一部の管理職が、業績が下位10%の者を特定するよう求められていると報じた。
2022年12月にはそれ以外でも波乱があった。ベニオフの後継者候補と目されていた共同CEOのブレット・テイラー(Bret Taylor)をはじめ、経営幹部が流出したのだ。セールスフォースの傘下にあるSlackのスチュワート・バターフィールド(Stewart Butterfield)CEO、Tableau(タブロー)のマーク・ネルソン(Mark Nelson)CEOも、テイラーの退任発表から間もなく退社を発表している。
Insiderではセールスフォースにコメントを求めたが、回答は得られていない。