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内戦のリスクを下げるには「ソーシャルメディアを規制すること」 —— 政治暴力の専門家が警鐘

右派系デモ

右派系デモ「ユナイト・ザ・ライト・ラリー」(2017年8月12日、バージニア州シャーロッツビル)。

(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

  • 政治学者のバーバラ・ウォルター(Barbara Walter)氏は、野放し状態のソーシャルメディアが内戦の脅威を高めていると語った。
  • 「ソーシャルメディアには人々が好きなことを書き込めばいい」とウォルター氏は話した。
  • 「ただし、テック企業に一番過激な材料を人々に手渡すことを許してはいけない」とウォルター氏は付け加えた。

自由民主主義においては間違った意見、醜悪な意見、時に悪意ある意見を声にすることが認められている —— 実際、そうした主張をする人も少なくない。だからといって、自らの利益のためにそうした主張を利用する権利は企業にはないし、企業はその過程で社会を分断させ、法の支配にダメージを与えていると、著名な政治学者は話している。

2022年の著書『How Civil Wars Start: And How to Stop Them』の中で、カリフォルニア大学サンディエゴ校の教授バーバラ・ウォルター氏は、現代のソーシャルメディアを「民族起業家(ethnic entrepreneur)」 —— 人口動態や政治的な変化に直面し、自分たちの権力が失われていくことを恐れる支配的な集団の不満や怒りをかき立てる人々 —— にとっての"恵み"だと表現した。

ニューヨークにあるユダヤ系コミュニティセンター「The 92nd Street Y」が放送したジャーナリストのファライ・チデヤ(Farai Chideya)氏によるインタビューで、ウォルター氏はアメリカでは一般的に、憲法修正第1条によって憎悪に満ちた発言も保護されていると語った。ただ、テック企業はデジタルの公共の場においてシンプルで中立的な管理者として行動しているわけではないと指摘した。

ウォルター氏はソーシャルメディアがユーザーにコンテンツを「おすすめ」したり、より長時間ユーザーを関わらせようとすること、煽情的なコメントを増幅させる役割を担っていることに異論を唱えた。

ウォルター氏は自らの著書や2021年のインタビューで「人は自分たちの感情が引き出されるような情報を『好む』傾向がある。怒りを感じたり、憤慨したり、反感を抱くような情報だ。そして、レコメンデーションエンジンはそうした材料をもっと"おすすめ"するだけでなく、より過激な材料を薦めている」と指摘している。

こうした状況に対処することが必要だと同氏は言う。

「『内戦のリスクを下げるために、アメリカにできる一番簡単なことは何か? 』とよく聞かれるが、わたしの答えは変わらない。ソーシャルメディアを規制することだ」

アメリカでは、2年前に比べてやや民主主義が強くなっているとウォルター氏は言う —— それは何らかの制度が強くなったわけではなく、ホワイトハウスの住人が民主的な選挙の結果を無視する人間でないからだ。ただ、「(トランプ前大統領)のような人物が再び選ばれれば、容易に後戻りする」とウォルター氏は話している。

トランプ前大統領はメキシコ移民の排斥を扇動したり、前任のオバマ元大統領の出生証明書の閲覧を要求するなど、権力を得るためだけでなく、失いかけた権力を保持するためにもソーシャルメディアを利用したことは有名だ。そして、ロシアのプーチン大統領も情報機関や国営メディアを通じて、自らの反民主主義的な政策を実行するためにソーシャルメディアを利用している。

「プーチンがフランスやドイツ、イギリス、アメリカを何とかして弱体化させたいと考えるなら、ソーシャルメディアを通じた裏技を使う以外に方法はない」とウォルター氏は指摘した。

「ソーシャルメディアが規制されない限り、プーチンは容易にこうした国々を分断させたり、こうした国々の民主主義への支持を弱めようとすることができる」

「また、民族的な派閥争い、憎悪犯罪、政治的暴力の増加は全て、主要な情報源としてのインターネットやソーシャルメディアの台頭だけでなく、大手テック企業が開発したアルゴリズムと連動していることも分かっている」

ただ、解決策は検閲ではないと、ウォルター氏は言う。

「ソーシャルメディアには人々が好きなことを書き込めばいい。ただし、人々をできるだけ長時間端末に引き留めておくために、テック企業に一番過激な材料を人々に手渡すことを許してはいけない」

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