アメリカの調査会社・IDCによると、インフレや景気悪化により2023年は全世界的にPC市場の縮小が予想されている。
そんな中、PC出荷台数ベースでシェア1位のレノボ(2022年9月時点)は、どのような新製品で2023年を迎えるのか。
レノボが1月5日(現地時間)に、アメリカ・ラスベガスで開催中のテクノロジーイベント「CES2023」で発表した製品のうち、3つの特徴的な新製品を紹介しよう。
外出先でデュアルディスプレイが使える「Yoga Book 9i」
2つの有機ELディスプレーを備える「Yoga Book 9i」。
出典:レノボ
同社のタブレットもしく2in1 PC製品のうち、少し特殊な立ち位置にあるのが「Yoga Book」シリーズだ。
初代は2016年にペンタブにもなるキーボードを備えて登場。実質第2世代に当たる「Yoga Book C930」は2018年にキーボードにもなる電子ペーパーのサブディスプレイを装備して登場した(いずれも日本での展開時期)。
そして、最新版の「Yoga Book 9i」は、13.3インチの有機ELディスプレイを2基備えている。
今までのYoga Bookシリーズ同様、本体をノートPC風に立てれば、一方の画面はサブディスプレイにも液晶タブレットのようにもなる。
Yoga Book 9iを閉じた時。
出典:レノボ
また、付属するBluetoothキーボードと「Folio Stand」を使えば、横長の画面を縦方向に2つ並べることも可能なので、外出先でもマルチディスプレイ作業環境を構築できる。
重量が1.38kg、ワイヤレス利用時のバッテリー駆動時間が最大7.3時間(MobileMark 2018で計測)という点は、携帯端末としてはやや気になるところではある。
価格は2099.99ドル(約28万円)からで、2023年6月から発売予定(日本での展開は未定)。
iPad Pro+αな使い勝手な「Lenovo Tab Extreme」
Lenovo Tab Extremeにキーボードのアクセサリーを装着したところ。
出典:レノボ
Yoga Book 9iに対して、見た目は割と一般的なタブレットに見えるのが「Lenovo Tab Extream」だ。
ディスプレイは14.5インチ3000×1876ドット解像度の有機ELで、OSにAndroid 13、チップセットはMediaTek製の「Dimensity 9000」を採用している。
かなり大型な画面を搭載したタブレットになるが、特徴的なのはアクセサリー群だ。
背面に磁石でくっつく「dual-mode stand」は、タブレットを縦横どちらの方向でも自立させられる。
Lenovo Tab Extremeのスタンド。
出典:レノボ
さらに、dual-mode standを付けたまま「dual-hinge keyboard」にくっつければ、タブレットはノートPCのような見た目と使い勝手に早変わりする(タブレットが浮いて見えるので、見た目はiPad ProやAir向けのMagic Keyboardに似ている)。
さらに別のアクセサリー「Folio Case」は、筆圧の検知が可能な専用のペンを収納する仕組みを備えるなど、タブレットの使い勝手を追求したつくりになっている。
なお、価格と発売日、付属するアクセサリー等は未定となっている。
Thinkシリーズ初のスマートフォン「ThinkPhone」
ThinkPad登場から30周年の節目に登場した「ThinkPhone by Motorola」。
出典:レノボ
シカゴに開発拠点を置く老舗スマートフォンメーカー・モトローラは、2014年にレノボに買収されている。
その後、レノボは日本を含めてさまざまな地域別にモトローラとそれ以外のブランドでスマートフォンを展開している。
そんな中、同社が2004年にIBMから買収した「ThinkPad」シリーズのThinkという名を冠したスマートフォンが、モトローラの開発のもとで発表された。
新製品の名前はそのまま「ThinkPhone」だが、その売りはビジネスユースを意識した独自のセキュリティー機能にある。
また、2022年12月に発表された「ThinkPad X1 Carbon Gen 11」をはじめとするThinkPadとも連携。
ThinkPadとThinkPhone間でクリップボードを共有したり、ファイルのドラッグ&ドロップをしたり、さらにテザリングをThinkPad側からオンにしたり、ThinkPhoneで実行中のAndroidアプリをThinkPadで表示・操作したりもできる。
デザイン的にも、ThinkPhoneの電源キーはThinkPadの赤いトラックポイントを意識したものになっている。また、IP68の防水・防じん性能、MIL STD 810Hの堅牢性も備えている。
現状は日本での展開についてアナウンスされていないが、アメリカやラテンアメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアの一部地域で数カ月以内に展開予定(価格は「地域による」としている)。