賢く投資すれば、2023年は前年よりも投資家にとって幸せな年になるかもしれない。
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2022年、中国の厳しいゼロコロナ政策が解除されたことで、グローバル経済は活性化すると専門家は見ていた。
実際にゼロコロナ政策は解除されたが、それは劇的かつ、想定外な形で起こった。中国政府は抗議デモを受けてゼロコロナ政策を変更したが、これは大幅な方針転換だった。中国経済はほぼ3年ぶりに再開し、新規感染者数は急増している。
感染急拡大の抑制策が継続されつつも産業面・経済面での活動が再開されたことで、誰も想定していなかった複雑な事態となっている。
2023年、中国にどう投資すべきか
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのチーフ・インベストメント・オフィサーであるマーク・ヘーフェレ(Mark Haefele)は、大規模検査、大規模隔離、ロックダウンといった政策がなくなり、感染者数が今後数週間でピークを迎えるため、経済が最も打撃を受けるのは、2022年の第4四半期と2023年の第1四半期になると見ている。
ヘーフェレはクライアント向けのメッセージで、中国株全般に関して今は投資に適したタイミングではないと伝えている。感染拡大により経済的な生産活動・消費活動が抑制され、乱高下する可能性が高くなるのだという。
「準備不足の状況で再開したということは、短期的には不安定な状況が予想されます。感染拡大からの経済的な打撃が見えてくると利益が下方修正されるリスクが出てくるのです」
下半期には潮目が変わる可能性があり、中国経済は2023年末までに5%成長すると予想している。ただ現在のところは、経済再開によって恩恵を受ける株に投資した方がいいという。
「想定よりも経済再開が早かったことを考慮すると、消費者向け事業、オンラインビジネス、製薬業界や医療機器業界、輸送や資本財、素材などのセクターが、他業界に先んじて業績が上向くだろうと考えています」
そうした企業の中には、今後半年から1年の間に中国全体のインデックスを10%以上上回る可能性のある企業もあり、またマカオのゲーミング企業も平均以上のパフォーマンスとなるだろう、とヘーフェレは言う。
また、石油消費量世界第2位の中国がコロナ政策を転換したことは、石油への需要増につながるはずだとも言う。さらに、人民元や一部の確定利付金融商品にとってもプラスの動きとなる。
「中国の経済再開はアジアの投資適格社債とハイイールド債、特に中国の不動産デベロッパーにとっても追い風になります。投資適格社債は今後も魅力的な商品であり、またアジアのハイイールド債のトータルリターンは来年7~10%になる可能性があります」とヘーフェレは言う。
また、消費者の信頼感が回復すれば、中国の不動産需要も安定し国内の資金調達もやりやすくなるはずだとも話す。これにより不動産デベロッパーの倒産リスクも減少する。
中国のGDPは世界第2位だ。2020年にはコロナ禍により多くの国がマイナス成長になるなか、中国はプラス成長を維持して注目を集めた。しかし2021年にはコロナ、大規模ロックダウン、不動産市場の悪化が中国に打撃を与え、状況が変わった。
グローバル経済の成長を何年も牽引してきた中国のこうした状況は、世界経済にも大きな影響を与えた。それはつまり、2023年も中国経済の動向がグローバル経済を大きく左右するということだ。
想定よりも中国経済が好調な年となれば世界経済は厳しい景気後退を避けられるかもしれないが、想定より悪ければ、景気後退がさらに悪化する可能性もある。