デパートの「バレンタイン商戦」始まる:今年のトレンドは“自分へのご褒美”。物価高を意識した品揃えも

フランスを代表するショコラティエ、パトリック・ロジェのショコラ。若くしてM.O.F(フランス国家最優秀職人章)を取得した際に創作したライム入りのキャラメルや、アトリエ前の庭で採れたハチミツ入りのガナッシュなどが極薄のチョコレートでコーティングされたドームはパトリック・ロジェの代名詞。(3種9個入・税込7992円)

フランスを代表するショコラティエ、パトリック・ロジェのショコラ。若くしてM.O.F(フランス国家最優秀職人章)を取得した際に創作したライム入りのキャラメルや、アトリエ前の庭で採れたハチミツ入りのガナッシュなどが極薄のチョコレートでコーティングされたドームはパトリック・ロジェの代名詞。(3種9個入・税込7992円)

撮影:吉川慧

2月14日のバレンタインデーに向けた百貨店の商戦が早くも本格化している。

百貨店大手の高島屋は1月6日、バレンタインデー催事の内覧会を開いた。折からの物価高が価格に影響を及ぼす中、2023年は高品質かつ手頃なブランドを新たに開拓。環境に優しい素材の活用やカカオ農家を支援するブランドともコラボする。

2023年は3年ぶりに行動制限要請がないバレンタイン商戦となる見通しで、各社とも店頭販売の客足が戻ると予想。高島屋でも客単価の上昇や、自分への「ご褒美」の需要が伸びると想定している。

物価高を意識、レバノンやチェコの新ブランドを開拓

レバノンの首都ベイルートを拠点とする「ラ・ロシェ」。高品質なチョコレート製造にこだわる。ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、アーモンドなどをふんだんに使ったセレクションを用意(7種7個入・税込3024円)

レバノンの首都ベイルートを拠点とする「ラ・ロシェ」。高品質なチョコレート製造にこだわる。ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、アーモンドなどをふんだんに使ったセレクションを用意(7種7個入・税込3024円)

撮影:吉川慧

高島屋によると、2022年のバレンタイン商戦の売り上げは前年比5.8%増。2023年は前年比12%増を目標とする。特にコロナ禍の2022年はオンライン販売が伸長し、販売比率の35.7%を占めた。2023年はオンライン限定商品をさらに拡充し、販売比率37.8%を目標に掲げる。

ただ、2022年来のエネルギー価格の高騰や円安の影響で原材料費、輸送費などが高騰。メーカーのなかには企業努力で販売価格を据え置くところもあれば、一律で10%ほど値上げしているところもあるという。

こうした中、高島屋ではリーズナブルな商品を模索。海外ブランドでは4000円前後のものがメイン価格帯だが、3000前後の商品も用意。ナッツなどの原材料の調達コストが安く抑えられる地域に注目し、レバノンやチェコのブランドを開拓した。

「“王道”とされるフランスやベルギーに比べて物価が安く、現地の人々から愛されている高品質なチョコレートが提供できた」(高島屋食料品部バイヤー・森下由佳子さん)

ヴィーガンショコラ、サステナブル商品も用意

「ファビアン・デアル」のヴィーガンショコラ(11種12個入・税込3996円)

「ファビアン・デアル」のヴィーガンショコラ(11種12個入・税込3996円)

撮影:吉川慧

日本初上陸のブランドでは、2022年にリヨン近郊にブティックをオープンした「ファビアン・デアル」のヴィーガンショコラを用意。素材の味を活かした自然な甘さが魅力だ。

加えてフードロスや環境社会問題にも焦点をあて、サステナブルなショコラも取り扱う。お茶の新しい魅力を発信する「Tea Room」とのコラボでは、廃棄予定だったウイスキー樽でフレーバーをつけた紅茶の茶葉や耕作放棄された茶園のほうじ茶を原料に活用。有名なパティシエ・ショコラティエとの企画商品を用意した。

カカオの原産地、ガーナのカカオ農家や女性の自立支援に取り組む「MAAHA CHOCOLAT」の商品も展開する。

規格外野菜で瓶詰めを製造する「ファームキャニング」とSDGsに取り組むZ世代のプラットフォーム「NAMIMATI」とのコラボで生まれたカレーペースト。隠し味に「MAAHA CHOCOLATE」のチョコを入れてコクを創出(約110g入・税込1350円)

規格外野菜で瓶詰めを製造する「ファームキャニング」とSDGsに取り組むZ世代のプラットフォーム「NAMIMATI」とのコラボで生まれたカレーペースト。隠し味に「MAAHA CHOCOLATE」のチョコを入れてコクを創出(約110g入・税込1350円)

撮影:吉川慧

2023年のバレンタインデーは企業の出社制限も緩和され「義理チョコ」需要の回帰が想定されるが、自分への「ご褒美」の需要が伸びると高島屋のバイヤーはにらむ。2022年の客単価は6900円程度だったが、2023年は7000円以上を見込む。

「色々な味を楽しみたいというニーズにお応えするべく、2023年は1つのパッケージで色々な種類を楽しめるものを用意しました。

どれもこの時期にしか手に入らないものばかり。性別を問わず来店・購入が増えており、いまやバレンタインはショコラ(チョコレート)好きの祭典になりつつあると感じています。

自分へのご褒美として、お食事の後になどゆっくり楽しんでいただければ」(森下さん)

編集部より:初出時、「これまで取り扱いがなかった地域」とありましたが、「ナッツなどの原材料の調達コストが安く抑えられる地域」に訂正致します。 2023年1月10日 14:30

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