ChatGPTを使えば、教師たちはテストの採点や報告書を書く時間を短縮できるかもしれない。
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- 学校は、生徒たちがAIをカンニングに使うと心配しているが、教育者にとって有用だと考える教師もいる。
- ChatGPTのようなツールは、教師たちが採点や報告書を書く負担を軽減する可能性がある。
- ChatGPTは「教師たちの仕事を大幅に減らしてくれるだろう」と中学校の校長であるザック・コーエンは述べた。
教師たちは疲れている。パンデミックで多くの学校が閉鎖となり、それが教育に及ぼした影響に今でもまだ対処している。生徒たちが遅れを取り戻すのを助けるために長時間働いているという。
ザック・コーエン(Zak Cohen)は、アメリカのケンタッキー州ルイビルにある中学校の校長で、Insiderに対し次のように語った。
「一教師として、かつてないほど精神的に参っている」
だが、未来に対する思いはポジティブだ。それは人工知能(AI)チャットボット「ChatGPT」といったツールのおかげでもある。「これは教師たちの仕事を、大幅に減らしてくれるだろう」とコーエンは述べた。
ChatGPTは、テストの採点、報告書やメールの返事を書くといった仕事にかかる時間を減らし、子どもたちに教える時間を増やしてくれるとコーエンは考えている。
コーエン校長は自校の職員にはすでに、ChatGPTを使うようアドバイスしている。生徒たちの年間通知表をまとめる過程を簡素化するためだ。「テンプレート」を作成し、AIを使って、生徒の名前と特に良くできた点を埋めていく。
「わが校の教師は毎年、約200枚の報告書を書かなくてはならない」とコーエンは述べた。少なくとも30時間ほどはかかるという。
また、ChatGPTが生徒たちの質問に回答することで、教師たちが「深夜のメールのやり取りの無限ループにはまり、他のことができない状態になるのを防ぐ」とも考えている。
教師たちにとって最も大変で、退屈な仕事の1つである評価も、AIなら「ほぼ一瞬で評価」が可能だ。コーエンによると「どの課題が難しいのか判断し」やすく、今後の授業に必要なことがすぐに特定できるという。
いつの日か、ChatGPTは親からの「クレームメール」にすら対応できるようになるかもしれないとコーエンは付け加えた。
最終的に「ChatGPTは、教師たちの心の健康をサポートし、大切な時間を守ってくれる可能性がある」とコーエンはInsiderに語った。
イギリスで20年以上小学校教師をしているスティーブン・ロッキャー(Stephen Lockyer)も、コーエンの楽観的な考えに同調する。
ここ数カ月、仕事を楽にするためにさまざまなAIツールを使ったとロッキャーはInsiderに語った。
例えば、物議を醸している画像生成ソフト、DALL-Eで「謎めいた」教材を作っている。最近の歴史の授業では、同ツールでヘンリー8世(King Henry VIII)の6人の妻たちの、現代版の顔写真を作った。
ChatGPTが教師たちの退屈な仕事を少しでも減らしてくれれば、というコーエンの期待にも同意した。「教師には、膨大な書類仕事がある」とロッキャーは述べた。
「仕事は、できる限りハードにではなく、できる限りスマートにしたい」
最近は、火山についてのプロジェクトの授業計画を作るために、ChatGPTを使った。「1分かからずに」できたこの計画は、最終的に教師たちの数時間を節約する可能性がある「大きな第一歩」だ、とロッキャーは考えている。
私はそのような人になるのは本当に嫌だが、AI は教師に変革をもたらすだろう。 ?
私はAIに次のように尋ねた:
「火山がどのように形成されるかを説明するために、3回の授業を計画する。各々の授業には、導入活動、情報インプット、生徒への課題、および全体会議が必要だ」
ロッキャーは、読書課題に関する理解度をテストするための短い質問など、児童向けの実用的なタスクやプリントを自動的に作成するツールも試した。
だが、皆がロッキャーやコーエンのように確信しているわけではない。AIの台頭で、カンニングがしやすくなると懸念する人もいる。そしてニューヨーク市の教育部門ではすでに、すべてのネットワークおよびデバイスでChatGPTへのアクセスを禁止しているとチョークビート・ニューヨーク(Chalkbeat New York)は報じた。
だが、教育指導者はChatGPTを「少しは試してみて」ポジティブな可能性を探るべきだ、とロッキャーは考えている。うまく使えば「無意味な仕事をなくす」ことができ、教師たちは生徒と過ごす時間を増やすことができると思うからだ。