2022年11月 17日、モスクワで産業開発基金のロマン・ペトルツァ理事長と会談するロシアのウラジーミル・プーチン大統領。
Sputnik/Gavriil Grigorov/Pool via Reuters
- ロシアは2033年までに破綻国家になるか、崩壊する可能性があると多くの外交政策の専門家が考えていることがアトランティック・ カウンシルの調査で明らかになった。
- ロシア経済は、欧米のウクライナ戦争による石油輸出規制などの制裁で大きな打撃を受けている。
- 今回の調査では、ほとんどの専門家が中国は10年以内に台湾に侵攻すると予測している。
アメリカのシンクタンク、アトランティック・カウンシル(Atlantic Council)が行った最新の調査によると、ロシアは欧米の制裁措置の長期的な影響により経済が低迷し、2033年までに破綻国家となるか、あるいは崩壊する危険性があるという。
この調査は、167人の専門家に10年後の世界はどうなっているかについて意見を求めたものだ。回答者の46%が2033年までにロシアが分裂すると予想し、21%はロシアが破滅的な国家になる可能性が最も高いと見ている。
「最も驚くべき結果のひとつは、今後10年間にロシアが崩壊する可能性があると指摘した回答者が多かったことだ。これはロシア政府のウクライナ侵攻が、地球上で最大の核兵器保有国に極めて大きな混乱をもたらす可能性があることを示唆している」とアトランティック・カウンシルは述べている。
さらに回答者の40%は、「革命、内戦、政治的崩壊」によって、ロシアは2033年までに内部分裂すると予想している。
ウクライナ侵攻後、欧米の制裁を受けてロシア経済は崩壊しつつある。侵攻開始から8カ月後の2022年11月には景気後退に陥った。
ロシアの中央銀行は、EUが発表したロシアの石油禁止とその原油の価格上限を、今後数カ月の間に経済活動を停止させかねない「新たな経済的ショック」だとして警告した。2022年末に課されたこの制裁はロシア経済への圧迫を目的している。
専門家はInsiderに、モスクワが西側諸国から孤立することで、ロシア経済が災難に見舞われる可能性があると述べている。ロシアは「友好国」と連携することで制裁の影響を軽減しようとしているが、専門家によるとそれは「長期停滞の元凶」だという。
一方、北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がウクライナへの戦争を開始する決定を下したことで、ロシアは「数十年前よりも貧しく、孤立している」とフィナンシャル・タイムズ(Financial Times)の論説で述べている。
アトランティック・カウンシルによると、その他の悲観的な地政学的展開も時間の経過とともに起こると予想されている。その中には今後10年以内に中国が台湾に軍事侵攻する可能性も含まれている。