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良好な人間関係が幸せで健康な暮らしにつながる? ハーバード大学の研究者が解説

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  • 人間関係と痛みには、驚くようなつながりがあることが3世代に及ぶ"幸せ"の研究で分かった。
  • 傷の治り具合、疼きや痛み、死亡リスクまでもが人間関係の影響を受けるという。
  • 「人間関係はわたしたちを幸せにするだけではありません。わたしたちを健康にしてくれるのです」と研究の責任者は話している。

ロバート・ウォールディンガー(Robert Waldinger)博士はハーバード大学の成人発達研究の責任者として長年、何が人々の幸せで健康な暮らしにつながるのか、徹底的に調査してきた。85年前に発足したこの研究プロジェクトは3世代に及び、2024人が参加している。

運動、健康的な食事、達成感や生きがいは全て、わたしたちの長期的な健康に影響を与える。そして、ウォールディンガー博士の研究はもう1つ、長期的な健康の意外な秘訣を発見した。

「それは人間関係です」とウォールディンガー氏は語った。

研究プログラムの副責任者マーク・シュルツ(Marc Schulz)氏と共同執筆した最新の著書『The Good Life: Lessons from the world's longest scientific study of happiness』は、良好な人間関係がいかにより幸せで健康な暮らしの基盤になっているのか、詳しく述べている。

年齢に関係なく、他者とのつながりが強い人間は死亡リスクも低い

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ハーバード大学の研究では、わたしたちの他者とのつながり —— それが親密なものであれ、そうでないものであれ —— は全てわたしたちの健康にとって重要だと分かった。

「最初は自分たちのデータが信じられませんでしたが、その後、他の研究でも同じ結果が出始めたんです」とウォールディンガー氏は語った。

同氏が「アメリカのジョージア州の田舎に住む黒人女性であれ、フィンランドに住む白人男性であれ」と著書の中で述べているように、世界各地で行われた数々の研究でも、年齢に関係なく他者とのつながりが多ければ多いほど死亡リスクが低くなることが分かっている。

中国、カナダ、日本、デンマーク、イスラエルなど、さまざまな国で行われた148の研究結果をまとめたある研究報告では「全ての年齢層、性別、民族において、強い社会的つながりは長生きの確率上昇と関連していた」ことが分かった。

そして「喫煙とがんに匹敵するほど、非常に大きな関連性がある」という。

中には、良い人間関係は患者が冠動脈疾患や2型糖尿病といった慢性疾患にかかる確率を下げると示唆する研究まである。

幸せな人間関係を育てることで、加齢による身体的な痛みを軽減

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ハーバード大学の研究者らは、被験者が年齢を重ねるにつれ、より幸せな人間関係を築いている人ほど疼きや痛みを乗り切りやすい傾向があると突き止めた。

からだの痛みを抱える80代の被験者を調べたところ、幸せなパートナー関係にある被験者の場合、からだの痛みをいつもより強く感じることがあっても、気分の変化はほとんどなく幸せなままだった。

ところがウォールディンガー氏の著書によると、「不幸せなパートナー関係にある被験者が痛みを訴えた場合、気分も悪化し、さらなる精神的な苦痛を引き起こす」という。

同様の結果がボルチモアの研究イギリスの研究など、人種的により多様な被験者を調べた他の複数の研究でも報告されている。

大切な人を介護するストレスが傷の治るスピードに影響

人間関係はわたしたちの免疫系に大きな影響を及ぼし、インフルエンザの抗体の出来やからだの治癒力にも影響を与える。

ウォールディンガー氏の著書でも引用されているオハイオ州立大学医学部の研究者ジャニス・キーコルト・グレイザー(Janice Kiecolt-Glaser)氏傷の治癒に関する研究では、介護のストレスが傷を治りづらくするかどうか調べるために、被験者の肌に刺し傷を作った。結果はその通りだった。グレイザー氏の1995年の論文は、アルツハイマー病患者の主な介護者である60代の女性たちのからだの傷は、そうでない人に比べて、治るまでに平均して9日長くかかったと示している。

「愛する人を介護する心理的ストレス」は「大切な人間関係が徐々に失われていくことから生じる」もので、からだの自然治癒力を阻害し、女性たちの免疫系の働きにはっきりと影響を及ぼしたとウォールディンガー氏の著書は指摘している。

自分のことを気にかけてくれる人と手をつなぐことは軽い麻酔に匹敵

手をつなぐ人たち

Luis Alvarez/Getty Images

ウォールディンガー氏らは、手をつなぐことが健康に良いと示唆する研究にも著書で触れている。

ある研究では、被験者に小さな電気ショックを与えたところ、親しい人と手をつないでいた被験者はあまり痛みを感じなかったと報告したという。こうした効果は、見ず知らずの人と手をつないでいた被験者たちには見られなかった。

その効果はあまりに大きかったため、この研究の論文を執筆したバージニア大学の教授ジェームズ・コーン(James Coan)氏は、医療処置中に大切な人と手をつなぐことは軽い麻酔に匹敵すると結論付けている —— これは手をつなぐ相手との関係が満足度の高いものであればあるほど当てはまるという。

ウォールディンガー氏は、こうした状況では心臓から頭まで、わたしたちのからだ全体が古来からの原始的な方法でストレスを経験し、反応しているのではないかと考えている。

「人間関係はストレス緩和剤のようなものです」とウォールディンガー氏は言う。

「からだを落ち着かせ、(ストレスによる)闘争逃走反応から抜け出させ、安定した状態に戻してくれるからです。それがわたしたちの考えている仕組みです」

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