『FIRE——最速で経済的自立を実現する方法』の著者、グラント・サバティエ。
Courtesy of Grant Sabatier
起業家で文筆家のグラント・サバティエ(Grant Sabatier)は、副業のおかげで、現在ほどお金を稼ぐのが簡単な時代はないと考えている。
「インターネットが普及したことで、ビジネスの場が広がりました。ソーシャルメディアやウェブサイト、電子メールなどを通じて簡単に顧客にアプローチできるようになった結果、どのようなタイプのビジネスでも、参入障壁が非常に低くなっています」
今後数年間は、デジタルコンテンツ・クリエイターやオンラインビジネスを展開する人々が特に好調に推移するだろうとサバティエは予測している。
「私たちは、オンラインで大金を稼ぐことができる最後のイニングに突入しています」と、2015年にミレニアル・マネー(Millennial Money)社を設立し、現在は金融サービス分野のウェブサイトを構築・購入・拡張する会社を経営する37歳のサバティエは言う。
「2023年はクリエイターエコノミーの年になり、『暗号資産ミリオネア』は『クリエイター・ミリオネア』に取って代わられるでしょう」
クリエイターは通常、デジタルオーディエンスを構築し、投稿に広告を掲載したり、講座その他のオンライン製品を販売したり、アフィリエイトを通じたマーケティングや他のブランドとのコラボレーションによって収益を得る。2022年、インフルエンサー界隈では記録的なベンチャーキャピタル資金の調達が行われ、クリエイターエコノミーにとって重要な年となった。
10年近くウェブサイト構築を手がけてきたサバティエは「オンライン製品やコースから100万ドル(約1億3000万円、1ドル=130円換算)以上の年間収益を上げるクリエイターがますます増えていくでしょう。オンラインクリエイターの黄金時代がやってくるのです」と語る。
Insider Intelligenceのデータは彼の予測を裏付けている。2023年には、多くのクリエイターにとってビジネスの原動力となるアメリカのインフルエンサーマーケティング予算が60億ドル(約7800億円)を超えると予想されている(2022年の49億9000万ドル〔約6500億円〕から増加)。
しかし、サバティエはこの「黄金時代」は短命に終わると予想している。
「この時代はそれほど長くは続かないでしょう。おそらく3年から5年ぐらいでしょうか」と彼は言い、その主な理由は、さまざまなソーシャルメディアプラットフォームの不確実性にあると語った。
「近い将来、従来型のクリエイターに向けてトラフィック生成するプラットフォームは脅威にさらされることになるでしょう。フェイスブック(Facebook)はすでにトラフィックが減少しています。ツイッター(Twitter)も同様です。イーロン・マスクによって、他のソーシャルプラットフォームへの外部リンクを投稿することができないなどの制約が多くなっていることもあり、人々はツイッターを見捨てつつあります」
そして、ここ数年で人気が急上昇しているのがティックトック(TikTok)だ。クリエイターは、このプラットフォームで大規模なオーディエンスを獲得し、ブランド企業とのコラボレーション、楽曲プロモーション、ライブストリーム、ティックトック・クリエイターファンド(TikTok Creator Fund)、広告収益の分配などから収入を得ている。
しかし、このプラットフォームはセキュリティ上の懸念からアメリカで禁止される可能性があることをサバティエは指摘する。
つまり、クリエイターたちは不確実な未来に備える必要があるのだ。
「ティックトック・インフルエンサーが抱えるパラドックスは、一晩で200万人のフォロワーを獲得できるのに、来年にはこのプラットフォームが無法地帯になる可能性があるということです。
今、オンラインでお金を稼ぐ機会を利用することは、『大成功』か『大失敗』かという綱渡りの要素があるのです」
それに備えるために、Eメールアドレスのリストを充実させることが重要な戦略だと彼は言う。そうすることで、もしティックトックが消滅しても、オーディエンスとコミュニケーションをとり、ウェブサイトやブログ、ニュースレターに誘導することが可能になる。
サバティエは、オンラインビジネスを通してお金を稼ぐ力を、今のうちに養っておこうと考えている。
「私自身は、今後3〜5年の間はこれまで培ってきた人脈やスキル、知識を生かし、この市場機会があるうちに積極的に参入していくつもりです」
彼は、他の実績あるクリエイターにも同じことをするように勧めているが、同時に「新しいクリエイターにとっては、大きなリスクだと思う」と強調する。
「オンラインコンテンツ制作のように収益性の高いものは、それだけ競争も激しくなります。このような機会は、より早く訪れ、より早く去っていくものです」
もしあなたがまだデジタルクリエイターでないなら、2023年には他にも素晴らしい機会がある。
例えば、今年は不動産などの非デジタルビジネスの案件を獲得する絶好のタイミングだ。
我々は「団塊世代が彼らの会社を売るという形で」ミレニアル世代への大規模な富の移転の真っ只中にあるとサバティエは説明する。
「デジタルではない、質の高いビジネスがどんどん市場に出てきています。ビジネスに興味がある人なら誰でも、バズボールズ(Buzzballz)を利用して、地元のコミュニティで売りに出されている企業を探し、知ることができます。これは本当に素晴らしい機会です」
都市が成長し、需要が増え続ける中、「樹木の撤去業者や造園業者、家屋の外壁洗浄業者などの伝統的なブルーカラーのビジネスの利益率と可能性は爆発的に高まっています」と彼は語る。
「これらのビジネスの価値は、今後数年で大きく上昇し、その多くは団塊世代が退職していく中で誰にでも購入できるチャンスが生まれているのです」
彼は、レストランやキッチンカーを買うことは決して勧めない。利益が非常に少ないからだ。しかし、ガソリンスタンド、フェデックスの貨物輸送ルート、自動販売機事業、自動車修理工場などは、購入してもいいと言う。
「あなたが思いつくものは何でも、今、それを売りたい人がいるのです」と言い、サバティエは最後にこうまとめた。
「全体として、2023年は多くの良い取引と良い価値を見出せるでしょう」