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首相官邸もクライアント、CNN広告部門の日本トップが「多様性ウォッシュ」に警鐘

ワーナーメディアとディスカバリーが合併して誕生した「ワーナー・ブラザース・ディスカバリー」。

傘下のCNN広告部門は首相官邸からサントリーまで幅広いクライアントを抱え、ダイバーシティの推進に力を入れている。日本トップを務める長屋海咲さんに話を聞いた。

クライアントは首相官邸からサントリーまで

CNN、長屋海咲

CNNインターナショナル・コマーシャルでセールスディレクターを務める長屋海咲さん。

撮影:竹下郁子

報道機関CNNの広告部門「CNNインターナショナル・コマーシャル」は、Slackやサムスンなどグローバル企業の広告を数多く手掛けてきた。

その日本支部を率いるのが、セールスディレクターの長屋海咲さんだ。月間18億ユーザーのリーチがあるというCNNブランドを強みに、グローバルで広告展開したい企業や政府に向けて、CNNが有する広告枠の販売だけでなく、広告コンテンツ自体の制作も手がけている。

クライアントはサントリー、味の素、首相官邸、外務省東京観光財団、日本食品海外プロモーションセンター(JETRO内で日本の農林水産物・食品のプロモーションを担う)など幅広い。

長屋さんが特に注力しているのが、広告におけるダイバーシティ改革だ。

「CNN日本オフィスは8割が女性です。ジェンダーギャップ指数116位の日本、中でもメディアや広告業界は女性が働きにくいと言われています。そこに風穴を開けたいんです」

「D&Iウォッシュ」にご用心

ダイバーシティ

GettyImages / DisobeyArt

「海外のほうが変化は早かったですが、日本のクライアントもかなり変わってきました」

と長屋さんは言う。広告表現が差別や偏見を助長しているとして批判された事例は数多い。以前は「海外向けの広告=白人を起用」することが多かったが、今は人種の多様性を確保する重要性が周知され、ジェンダーバイアスやルッキズムにも注意した広告の提案がずいぶん通りやすくなったという。

そこで注意しなければならないのが、そうした広告メッセージと企業の実態が乖離していないか?ということだ。

「サステナビリティにおける『グリーンウォッシュ』のように、『ダイバーシティ&インクルージョンウォッシュ』にも注意が必要です。

『海外では今どんなメッセージを発信すればウケますか?』『多様性をうちの会社がサポートしているような感じを打ち出して欲しい』、そんな要求をされても、企業の実態とマッチしない広告は打つべきではありません

広告の作り手も発信する企業も、その『見る目』を培うことが、今後はさらに重要になってくると思います」

広告収入減で赤字23億ドル

ワーナー・ブラザース・ディスカバリー

shutterstock / Robson90

一方で、今後は広告の中身に加え、そもそも広告を打つ必要があるのか?を問われる時代にもなりそうだ。

経済状況の悪化により広告支出を抑える企業は多く、GoogleやMetaなど米IT大手の広告収入が大幅に減少したことは大きな注目を集めた。

CNNの親会社であるワーナー・ブラザース・ディスカバリー(以下、WBD)も例外ではない。2022年度第3四半期決算によると、同社の広告収入は前年同期比11%減少している(FX除く)。広告収入が売上高全体の20%を占めることを考えると、大きな痛手だ。こうしたこともあってか売上高は減少、23億ドルの純損失となった。

広告収入の減少は、ニュースやエンタメ番組の視聴者数の減少によるものだと同社は分析している。日本でも影響はあるのだろうか。

「ゼロだと言ったら嘘になりますが、報道されているほどには感じていません。私たちは政府系のクライアントが多いこともあるかもしれませんが」(長屋さん)

合併で消えたストリーミングに再参入も

CNN

shutterstock / JustPixs

そんな中で力を入れるのが、ネットの配信サービスだ。

CNNはワーナー・ブラザース・ディスカバリー傘下になった2022年4月、肝いりだったストリーミングサービス「CNN+(プラス)」を新経営陣の判断で開始1カ月で終了した苦い過去もあるが、

「テレビの視聴者数が世界で減少傾向にある一方で、ネットフリックス社のようなストリーミングサービスが伸びています。

時期は未定ですが、HBOマックスやディスカバリー+のような広告付きサブスクプランをCNNや他のチャンネルも一緒になってやっていく予定です」(長屋さん)

CNNと同じくWBD傘下の「HBOマックス」「ディスカバリー+(プラス)」はすでに広告つきのサブスクプランを展開しており、今後はこれら2つを統合すると公表している。

Netflix、ディズニーなど広告プランは戦国時代へ

Netflix

shutterstock / Ivan Marc

この分野は2022年11月にネットフリックスが、翌12月にウォルト・ディズニーの「Disney+」が広告つきサブスクを導入するなど、ライバルは多い。

「ネットフリックス社の広告つきサブスクは、どこまで加入者が増えるか分からない中で、強気なプラン設定だと感じました。12カ国からサービスを開始しましたが、そこに日本が入っていたのも驚きました。もう少しテストをした後かと思っていたので。

広告が出るのであれば料金を払いたくないという人は、特に若い世代に多い。広告付きサブスクがどこまで加入者を伸ばせるか、各社気にしている状況です。そんな中でのネットフリックス社の今回の参入は面白い動きでしたし、推移も気になります」(長屋さん)

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