シャープとHTCの新型VRゴーグル2台を試してわかったこと【VIVE XR Elite/シャープのプロトタイプHMD】

VIVE XR Elite

「VIVE XR Elite」本体。

撮影:石川温

1月5日から8日までラスベガスで開催された世界最大級のテクノロジー展示会「CES2023」

ソニー・ホンダモビリティが「AFEELA」を発表するなど、モビリティー関連には勢いがあったものの、それ以外のテクノロジートレンドの潮流があったかといえば、ちょっと微妙な印象もある。

ただ、VRやAR関連のデバイスは確実に進化している印象があり、今後数年で、さらに性能が飛躍する可能性を感じた。

メガネを外しても使いやすい「VIVE XR Elite」

VIVE XR Elite 体験

VIVE XR EliteでARゲームを試してみた。

撮影:石川温

CES2023会場で試してみて感心したのが「VIVE XR Elite」だ。

重量は625g。すでに日本での発売も予定されており、直販価格は17万9000円(税込)、配送は2月25日以降となっている。

HTC XR Eliteはプロセッサーにクアルコム製の「Snapdragon XR2」を採用し、スタンドアローンで使えるヘッドマウントディスプレイ(HMD)となっている。

バッテリーは後頭部に配置されているが、取り外しが可能で、メガネモードとしての利用できる。

バッテリーありの状態で試してみたが、装着感は悪くない。普段、メガネをしているため、メガネは外しての装着となるが、視度と瞳孔間距離を調整できるダイヤルが内部に備わっており、きちんとピントが合った状態で試せる。

VIVE XR Eliteのレンズ部

IPD (瞳孔間距離)調整ができるようになっている。

出典:HTC

ARのゲームでは、単眼のRGBカメラとトラッキングセンサーでのビデオシースルーとなっていた。試してみると、思った以上に画質が良くてビックリした。

空中から敵がやってきて、ボタンを押してやっつけるシューティングゲームなのだが、かなり動き回っても、AR酔いすることはなかった。値段もそれなりに張るが、使い勝手は申し分ないという印象だった。

もう1つ、VRによる渓谷のなかにある川をボートでこぐという体験もしたが、こちらも画質がきれいで、かなりの没入感があった。パドルをこぐ操作に思わず集中してしまったほどだ。

HTCは長年、VRデバイスを手がけていることもあり、一日の長を感じさせる出来映えだった。

「現実世界の物体をVRへ」読み込むシャープのHMD

シャープの試作機HMD

シャープの試作機HMD。両端にモノクロ、中央にカラーのイメージセンサーを内蔵する。

撮影:石川温

一方、HMDの試作機を展示していたのがシャープだ。

こちらは約175gと軽量だが、スマートフォンとUSB Type-Cで接続して使うようになっている。HMDにはマイコン程度の処理能力しかなく、主な処理はスマートフォン側でする。

フロント部分にはモノクロイメージセンサーが2つ、さらにRGB式のカラーイメージセンサーを搭載。これにより6DoF(頭の方向と体の動き)の位置認識と手をトラッキングしている。

シャープの試作機HMD 体験

シャープの試作機HMDを試してみた。

撮影:石川温

装着してみるVR空間に入り、しばらくすると「Look」という表示が出てくる。そこを見ると、リアルな空間が見える穴が空く。

つまり、カメラのシースルーによって、VR空間の一部にリアルな周辺を表示しているというわけだ。

さらにそこには「ロボホン」が写っており、凝視するとロボホンがキャプチャーされて、3DのデータとしてVR空間に表示されるようになる。

まるでスマホでウェブページをキャプチャーする(スクリーンショット)ように、リアルのある物体をキャプチャーし、3DデータとしてVR空間の取り込めるという用途を狙っているようだ。

未来を感じるシャープの超小型カメラとレンズ

シャープの展示で、VRやARの未来における可能性を感じたのが2つのカメラ技術だ。

1つは「超小型カメラモジュール」で、モジュールの高さが1.4mmしかない。実物を見てみると、まるでごま粒のような大きさだ。

シャープの超小型カメラモジュール

シャープの超小型カメラモジュール。右端にあるのが超小型カメラモジュール。1インチセンサーと比べても、いかに小さいかがわかる。

撮影:石川温

シャープでは「AQUOS R7」などで1インチセンサーを採用しているが、超小型カメラモジュールは1/14.5インチというサイズ感になっている。ちなみに解像度は400×400ピクセルだ。

シャープとしてはこの超小型カメラモジュールをVRなどのHMDの内側に内蔵することを想定している。

超小型カメラモジュールで、ユーザーの瞳を撮影し続けることで、眼球の動きなどを把握し、VR上で動く自分のキャラクターに「視線」を再現させたり、VR空間で、集中してみたいものを目の動きから判断して、対象物を大きく表示することが可能になるようだ。

もう1つの技術が「ポリマーレンズ」だ。

ポリマーにより、瞬時に焦点を可変できるレンズをつくった。通常、焦点可変のレンズをつくろうとするとモーターなどの部品が必要で、サイズ自体も大きくなってしまう。

ポリマーレンズは、前後にピエゾ素子をつけ、その力でポリマーが充填されたレンズを歪ませて焦点を変えていく。まるで人間の眼のように一瞬で焦点の切り替えが可能となるのが特徴だ。

ポリマーレンズの展示

ポリマーレンズの展示。瞬時に焦点を切り替えられるのが強み。

撮影:石川温

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